スペイン その2

2009年01月13日 | 風の旅人日乗
[photo Rick Tomlinson/VOR]

〈グリーン・ドラゴン〉がタックして右に行った後、
やっとノーマルのクローズホールドにモードチェンジ。
いい感じでそのまましばらく左に伸ばす。

コースの右に風を見たバウエが、
風上少し後ろを依然並走しているプーマ〈イル・モストロ〉のケン・リードに声をかけるが、
ケンはタックしない。

上マークへのポート・レイラインに接近したところで
〈イル・モストロ〉がやっとタックを返し、
それに合わせて我々もタックして上マークに向かう。
〈テレフォニカ・ブルー〉のジブは一番小さい#4。
これしか積んでこなかったのだ!
だが、〈イル・モストロ〉はオーバーラップ・ジェノアを使っている。
10-12ノットの風で#4を揚げていては、オーバーラップ・ジェノアに敵うわけがない。
なのに、パフのたびに〈テレフォニカ・ブルー〉のほうがほんの少しずつ〈イル・モストロ〉に対して高さとスピードをゲインしている。
バウエが喜んでいる。

しかしその後、大きな左シフトが入って、我々2隻は大オーバーセールとなってしまい、
右風下にいた艇団に上マークで先行される。
そのうち、何人かのゲストが自分も舵を持ちたいと言いはじめ、
その人たちに舵を譲って、結局そのレースは最下位でフィニッシュ。

第2レース。
バウエが、「このレースのヘルムは、最後までKazu」
というスキッパー命令を下し、〈テレフォニカ・ブルー〉は第1レースに比べて真剣モードになる。

風軸は198度から203度。時折2,3分の188度も混じる。
風速は10-12ノット。
#4ジブではアンダーパワーだ。
このジブしか積んでこなかったのをバウワーは悔やんでいる。
(「みんな、ゲストの安全のために小さいジブを使う約束だったのに・・・」)

スタートラインを流す。
10-12ノットの風速で、リーチング14ノット、クローズホールド10ノット後半。
バウを風上に向けてジブの風を抜いても、
6ノットほどのスピードでそのまま風上に上っていく。

日頃乗りなれている30-40フィートクラスの艇での時よりも、
スタートラインからかなり低い位置からアプローチするように意識しなければならない。

バウワーが教えてくれる。
「ラフィングしてもこの艇はどんどん風上に走っていくからな」
「コミッティーボートやマークの風下側を通るときは、キールが風上側に持ち上がっていることを忘れるなよ
(クローズホールドでマークの風下側に船体を寄せすぎると
風上側に上がっているキールバルブがアンカーロープに引っかかる)」

(スペインその3 に続く)