スペイン その3

2009年01月25日 | 風の旅人日乗

ボルボ・オーシャンレースのフリートは、
フィリピンのルソン島と台湾の間に広がるルソン海峡で、最大風速55ノットの北東風を受けて混乱している。
現在その嵐は去ったが、その嵐の最中、
一時トップを走っていたプーマが、
ブームを折って先頭艇団から離れた。

その後トップに立ったテレフォニカブラックは、
船体に重大なクラックを生じてリタイア、マニラに向かっている。

グリーンドラゴンとデルタロイドは、船体の修理とセールの修理のために、
ルソン島北端近くの湾に入ってアンカリングしている。
(グリーンドラゴンは、ついでに中国の正月をその湾で祝ったらしい。
現地の人たちのカヌーに乗って、クルーの一人はルソン島に上陸もしたとか)

そんな混乱の中でトップに立ち、
現在台湾の東海岸を一人北上中なのが、バウワー・ベッキンがスキッパーを務める
テレフォニカブルー。

今日の日記は、
昨年10月にスペインで
そのテレフォニカブルーをステアリングさせてもらってレースをした時の体験記
その3。
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第2レースは上有利にセットされたスタートライン。
バウワーの指示に従った位置とタイミングで最終アプローチに入り、
全艇の一番風上側から、12ノットほどのスピードをつけてスタートする。

このレースは最初に頭を出せたので、
自由に、最初のスターボード・タックを走ることができた。
レースを組み立てるバウワーの指示に合わせて、
10.60ノットから11.15ノットの間で、ボートスピードのモードを変えながら、
クローズドホールドを走る。

パフとラルによるヒール角の変化に合わせて、
バウワーがボタンスイッチを操作してカンティングキールの振り上げ角を変える。
カンティングキールによってヒール角が突然変わると、
その瞬間にヘルムが大きく変わる。
それに落ち着いて素早く対応できるようになるまでしばらく時間を要した。
艇の幅が広いため、ヒール角による喫水船型が大きく異なり、
そのためにヘルムが激しく変化するのだろう。


全艇の一番右から上マークへのレイラインにアプローチしているのが上の写真。
この時点ではレイラインに乗っているのは我々〈テレフォニカ・ブルー〉だけだったが、
この写真の直後に右シフトが入り、
風下のプーマ〈イル・モストロ〉の位置がジャストのレイラインとなり、
プーマがトップで上マークを回航。
そのすぐ後ろで、この写真に写っている4隻でかたまりになって上マークを回航する。