スペイン時間で、2月8日午前6時。
商業港にあるBMWオラクルレーシングの仮設キャンプ。
挑戦艇〈USA〉のドックアウトを見る。
少しでも艇を軽くしたいスキッパーのジェイムズ・スピットヒルからお願いされて、
レースには乗れなくなったチーム・オーナーのラリー・エリソンも、
クルー全員にハイタッチで挨拶して、インフレータブル・ボートに乗って、〈USA〉へ。
そう、ウイングマストを立てた〈USA〉は、常に風に立てておかなければならないため桟橋には係留できず、少し沖にアンカリング中。
それにしても〈USA〉のウイングマストの威容には、度肝を抜かれる。
ヨットも、ついにここまで来たか、という印象だ。
今日の、第33回アメリカスカップ第1レースの予告信号は、午前10時予定。
風速15ノット以下、波高1メートル以下でなければレースを行なわないという、防衛者側が一方的に定めたコンディション規定はジュリーから認められず、
レースを行なうか否かは、レース委員長のハロルド・ベネットが判断を下す。
第1レースのレースコースは、往復40マイルの上下一周のコースで行なわれる。
一辺20マイルもの広大なレースエリア、45ノットものスピードでマニューバリングする2隻のモンスターヨット…。
スタートから風上マークまで20マイルという距離は、例えば相模湾の東西方向の距離にほぼ匹敵する。
〈アリンギ〉のコーチ、エド・ベアードは、
「もし両者が望んで、スタート前のサークリングが始まるとしたら、スタートラインから1マイルか、それ以上離れた場所で起こるだろう」、と語る。
リーチングで40ノットで走る2隻が、1マイルの距離を走るのに要する時間は僅か1分30秒。
つまり、通常のマッチレースのタイミングでサークリングを解いてスタートラインにアプローチを開始するためには、
必然的にサークリングの場所はラインから1マイルは離れてなければいけなくなるのだ。
さて、今、現地時間2月9日朝6時。
軽い酔いが残っている。理由は後述。
第1レースの結果はいかに!
残念だが、第1レースは延期されました。風向が定まらない、との理由。
ぼくが乗ったメディアボートは上マークで待機していたが、8ノットから10ノットの、南西のいい風が吹いていた。
ところがそこから20マイル離れた沖合いのスタート海面では、
風向が不安定で、風速も弱かったらしい。
再び、この距離感を相模湾になぞらえてみると、
上マークがある初島ではすごくいい風が吹いているのに、
スタートラインがある葉山沖の風が弱く、スタートできなかった、ということになる。
20マイルも離れるとVHFも届かず、
レース・コミッティーはこれからも大変な苦労をすることになるのだろう。
因みに、上マークにいるメディアボートからは、
防衛艇と挑戦艇のどちらの姿もまったく見ることができなかった。
よく考えてみれば、いくらマストの高さが60メートルあるヨットだとは言え、
葉山にいるそれを初島から見える訳がないのだった。
興味深い話をひとつ。
本日のレース延期が決まった後、メディアボートに映されている2隻の航跡を示すバーチャル・アイのデータを見ていると、
2隻がしばらく走り合わせをしていた。
どれほど本気モードの走り合わせかは疑わしいが、挑戦艇の〈USA〉が15ノット強のスピードだったのに対し、
防衛艇の〈アリンギ5〉のスピードは常にそれより2ノット近く下回っていた。ま、ただの話題に過ぎませんが・・・。
で、夜、バレンシア在住のプロセーラー福ちゃんと、葉山在住のモスセーラーのG君に会って、バルでセルベッサ(ビール)とビノティント(赤ワイン)を飲みながら情報収集。
2人は、スウェーデンのビクトリー・チームのインフレータブルに乗ってスタート海面に出張っていた。
レース延期決定後の2隻の走り合わせは、〈アリンギ5〉のほうはジブを揚げていなかったとのこと。それじゃあ、ああいうスピード差になるわな…。
G君によると、防衛艇に比べて〈USA〉のスケール感は圧倒的で、
それを見て
「オラクルが勝つんじゃないか、ってこちらに来て考え直しました」とのこと。
福ちゃんからはヨーロッパのヨット事情を、
オタク的なねちっこい目で2隻を至近距離で観察してきたG君からは2隻の詳細を、
それぞれ事情聴取。
時間が経つのも忘れ、ワイン片手に話し込む。
しかも、最年少のG君にバルの勘定をおごらせてしまう。
最年長者として非常に恥ずかしい…。今度、このお礼は葉山でね。
シャワーを浴びて、ベッドに入る前に時計を見たら、午前2時を回っていた。
わざわざこちらに来ていながら、2隻のセーリングをまだ自分の目で見ていない。
レース中に近寄ることは、本日の経験から『無理』と判断し、
いろいろな伝に連絡を取って、レース日以外に2隻のセーリングを視察に行こうと、
手を尽くしているところ。
乞うご期待。
BMWオラクルレーシングのコンパウンドでは、
メディアやスポンサー・ゲストに優雅な朝食が振舞われていた。
早朝なのに、シャンパン、ワイン、ビールも並べられておりました。さすが、ヨーロッパ。
「御来賓の皆様のプライバシーを守るために、写真撮影はご遠慮下さい」
と、この写真を撮ったあとで素敵なスペイン美女から叱られた。
メディアボートの1隻でレース解説を担当するのは、オリンピック金メダル3つのヨハン・シューマン氏。
商業港にあるBMWオラクルレーシングの仮設キャンプ。
挑戦艇〈USA〉のドックアウトを見る。
少しでも艇を軽くしたいスキッパーのジェイムズ・スピットヒルからお願いされて、
レースには乗れなくなったチーム・オーナーのラリー・エリソンも、
クルー全員にハイタッチで挨拶して、インフレータブル・ボートに乗って、〈USA〉へ。
そう、ウイングマストを立てた〈USA〉は、常に風に立てておかなければならないため桟橋には係留できず、少し沖にアンカリング中。
それにしても〈USA〉のウイングマストの威容には、度肝を抜かれる。
ヨットも、ついにここまで来たか、という印象だ。
今日の、第33回アメリカスカップ第1レースの予告信号は、午前10時予定。
風速15ノット以下、波高1メートル以下でなければレースを行なわないという、防衛者側が一方的に定めたコンディション規定はジュリーから認められず、
レースを行なうか否かは、レース委員長のハロルド・ベネットが判断を下す。
第1レースのレースコースは、往復40マイルの上下一周のコースで行なわれる。
一辺20マイルもの広大なレースエリア、45ノットものスピードでマニューバリングする2隻のモンスターヨット…。
スタートから風上マークまで20マイルという距離は、例えば相模湾の東西方向の距離にほぼ匹敵する。
〈アリンギ〉のコーチ、エド・ベアードは、
「もし両者が望んで、スタート前のサークリングが始まるとしたら、スタートラインから1マイルか、それ以上離れた場所で起こるだろう」、と語る。
リーチングで40ノットで走る2隻が、1マイルの距離を走るのに要する時間は僅か1分30秒。
つまり、通常のマッチレースのタイミングでサークリングを解いてスタートラインにアプローチを開始するためには、
必然的にサークリングの場所はラインから1マイルは離れてなければいけなくなるのだ。
さて、今、現地時間2月9日朝6時。
軽い酔いが残っている。理由は後述。
第1レースの結果はいかに!
残念だが、第1レースは延期されました。風向が定まらない、との理由。
ぼくが乗ったメディアボートは上マークで待機していたが、8ノットから10ノットの、南西のいい風が吹いていた。
ところがそこから20マイル離れた沖合いのスタート海面では、
風向が不安定で、風速も弱かったらしい。
再び、この距離感を相模湾になぞらえてみると、
上マークがある初島ではすごくいい風が吹いているのに、
スタートラインがある葉山沖の風が弱く、スタートできなかった、ということになる。
20マイルも離れるとVHFも届かず、
レース・コミッティーはこれからも大変な苦労をすることになるのだろう。
因みに、上マークにいるメディアボートからは、
防衛艇と挑戦艇のどちらの姿もまったく見ることができなかった。
よく考えてみれば、いくらマストの高さが60メートルあるヨットだとは言え、
葉山にいるそれを初島から見える訳がないのだった。
興味深い話をひとつ。
本日のレース延期が決まった後、メディアボートに映されている2隻の航跡を示すバーチャル・アイのデータを見ていると、
2隻がしばらく走り合わせをしていた。
どれほど本気モードの走り合わせかは疑わしいが、挑戦艇の〈USA〉が15ノット強のスピードだったのに対し、
防衛艇の〈アリンギ5〉のスピードは常にそれより2ノット近く下回っていた。ま、ただの話題に過ぎませんが・・・。
で、夜、バレンシア在住のプロセーラー福ちゃんと、葉山在住のモスセーラーのG君に会って、バルでセルベッサ(ビール)とビノティント(赤ワイン)を飲みながら情報収集。
2人は、スウェーデンのビクトリー・チームのインフレータブルに乗ってスタート海面に出張っていた。
レース延期決定後の2隻の走り合わせは、〈アリンギ5〉のほうはジブを揚げていなかったとのこと。それじゃあ、ああいうスピード差になるわな…。
G君によると、防衛艇に比べて〈USA〉のスケール感は圧倒的で、
それを見て
「オラクルが勝つんじゃないか、ってこちらに来て考え直しました」とのこと。
福ちゃんからはヨーロッパのヨット事情を、
オタク的なねちっこい目で2隻を至近距離で観察してきたG君からは2隻の詳細を、
それぞれ事情聴取。
時間が経つのも忘れ、ワイン片手に話し込む。
しかも、最年少のG君にバルの勘定をおごらせてしまう。
最年長者として非常に恥ずかしい…。今度、このお礼は葉山でね。
シャワーを浴びて、ベッドに入る前に時計を見たら、午前2時を回っていた。
わざわざこちらに来ていながら、2隻のセーリングをまだ自分の目で見ていない。
レース中に近寄ることは、本日の経験から『無理』と判断し、
いろいろな伝に連絡を取って、レース日以外に2隻のセーリングを視察に行こうと、
手を尽くしているところ。
乞うご期待。
BMWオラクルレーシングのコンパウンドでは、
メディアやスポンサー・ゲストに優雅な朝食が振舞われていた。
早朝なのに、シャンパン、ワイン、ビールも並べられておりました。さすが、ヨーロッパ。
「御来賓の皆様のプライバシーを守るために、写真撮影はご遠慮下さい」
と、この写真を撮ったあとで素敵なスペイン美女から叱られた。
メディアボートの1隻でレース解説を担当するのは、オリンピック金メダル3つのヨハン・シューマン氏。