2月21日 バレンシア

2010年02月21日 | 風の旅人日乗
今日は、これからアリンギのコンパウンドに行き、トム・シュネッケンバーグのオフィスで話を聞く。
トムから直接話を聞けるのは、今回は今日が最後のチャンスだ。

トムは、アリンギがアメリカスカップを失った後、ちょうど1週間がたった日曜日の今日も、オフィスに出て仕事をしている。
アリンギは、次に向けてどんな準備をしているのだろう?
ただし、そのことを聞くのはトムに対して失礼になる。
その人が、秘密にすべしと組織から強いられていることを聞いてしまい、
「ごめん、答えられないんだ」、
と相手に言わせることは、相手に不必要な、気まずい思いをさせることになる。
しゃべっていいことなら、トムのほうからしゃべってくれるだろう。


昨日の土曜日2月20日は、仕事は完全オフにした。
バレンシア観光サイクリング。
気温は結構下がったものの、天気は快晴。
この快晴はこの日一日だけ、という予報だから、
この日にめいっぱいバレンシアのアウトドアを楽しむことにする。

朝、トムのアパートに行って、自転車を借りる。
トムのアパートを出る前に、トムが、グーグルアースの画面を使って、
お勧めコースをいくつか紹介してくれる。
自転車道が、市外の遥か遠くまで整備されていて、
自転車愛好家たちが、
自動車の危険にさらされることなく、
歩行者に迷惑をかけることなく、
存分に自転車を楽しめる環境が整っている。
自動車ドライバーにイライラされ、歩行者に冷たい視線を投げられる日本の自転車乗りの人たちの
肩身の狭さと不幸を思う。

いろいろなコースの中から、バレンシア市街を抜け出して、
バレンシア市の南に伸びるビーチに沿って南下するコースに決定。

バレンシアでは、1957年に市内を流れていたトゥリア川が大洪水を起し、
多くの人たちが亡くなったという。
その後、将来の洪水の危険をなくすために、
トゥリア川を、市内を迂回して市の南側を流れるようにする大工事が行なわれた。
そして、それまでの川底をそのまま利用して、全長7キロ、幅200m~500mもの、大きな公園を作った。
その公園は今、バレンシア市民の憩いの場、運動場、サイクリングを楽しむエリアとして親しまれていて、カフェテリアもいくつかある。


まずは、その川底公園に下りて、水のない川を河口に向かって走り始める。
すぐに、素晴らしい噴水を見つけ、記念撮影。



数日前に初めて見て驚いた建築物群のある芸術科学都市(と言うのだそうだ)も、
この旧川底公園の中にあって、朝からたくさんの人たちが遊びに来ている。

その公園で、日本の南天に似た植木を発見。これも記念撮影。



夾竹桃の木も目に付く。
夾竹桃の木を見ると小学校の校庭に生えていた木を思い出して、
日本の原風景を演出する木のように思っていたのだが、
トルコでもスロベニアでもよく目にするから
夾竹桃は地球上全体にはびこっている木なのではないかと、思う。

未来的な芸術科学都市を抜けてすぐ、
近代建築や高架の高速道路に囲まれて、旧スペイン風農家を発見。

この家の周囲には日本の農家の周囲によく似た畑が広がっていた。

すごくたくさんの自転車が走っている。
自転車が当たり前に走っている光景。ヨーロッパだなあ。
おじいいちゃん、おばあちゃんも多い。
自転車に乗っているおじいちゃん、おばあちゃんたちは、
前向きに生きるおじいちゃん、おばあちゃんの顔つきをしている。


ビーチに出て走っていると、
海水浴場の監視員の椅子が、ステンレスのパイプを組み合わせた、
シンプルで素晴らしいデザインだったのに感心して、
パチリ。


ビーチ沿いにあるサッカー場で、
アマチュアらしき人たちがゲームを楽しんでいたので、
休憩がてら、それをぼんやり観ていたら、
そのちょっと前から気になっていた、ピッチの周囲に何本も立っているポールが
ビーチ・カタマランのマストであることに気が付く。
サッカーグラウンドの中に、ヨット置場。
日本では考えられない組み合わせ。


2時間ほど南に走って、自転車専用道がなくなったところで、引き返すことにする。
南西の風が強くなって向かい風になり、走りにくくなったのが一番の理由だけど。
自転車が風に深く関わっていることを再認識する。
ヨットは風が無風の時には無風だけど、
自転車は無風のときでも、走っている限り常に見かけの風を感じているわけだからな。


芸術科学都市の前に出ていたカフェで昼食兼休憩しながら人間ウォッチングを楽しんだ後、旧川底公園を上流の端まで走る。


おばあちゃんと孫2人が、公園の中で貸し出している自転車でサイクリング中、を、
追い抜く前にパチリ。

自転車を2台つなげた、ヨットやカヌーで言えば双胴艇、カタマラン、あるいはダブルハルの発想の自転車。
おばあちゃんとお姉ちゃんの真ん中に乗って、漕がずに楽している少年の振り返りざまの笑顔がよかったんだけど、
うまく写っていなかった。



未来のスペイン・サッカーを背負って立とうとしている少年たちが熱いゲーム中。
寝転がって痛がるジェスチャーで相手の反則をアピールする技だけは、すでにプロ並。

アントニオ君というのが中心プレーヤーのようで、
「アントーニオ!xxx!」
「xxx!、アントーニオ」
という、コーチの声が、石積みの川の護岸でエコーしていた。
でも、もしかしたらアントニオ君のおとうさんの声が大きかっただけかも…。


サイクリングを終えて帰ろうとした矢先に後輪がパンクして、最後はちょっと大変だったけど、
バレンシア唯一の休日は、とても充実した楽しい一日だった。

2月20日 唐突ですが、ワイキキのSam's Kichin

2010年02月21日 | 風の旅人日乗
ホクレア&カマヘレのクルー、サムが経営し、自分で料理も作っている
ホノルル市内、ワイキキのど真ん中にある美味しい食堂を、
ハワイに行く機会の多い人たちに紹介したくて、
唐突ですが、ここで紹介します。



この人がサム。
ホノルルのホテルの部屋のTVで放送されている『アロハ天国』に出演していて、
ホテルを利用する日本人観光客の間ではちょっと顔を知られた、
人気者のようですが、ボクはそっちで活躍しているときのサムは知りません。

サムは、カマヘレとホクレアの大切なクルーです。
ワイキキ近くの、もう知らない人が多いと思うけどクラーク・ゲーブルという俳優が
『風と共に去りぬ』のギャラの一部で建てたスペイン風別荘の向かいの、
古くて小さな家に住んでいます。

サムはホクレアとカマヘレの出港準備のときも、
海の上でも、港に着いて片づけをするときにも、
みんなの先頭に立ってすごく働く。
誰かが困っていたら、すぐに手を貸す。
その上、料理がめちゃうまい。

そういうサムが出しているレストランです。
今はテイクアウトが中心だけど、
今の店舗のすぐ裏のスペースも借りて『小規模ワイキキ再開発』を計画していて、
そこにテーブル席を用意して、ビールや食後のコーヒー、アイスクリームを提供するカウンターも出す予定。



サムズキッチンは、ワイキキのど真ん中、ロイヤルハワイアン通りにあります。
ショッピングが好きな人には、ワイキキのデューティーフリーショッパーズのビル(写真に写っています)のある通りの、
チンチン電車の形の無料送迎バスが留まる目の前、といったほうが分かりやすいですね。



ここが、サムズキッチンの入り口、というか注文カウンター。
ホクレアのマイク・テイラーキャプテンが、
ここのイチオシ、あわびの炊き込みご飯、5ドルを注文してるところです。



これが、その、あわびの炊き込みご飯のサンプル写真。
ハワイ島の海洋牧場で、日本への輸出用に養殖した、
やわらかーい歯ごたえのアワビがたっぷりと入ってます。
日本産の大きめの、コリコリバキバキした歯ごたえの、
年配者にはちょっと辛いアワビと違って、
サクー、と歯が通る、旨いアワビです。

サムはその海洋牧場経営者と一生懸命に交渉して、
かなりリーズナブルな値段で仕入れているらしい。
その経営者もきっと、サムの人柄に惚れてしまったんだろうな。
で、この5ドルという値段が実現した訳ですが、それよりも味がすごい。旨い。
料理を知らないのでうまく説明できないが、醤油と出汁がアワビの旨みを引き立てて、
箸が止まらなくなるよ。



これは、ハワイ島産あわびのバター炒め、8ドル。
ぼく的にはビールか日本酒なしでは、食べるのが非常にもったいないメニューだったけど、
ランチに、大盛りご飯と一緒にこれを食べるのが大好きな、地元の肉体労働者も多いんだそうだ。



ショッピングや、ワイキキビーチで遊び疲れた人たちに人気なのが、この2品。

左は、ハワイ名物『ロコモコ』の、ハンバーグを照り焼きチキンに差し替えた、テリモコ。ボリューム満点の8ドル。
右は、これも人気メニューのミックス弁当、8ドル。
メインのおかずは、照り焼きチキン、ハワイ風マグロ漬け刺身(ポキ)、スパイシー海老マヨ、すき焼きビーフの4点の中から、2つを選ぶことができます。




これは、マグロ漬け丼、8ドル。
ハワイ滞在が長くなるときには、ぼくは、これがなければ生きていけない。
ハワイ近海で獲れるマグロには脂身がない、つまり、トロの部分がない。海水が温かいからだ。
しかし、ハワイ産のマグロの赤身は最高だ。
マグロは赤身に限る、鉄火巻きこそ命、を貫き通しているぼくですが、
サムの作る特製タレに浸したここの漬け丼は、
生のままの赤身よりも味に深みが増していて、これも箸と笑いが止まらなくなる。

ハワイに行くホクレア・ファンの方々は、サムズキッチンにぜひお立ち寄り下さい。
このレストラン経営が軌道に乗れば、サムはホクレアの世界一周航海に参加することができます。
よろしくご愛顧のほどを。