渡良瀬遊水池は、もともと足尾銅山事件による鉱毒を沈殿させ無害化させるために作られたのだそうだ。今は、岸で小魚が泳いでいるのも見える、自然に優しい湖であるが、かなり緑色に濁っている。透明度で言えば前に伸ばした自分の手が見える程度、50cmといったところで、かなり見通しが悪い。隣のスイマーや脇のスイマーは全くといっていいほど見えない。なお、飲んでも嫌な風味はない(僕は結構飲んでしまったが、お腹は壊さなかった)。
スイムパートは、今回最大の難関だった。正直なところ、甘く見ていた。
スタート時、かなり前の方に並んでしまったために、スタートと同時に勢いよく泳ぎだしても、左右や後ろからどつかれまくる。トライアスロンのスイムのスタート時の混乱のことを、俗に水中バトル(大会のルールにも書いてあった)と呼ぶが、言葉通りの乱闘でかなりの危険を伴う。
スタート直後は、僕もかなりの強度で泳ぎ始めたため酸素を必要とし勢いよく空気を吸おうとするが、前後左右からどつかれるせいで腕を回すこともままならず、体が沈み、息継ぎに失敗し、勢いよく水を飲んでしまった。すると気管に水が入り、むせ、げっぷをしないと息を吸えないが、上記のような体を自由に動かせないような状態で息を整えることもできず、数秒間のことだと思うが、息を吸いたくても(吸う必要があっても)全く吸えないという状況に陥り、体が動かなくなり、溺れてしまった。しかも、体が動かない中、後から後からスイマーが押し寄せてくるので、ますます身動きができず、体が沈む。本当に死ぬかと思った。ろくに空気を吸えない中、ガイドロープに捕まれば体の沈み込みを止め、一息つけると思い付き、スイマーの流れに逆らい浅い息をつなぎながら、ガイドロープにつかまり、手を降ってライフセーバーを呼び、浮き輪を投げてもらい、ようやくまともに息をついた。
スタートからまだ100mだが、精神的にはかなり参っていて、リタイアかなと思ったが、ライフセーバーのお姉さんに、続けるか棄権するか聞かれ、ガイドロープ沿いに泳げばまた溺れてもなんとかなるかと思い直し、泳ぎ直すことにした。
ガイドロープ沿いに泳ぎはするものの、第2ウェーブの選手が追いついてきて、またもみくちゃになったり、同じようにガイドロープ沿いに泳ぐスイマーにどつかれたり、180度ターンでどつかれたり、ほうほうの体になりながらも耐えて泳ぐ。そもそも、ヘッドアップの練習をせず、目標に向かって泳ぐことができなかったので、波で流されあさっての方向に泳ぐこと度々(風が強かった)。泳ぐ方向を間違うと、後ろから来たスイマーに脇腹をどつかれてしまう。周りに選手が少なくなり、ようやく自分のペースで泳げると思ったところで、またどつかれ溺れかけ、また自分のペースで泳げるように頑張るという繰り返しで、なんとか泳ぎきる。泳ぐだけでいっぱいいっぱいではあったが、次は得意のバイク。ウェットスーツを脱ぎながら走り、バイク用の装備を身につけ、バイクパートへ。
スイムパートは、目標は30分以内だったが34分48秒、195人中139位と散々な出来。
そんなわけで、恐怖と忍耐のスイムパートであった。周りの選手やスタッフにも迷惑をかけてしまったので、反省しきり。
そんなわけで失敗のまとめ。
・浮力の少ない袖なしウェットスーツを着たため、溺れやすくなってしまった。しかも、袖ありウェットスーツの方が速く泳げるらしい。
・ヘッドアップの練習をしていなかったので、目標のブイを目指して泳ぐことができなかった。
・十分な泳力がないのに、スタート時に前方に並んでしまったので、後ろからどつかれまくってしまった。
![]() |
ヴァセリン ペトロリュームジェリー(大)368g(並行輸入品) |
クリエーター情報なし | |
ヴァセリン |