DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

「ロッキー」になれた男

2020年05月29日 19時03分16秒 | ボクシングネタ、その他雑談

ウラジミール クリチコ(ウクライナ)の記事を書いているとき、気になった選手がいました。その選手とは、ウラジが世界王座になる前に敗戦を喫したロス ピュリティ(米)。ウラジは1998年12月、無名のロス ピュリティ(米)を相手にスタミナ不足をさらけ出し11回TKO負け。1996年アトランタ五輪金メダリストにとり、プロ25戦目にして初の黒星となりました。その試合でピュリティは番狂わせの主人公になると同時に、ウラジが保持していたWBCインターナショナル王座を手中に収めています。

(ウラジミール クリチコを破り、WBCインターナショナル王座を獲得したピュリティ)

ウラジのピュリティ戦までの戦績は24戦してすべてが白星。ピュリティも24度の勝利を挙げていましたが、同時に13もの黒星と、1つの引き分けを経験していました。アマチュアのスーパーエリートで、プロでも世界王者候補の筆頭と挙げられていたウラジを破ったピュリティですが、それ以前にも世間を驚かせる試合を行っています。ウラジと対戦する4年半前ピュリティは、元WBO王者王者トミー モリソン(米)と対戦。その試合では何と2度のダウンを奪うなどして引き分けという結果を残してしまいました。

終身戦績は31勝20敗3引き分けと並み以下のピュリティでしたが、拳を交えた相手は、ウラジ、モリソン、ブライアン ニールセン(デンマーク)、カーク ジョンソン(カナダ)、ハシム ラクマン(米)、マイケル グラント(米)、コーリー サンダース(南ア)、ラリー ドナルド(米)、クリス バード(米)、ビタリ クリチコ(ウクライナ)、エディー チェンバース(米)と、後の世界王者や、世界王座挑戦者の名前がズラリと並んでいます。そんな強豪たちと対戦したピュリティですが、喫した20の敗戦の内、17試合は判定まで粘っています。驚異的なタフネスといっていいでしょう。

ピュリティが獲得した王座はウラジから奪取したWBCインター王座だけでしたが、運がよければ更なる上のベルトを目指す事が出来たかもしれませんね。現代の「ロッキー」に成りえなかったピュリティ。敗戦を重ねながら実力を蓄えていくたたき上げの選手。もっと出てきてほしいですね。

実をいうとこのピュリティ、一度後楽園ホールで試合を行っています。1990年10月に来日し、当時日本を拠点としていたソウル五輪銅メダリストのアレクサンダー ミロシニチェンコ(カザフスタン)と対戦。6回TKOで敗れています。薄いとはいえ、日本との縁があった方なんですね!何かうれしい。引退から10年経った現在、米国・カンザス州で家族と平穏に暮らしているそうです。

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