私の囲碁歴は45年だ。大学の囲碁部に入って覚えた。それまではずぶの素人だった。優しい先輩方に教わり鍛われて、1年で初段になった。そして教養課程から専門学部に移る3年の頃には2段となった。地元の他大学との交流戦にも選手として出場してそれなりの成績も上げた。その他にも朝日アマ10傑戦などの一般棋戦にも武者修行の意気込みで出たりもして、充実したクラブ活動だった。ただ、3年の頃から囲碁の他にビリヤードやマージャン・パチンコなどの遊びに手を出して、本業が疎かになってしまったのが若気の至り。反省するところだ。
<o:p></o:p>
会社に入って、趣味が囲碁ということでずいぶんと得をしたように思える。配属された技術部の課長が囲碁2段で入社した早々から相手をさせられ、経理部長からは石を打つ手つきがいいとか言われて、社内誌に載せる囲碁の死活問題を担当させられたりもした。社長や専務クラスの人にも囲碁好きは結構いて、昼休みの遊び相手として可愛がられたりしたのだった。(現在でも社長から囲碁を教わっている。社長は強すぎるので、とても対局とは云えません)
<o:p></o:p>
囲碁は礼に始まり礼に終わる紳士のゲームだ。烏鷺の戦いではあるが、手談・手話などとも言って、相手が何を考えているか察することが出来る。対戦相手と心の交流が図れるのだ。このため、若輩者の私が先輩諸先生の考えを理解する機会も多く、何よりも碁仇という特殊な関係により、上層部の人とも割と気楽に接したりすることもできる。これは私の人生の中で最も大きなメリットであった。何しろ歴代社長や重役陣と囲碁を打つことで、同輩諸子から羨ましがられたりしていたのだった。
<o:p></o:p>
正式碁盤と9路盤、11路盤
このように囲碁を知っておくことは決して無駄ではないし、有効で役に立つことが多い。特に最近は世界的に知名度が上がっており、欧米諸国でも盛んだ。世界選手権でのナンバーワンは韓国だし、本家の中国はアジアオリンピックでも頭脳スポーツとして採用したように、囲碁発祥国として頑張っている。我が国でも専門棋士になると億単位の年収も無理ではないようだ。まぁ、億は無理としても囲碁の道場などを開けば生活する分には困らないようだ。
<o:p></o:p>
さて、我が家の孫3人。将来は何になるのか、今のところは自由に何でもチャレンジさせて、可能性を広げるように育てている。今のところ特に問題は無い。ところが、囲碁や将棋の専門棋士の話を聞くと初めて教わったのが5,6歳というのが多い。柔らかい頭脳のときに教え込むと伸びるようなのだ。となると、私もうかうかとはしておられない。孫たちに囲碁を教えなくては。といっても、無理やりに教えると嫌気がさすのが関の山だ。
<o:p></o:p>
とりあえず、和君に私の碁盤と碁石をみせて、「これなんか知ってる?」。負けず嫌いの和君、「テレビで見たことあるよ」。
<o:p></o:p>
その日は囲碁の真似事だけしたのだが、19路の正式碁盤では教わる方もまどろっこしいだろうし、嫌になるだろうから、小さい盤を作ることにした。さっそくホームセンターで木目が入った板を買ってきて、9路盤と11路盤の2種類を作った。
<o:p></o:p>
これで準備完了。和君が興味を失わないように、何とか教え込まなければ。ある程度ルールが分かれば面白くなって、みるみる強くなるとは思うのだが。いま、和君は世界の国(国旗と場所)に凝っている。私が知らない国旗を書いたり、地図で国や都市を探し出す問題をしている。次から次に、目まぐるしく興味の対象が変わっているが、さて囲碁はどうなるだろう。5年後、私が黒石を持って、教わっているかもしれない!
<o:p></o:p>