どんぐり眼日記

昔は日々の日記として、今は見た映画の忘備録として更新しています。

「テシス/殺人論文 次に私が殺される」

2009年04月09日 | 映画
ビデオで久々に「テシス/殺人論文 次に私が殺される」を鑑賞。
監督・脚本・音楽は若冠23歳の現役大学生でもあった新人のアレハンドロ・アメナバール。実録殺人ビデオ製作に絡む事件に巻き込まれた女子学生の恐怖を描いたサスペンス映画であるが、これが傑作!初めて見た時は衝撃を受けた。映像による暴力というテーマで映像学科の論文を書く主人公アナ・トレントの瞳が印象的。常に怯えてるのか驚いてるのか悲しんでるのか疑ってるのかよく分からない、どれも含んでるような表情で、その瞳を通して実際に映像には写されない描写を見ていくような感じの映画でした。主人公の行動だとかは久々に見ると、ちょっとぶっとび感というか突っ込み所というかはあるんだけども、サスペンス映画としてどんどん深入りしてゆく過程にはそんな事は気にならないというかどうなるんだろう?という気持ちの方が強いので面白く見れました。ヒッチコックの映画のような実に上手い見せ方とトリックで犯人はこいつじゃないか?等と思わせたり、思わされたりで舞台が映像学科だったり映画の作り手の視点も盛り込んで描かれるので非常に興味深く見れました。残酷な殺人映像がモチーフになってるんだけども実際には直接描写は無い。しかし、観客の想像力と見たくないけども見たいみたいな心理を上手く使って引き出していて見たような感覚にされる。それが特殊メイクとかで何でも見せちゃう感じよりも効果的でこの映画のテーマにも合っていて良かった。
二転三転する展開の後の結末は・・思っていたよりもあっさりしたものだったけれどもエンディングのエピソードが効いていて何とも言えない良さと警告みたいなものがあり、センスの良さを感じた。
この監督の次の作品「オープン・ユア・アイズ」も大傑作だった。その後の映画はまぁ良いんだけど、この初期の2作品には敵わない感じ。新作が楽しみな監督である。

コメント