栃木県はが郡の

陶工のつぶやき

たそがれの3歳児~その4

2012-12-20 17:59:26 | 作り話
前回までのあらすじ

たそがれの3歳児と時間犬は金色のオオクワガタを探しにでかけた

途中イトヨーヨーや隠れ婆さんに出会う

おねえの兵隊アリも加わり出発するのだが・・・




オオクヌギの木を目指して歩き始めた

たそがれの3歳児と時間犬とおねえの兵隊アリ

夜の森は真っ暗で時々ふくろうの声や

何やらわからない獣の声がする

急にバタバタと大きな鳥が飛び立った

「きゃあ!」と兵隊アリが時間犬にしがみついた

「おい!はなれろ。」

「だって~怖い~~。」

「お前は兵隊アリだろ。どうすんだそんなんで。」

「兵隊アリだって怖いものは怖いのよ。あたしはシチーガールだから。」

「なんだ?シチーガールって?ボーイじゃないのか?」

そんなやり取りをしていると

たそがれの3歳児が歩みを止めた

「しーっ・・・何かいるぞ。」

暗闇のむこうに青く光る目が見える

こちらが一歩進むと

その光る目は一歩退き

こちらが一歩退くと向こうが一歩進む

と言う具合で一定の間合いを保ったまま

近づいてこない

「時間犬・・・何なのか見てきてくれないか?」とたそがれの3歳児が言うと

時間犬とおねえの兵隊アリは顔を見合わせ

「どうぞお先に。」

「いえいえそちらこそお先に。」

と遠慮しあっている

らちがあかないので

たそがれの3歳児はその辺に転がっている石を投げてみた

「キャン!」と言ってその光る目はひっくり返った

近寄ってみると・・・犬か?これは?

それにしてもネクタイを締めたこの格好は?

「おい!大丈夫か?」と時間犬が言うと

大きなたんこぶをこしらえたそいつが目を覚ました

「う~ん。おいらはどうしたんだ?」

「お前は何者だ?」と聞くと

「おいらは、送り狼といいますねん。」・・・何故か関西弁?

「送り狼と言っても本当に送り届ける狼ですねん。仲間の迎え狼もよろしく。」・・・そんなのもいるのか?

「なんでこんな所にいるんだ?」

「隠れ婆さんに頼まれましてんねん。」

「そうだったのか。石を投げてごめんね。」

かくして仲間がもう一人?増えオオクヌギの木を目指す

たそがれの3歳児御一行様

オオクヌギの木までもう少しだ


続く