Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

中国製 古伊万里写 染錦 楼閣樹木文 中皿

2021年02月12日 13時14分00秒 | その他の古陶磁

 前々回から、古伊万里の勉強のためにこれまでに集めたヨーロッパの「古伊万里写」や中国の「古伊万里写」の紹介を始めたところです。前回は「ヨーロッパ製 古伊万里写 花文皿」を紹介したところですが、今回は「中国製 古伊万里写 染錦 楼閣樹木文 中皿」の紹介となります。

 前回紹介しました「ヨーロッパ製 古伊万里写 花文皿」は、昭和63年にルーブル美術館近くの古美術店から「古伊万里」として買ってきたものですが、帰国後、間もなく、ヨーロッパの「古伊万里写」であることに気付いたものでした(~_~;)

 それ以来、ヨーロッパの「古伊万里写」や中国の「古伊万里写」の物も実際に買ってきて勉強しなければいけないな~と痛感していたところです。

 それから、1年ほどが過ぎた平成元年のことです。東京・平和島の「全国古民具骨董まつり」会場で見つけたのがこの「中国製 古伊万里写 染錦 楼閣樹木文 中皿」です。

 売主も、これは中国の「古伊万里写」ですよと言って売っていましたし、私も、そうだろうなと納得して買ってきたものです。

 

 

中国製 古伊万里写 染錦 楼閣樹木文 中皿

 

表面

 

 

表面の見込み部分の拡大

 

 

表面の見込み部分の更なる拡大

楼閣の屋根や樹木の葉(?)は、染付で下描きの線描きをした上でダミてはいます。

 

 

縁文様部分(1)

縦の太い帯状の文様は、染付で下描きの線描きも施さずに、ベタッと染付で塗りつけてあるだけです。伊万里では見られない描き方です。

 

 

縁文様部分(2)

樹木の部分は、枯れ木に花が咲いているように見えます(><)

これは、お手本を見ながら、単に写しているからでしょう。

 

 

裏面

 

 

裏面の縁文様部分(1)

折枝梅文を描いたのでしょうけれど、花が、梅の花なのか桜の花(?)なのかわかりません。伊万里では考えられないことです。

 

 

裏面の縁文様部分(2)

折枝梅文を描いたのでしょうけれど、花が、梅の花なのか桜の花(?)なのかわかりません。伊万里では考えられないことです。

 

 

生 産  地 : 中国・景徳鎮(?)

製作年代: 中国・清時代(18世紀)

サ イ  ズ : 口径;22.4 cm  高さ;2.8cm  底径;11.8 cm 


ヨーロッパ製 古伊万里写 花文 大皿

2021年02月11日 16時45分54秒 | その他の古陶磁

  前回から、古伊万里の勉強のためにこれまでに集めたヨーロッパの「古伊万里写」や中国の「古伊万里写」の紹介を始めたところです。

 ただ、質量ともに貧弱で、それを紹介することはお恥ずかしい限りではありますが、古伊万里に関心のある方には少しは役立つこともあるのかなと考え、恥を忍んで紹介を始めたところです。ご覧いただければ望外の幸せに存じます(~_~;) 

 今回は、その内の「ヨーロッパ製 古伊万里写 花文 大皿」の紹介です。

 これは、先日(2021年2月7日)、「女性文デミタスカップセット」を紹介する際にも触れましたが、昭和63年にルーブル美術館近くの古美術店から買ってきたものです。

 その「女性文デミタスカップセット」を紹介する際に触れた文章というものは、再度掲載しますと、次のようなものでした。

 

「ところで、私は、このデミタスカップ(注:「女性文デミタスカップセット」のこと)を買うに至った時から約半年前、10日間ほどヨーロッパに行っていて、その際、パリのルーブル美術館の近くの古美術店から1枚の古伊万里の皿(口径23.4cm)を買ってきた経験があるんです。

 ヨーロッパに旅立つ前から、この際、是非、1点は古伊万里を、自らの手で里帰りさせたいなと思っていましたので、その思いが叶い、当座は大変に満足し、帰国後、毎日のように眺めていました。

 ところが、だんだんと、「どうも、これは、古伊万里ではないんじゃないかな~。ヨーロッパでの古伊万里写しなんじゃないかな~。或いは、中国の古伊万里写しなんじゃないかな~」と思うようになってきたわけです。

 ルーブル美術館の近くの立派な古美術店で「古伊万里」として売られていましたから、何も知らないでいた私は、すっかり信用していたんですね。  」

 

 ということで、私が、昭和63年にルーブル美術館近くの古美術店から買ってきた「ヨーロッパ製 古伊万里写 花文 大皿」というものは、次のようなものです。

 

 

表面 (口径:23.4cm)

 

 

裏面 (底径:13.4cm)

 

 

 また、この「ヨーロッパ製 古伊万里写 花文 大皿」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中の「古伊万里日々雑感」(平成26年3月11日の記事)の中でも既に紹介したことがありますが、それは次のようなものです。

 

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

*古伊万里日々雑感 フランス旅行」(抜粋) (平成26年3月11日(火))

 

 3月1日~8日までの8日間、妻と二人でフランスに行ってきました。

 といっても大袈裟なものではなく、極々普通の、旅行会社の企画によるツアーに参加しての旅行でした(~_~;)

 私は、25年前に(注:平成26年3月時点でのことです)、1度、ヨーロッパに行ったことはあるんですが、パリには長く滞在しませんでしたから、今回は是非、少しゆっくりとパリを楽しみたいと思い、パリを楽しめるコースのツアーに参加したわけです。

 コースは、

成田空港 → パリ(シャルル・ド・ゴール空港)(パリ泊) → シャルトル大聖堂 → ロワールの古城巡り(シャンボール城、シュノンソー城)(ツゥール泊) → モン・サンミッシェル(モン・サンミッシェル泊)) → オンフルール → ルーアン → パリ(パリ泊) → ヴェルサイユ宮殿 → ルーブル美術館 → セーヌ川クルーズ → (パリ泊) → パリ市内自由行動 → (パリ泊) → シャルル・ド・ゴール空港 →(機中泊) → 成田空港   

というものでした。

 ところで、このコース、極めてポピュラーなコースなんですが、若い方にはとっても人気があるようで、ほとんどの参加者が新婚さんでした(~_~;)
 新婚さん以外は、卒業記念旅行として参加した若い女学生といった感じで、老夫婦二人連れというのは我々のみでした(~_~;)
 当然、最高齢者でした!

 なお、今回は、最後の「パリ市内自由行動」の際も、古伊万里を探索することは止め、もっぱら観光に徹することにしました。

 と言うのも、25年前にパリに行った際、忙しい合間を縫ってルーブル美術館近くの立派な古美術店で「古伊万里」を買ったんですが、それが古伊万里ではなかったという苦い経験があるからです(><)

 当時、古伊万里は、日本よりはヨーロッパの方が安いということだったものですから、勇躍して買いに行ったんです。
 しかし、もう、その時点では安くなかったんですね。
 現実には、古伊万里の良いものは、既に日本に逆輸入されてしまっていて、安くて良い物は、あまり残っていなかったんです。
 田舎でコレクションをしていますので、その辺の事情をよく知らなかったわけですね。

 結局、挙句の果てに、古伊万里ではなく、ヨーロッパ製の古伊万里写を買ってしまったんです(><)
 当時の私としても、一応、古伊万里には、中国製の古伊万里写とヨーロッパ製の古伊万里写があるということは、書物等からは知ってはいたんですが、現物を見ていませんので、真贋の判定が出来なかったんですね。
 まだまだ、勉強不足だったわけです。

 お店も、ルーブル美術館近くの立派な古美術店ですし、そこで、ちゃんと「古伊万里」と表示してありましたので、それを信用して買ってしまったわけです。
 多分、当時としては、古伊万里の研究がそれほど進んでいませんでしたから、お店としても本物の「古伊万里」と思っていたのかもしれませんね(~_~;)

 そこで買ってきたのが次の写真の物です。

表  (口径:23.4cm)
 
 
裏 (高台径:13.4cm)
 

 おそらく、18世紀頃にヨーロッパで作られた古伊万里写ではないでしょうか。その時、1,900ルーブル(42,000円)でした。

 買った時は、「ヤッター! やはり日本よりは安い! わざわざ忙しい合間を縫って買いに来てよかった~」と舞い上がりましたが、その後ガッカリしたことは言うまでもありません(><)

 でも、今になってみますと、日本の方が古伊万里は安くなりましたから、18世紀のヨーロッパ製の古伊万里写というもののほうが、むしろ、高いかもしれませんね(~_~;)

 そんなことで、現時点では、パリで古伊万里を買うメリットはないと思い、観光に徹することにしたんです。

 

               <以下省略>

 

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 以上が、この「ヨーロッパ製 古伊万里写 花文 大皿」の入手にまつわる私のエピソードです。

 なお、上記しました、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の「古伊万里日々雑感」(平成26年3月11日の記事)で、この大皿を紹介しました際、或る方から、「これは、ヨーロッパ写しではなく、中国の清朝期の写しではないでしょうか」とのコメントが寄せられました。

 これを、ヨーロッパ写しとみるのか、中国写しとみるのかは、なかなか難しいものがありますが、私としては、やはり、ヨーロッパ写しなのではないかな~と思っているところです。

 

 

生  産 地 : ヨーロッパ

製作年代: 18世紀

サ イ ズ : 口径;23.4cm  高さ;2.7cm  底径;13.4cm


イギリス製 古伊万里写 草花文皿(額入り)

2021年02月10日 12時24分33秒 | その他の古陶磁

 ここのところデミタスカップの紹介が続きました。デミタスカップにつきましては、まだ、1~2点所蔵していますが、デミタスカップの紹介は、この辺で一旦休止し、これからは、これまでのデミタスカップの紹介の過程で話題となりました、ヨーロッパの「古伊万里写」や中国の「古伊万里写」を6~7点紹介したいと思います。残り1~2点のデミタスカップにつきましては、後日、追々と紹介していきたいと思います。

 まず、最初に紹介するものは、「イギリス製 古伊万里写 草花文皿(額入り)」となります。

 これは、昭和60年に、地方都市のデパートで開催された「骨董市」で買ったものです。

 私の古伊万里コレクションは、昭和49年に江戸時代前期の「伊万里 染付 草花文 油壺」を1,000円で買ったのがスタートですから、この昭和60年では、私の古伊万里のコレクション歴も10年を過ぎたことになります。

 その間、いろいろと勉強も重ね、本も読み、ヨーロッパでは古伊万里に憧れてその写しを作るようになっていたことを知っていました。

 そんなことから、この「イギリス製 古伊万里写 草花文皿(額入り)」を見たとき、「あぁ、これが、本などに書かれている、例のヨーロッパの古伊万里写か!」と思ったわけです。それで、さっそく、参考資料とすべく、購入におよんだわけですね。

 ところで、買う時点で、これが、何故、イギリス製だと分かったかですが、それは、売主が「これはイギリス製です」と言っていたからに過ぎません。売主の言っていることを単純に信じたからに過ぎません(~_~;) と言うのも、次の写真にもありますように、額に入っていて、その場で中身を取り出すのが困難でもあったものですから、ガラス越しで皿の表面を見ただけで判断せざるを得なかったからです。

 

 

イギリス製 古伊万里写 草花文皿

額に入ったところ

 

 ただ、この皿につきましては、「ヨーロッパの古伊万里写を買った!」というだけで満足し、中身の皿に特に関心があったわけでもなかったものですから、口縁にあったソゲ傷を補修して見苦しさを無くしてから、間もなく、額に入れて押入れの中に放置してしまいました(~_~;)

 それで、今回、紹介するに当たり、約36年ぶりに額から取り出して写真を撮ることにしました。

 

 

表面

口縁に2箇所、ソゲ傷がありますが(1時と7時の方向)、私が補修しました。

 

 

裏面

口縁に3箇所、ソゲ傷がありますが(1時と3時と8時の方向)、私が補修しました。

 

 

高台内の拡大写真

「PATENT IRONSTONE CHINA(特許 白色硬質陶器)」の刻印があります。

 

 

 上の写真から分かったことですが、高台内に「PATENT IRONSTONE CHINA(特許 白色硬質陶器)」と、英語の刻印がありますので、この皿は、やはり、売主が言っていましたように、イギリスで作られたようですね。

 また、指で弾いてみますと、キンキンという金属的な音がしませんから、これは、磁器ではなく、「 IRONSTONE CHINA(白色硬質陶器)」とありますように、陶器なようですね。

 なお、イギリスの特許制度には長い歴史があるようですから、「PATENT」と刻印されているからといって、新しいものとは思えないと思います。日本の場合は、「特許制度」は明治からのようですけれど、、、。

 以上のことから、この皿は、イギリスで、18世紀に、古伊万里を写して作られた陶器であることが分かります。この時点では、イギリスでは、まだ、磁器は作れなかったのでしょうか、、、?

 

 

生 産 地 : イギリス

製作年代: 18世紀

サ イ ズ : 口径;24.2cm  高さ;2.2 cm  底径;15.0 cm


染付 草木文 四方割 デミタスカップセット

2021年02月08日 16時16分11秒 | 古伊万里

 今回は、「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」の紹介です。

 デミタスカップにつきましては、1点目を昭和61年に買って以来、4年かかって、やっと、平成2年に、器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入することが出来たこと、そして、それを、前々々回に、8点目のデミタスカップとして紹介したこと、また、それを紹介する際に、

 

「 なお、この8点目の器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入するに至るまでに、「これって古伊万里のデミタスカップ?」というものを3点買っています(><) いわば、デミタスカップ蒐集の過程での授業料のようなものかもしれません(~_~;) それについては、参考までに、次回以降、3回にわたって、紹介したいと思います。」

 

と、ここ2回ほど同じような文面を記し、3点の内の2点までを紹介してきたところです。

 今回は、その3点のうちの最後の第3点目を紹介するもので、それが「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」となるわけです。

 これも、東京で、平成元年に買ったものです。

 これを最初に見たとき、「随分と薄作りだな~。有田で作られた伊万里焼が盛んにヨーロッパに輸出されていた江戸中期に、有田でこんなに薄いものを焼くことが出来たのだろうか? やはり、これは、中国製なのかな~」と思いました。有田の陶石では薄いものは作れないと言われていましたので、、。

 でも、これは、器面を4分割して文様が描かれているんですよね。デミタスカップは、普通、器面を3分割して文様が描かれていることが多いんですね。たまに、2分割して描かれているものもありますが、4分割というのは珍しいわけで、私は、それまでに見たことがなかったわけです。

 それで、「中国製でもいいか。参考品ということで買っとくか」ということで購入したものです。

 その後、特に調べもせずにそのままにしていましたが、今回、これを紹介するにあたり、もう一度、よく見てみましたら、これは、中国製ではなく、幕末頃の肥前産のものではないかな~と思うようになってきました(~_~;)

 と言いますのは、幕末頃になりますと、有田の焼物商社の先駆け的な事業を実践していた「蔵春亭」というような者が現れ、長崎の網代陶石や熊本の天草石を使用して薄手物を得意とした三川内に発注して輸出していたらしいんですね。また、佐賀藩も、他藩での商品の製造やその販売を禁じていましたが、その頃になりますと、国益上の見地から黙認したらしいんですね。

 私は、これを買った平成元年の頃には、そのことを知りませんでしたが、その後、知るようになったわけです。

 以上のことから、この「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」は、中国産ではなく、幕末の頃、肥前・三川内で作られたものではないかと思うようになったわけです。

 では、次に、「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」の画像を紹介いたします。

 

 

カップ&ソーサーの立面

 

 

カップをソーサーから外したところ

器面を4分割して文様が描かれています。デミタスカップとしては珍しい描き方です。

透けて見えるほど薄作りです。

 

 

カップをソーサーから外し、それぞれを伏せたところ

 

 

カップの立面(1)

 

 

カップの立面(2)

カップの立面(1)を右に45度回転させた面

 

 

カップの見込み面

透けて見えるほど薄作りです。

 

 

カップの底面(1)

高台内の銘款は、ソーサーの高台内の銘款とは異なります。

 

 

 

カップの底面(2)

カップの底面(1)を右に45度回転させた面

 

 

ソーサーの表面

器面を4分割して文様が描かれています。デミタスカップとしては珍しい描き方です。

 

 

 

ソーサーの側面

薄作りのせいなのか、かなりの歪みが見られます。

 

 

ソーサーの底面

高台内の銘款は、カップの高台内の銘款とは異なります。

 

 

生  産 地 : 肥前・三川内        or  中国・景徳鎮

製作年代: 江戸時代後期(幕末)  or  清時代前期

サ イ ズ : カップ ……口径;6.0cm  高さ;4.8cm  底径;2.3cm

      ソーサー…口径;10.1cm 高さ;1.5~1.8cm(歪みがあるため) 底径;5.0cm 


女性文 デミタスカップセット

2021年02月07日 18時51分04秒 | 古伊万里

 今回は、「女性文 デミタスカップセット」の紹介です。

 デミタスカップにつきましては、1点目を昭和61年に買って以来、4年かかって、やっと、平成2年に、器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入することが出来たわけですが、それを、前々回に、8点目のデミタスカップとして紹介する際、

 

「 なお、この8点目の器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入するに至るまでに、「これって古伊万里のデミタスカップ?」というものを3点買っています(><) いわば、デミタスカップ蒐集の過程での授業料のようなものかもしれません(~_~;) それについては、参考までに、次回以降、3回にわたって、紹介したいと思います。」

 

と記したところです。

 その3点のうちの第2点目として紹介するものが今回の「女性文デミタスカップセット」です。

 これは、昭和63年に、東京で買ったものです。

 売っていた業者さんは、これをオランダのハーグで仕入れてきたものだと言ってました。

 私は、これを見たとき、「はて、これは何処で作られたものなのだろうか? 伊万里でもなさそうだし、かといって、伊万里を写したヨーロッパ製でもなさそうだし、、、。文様からいって、中国の宮廷の女官を描いたようなので、中国製なのだろうか?」と悩みました。

 というのも、「中国においても、だんだんと伊万里写しを作ってヨーロッパに輸出するようになったようだから、これがオランダのハーグにあったとしてもおかしくはないな。伊万里写しの中国製なのかもしれないな。そうであったとしても、今後の参考資料となるから、買っとくか!」ということで購入に及んだものです。

 ところで、私は、このデミタスカップを買うに至った時から約半年前、10日間ほどヨーロッパに行っていて、その際、パリのルーブル美術館の近くの古美術店から1枚の古伊万里の皿(口径23.4cm)を買ってきた経験があるんです。

 ヨーロッパに旅立つ前から、この際、是非、1点は古伊万里を、自らの手で里帰りさせたいなと思っていましたので、その思いが叶い、当座は大変に満足し、帰国後、毎日のように眺めていました。

 ところが、だんだんと、「どうも、これは、古伊万里ではないんじゃないかな~。ヨーロッパでの古伊万里写しなんじゃないかな~。或いは、中国の古伊万里写しなんじゃないかな~」と思うようになってきたわけです。

 ルーブル美術館の近くの立派な古美術店で「古伊万里」として売られていましたから、何も知らないでいた私は、すっかり信用していたんですね。

 しかし、それ以来、世の中には、相当な量、ヨーロッパの古伊万里写しが存在するし、中国の古伊万里写しも存在することを知ったわけです。

 そんな体験があるものですから、このデミタスカップを買う時点で、このデミタスカップが本歌の古伊万里であるとは、スンナリとは信じなかったわけです(~_~;)

 以上のような話はさておき、今回、この「女性文 デミタスカップセット」を紹介するに際し、買ってから32年ぶりに改めて見てみて、これは、やはり、本歌の古伊万里なのではないのかな~との思いが強まりました(~_~;)

 と言いますのは、このデミタスカップに描かれている女性の左袖が長く描かれていることから、これは、中国の宮廷にいる女官を描いたものなのだろうと思っていたからです。

 しかし、今、写真を撮っていて、人物を拡大してみますと、これまでは、長い袖が描かれているものとばかりに思っていましたが、それは、袖ではなく、背景の「山」のようなものを描いていることに気付いたからです。

 そうは言いましても、32年が経過した今でも、やはり、このデミタスカップが、本歌の古伊万里なのか、或いは中国製なのかはハッキリとは分からないことを白状いたします(><) 古伊万里の判定には難しいものがありますね(~_~;)

 またまた、前置きが長くなりました。今回紹介する「女性文 デミタスカップセット」の写真は次のようなものです。

 

 

カップ&ソーサーの立面

 

 

カップをソーサーから外したところ

このデミタスカップは、デミタスカップとしては一般的な、器面を3分割して文様を描いている部類に属すると思われます。

 

 

カップをソーサーから外し、それぞれを伏せたところ

 

 

カップの立面(1)

 

 

カップの立面(2)

カップの立面(1)を右に45度回転させた面

 

 

カップの見込み面

 

 

カップの見込み面の人物部分の拡大画像

女の人の右下に描かれた動物は兎のようです。

女の人の左腕は赤い長い袖に覆われているのではなく、左腕のところの赤い袖のように見えるものは、背景の山並みを表現したもののようです。

 

 

 

カップの底面(1)

 

 

カップの底面(2)

カップの底面(1)を右に45度回転させた面

 

 

ソーサーの表面

 

 

ソーサーの表面の人物部分の拡大画像

女の人の右下に描かれた動物は、犬のようにも見えますが、カップの見込み面に描かれた動物は兎のようですから、それと対比しますと、やはり、兎が描かれているものと思われます。

女の人の左腕は赤い長い袖に覆われているのではなく、左腕のところの赤い袖のように見えるものは、背景の山並みを表現したもののようです。

 

 

 

生 産 地  : 肥前・有田   or  中国・景徳鎮 

製作年代: 江戸時代中期  or   清時代前期

サ イ ズ : カップ………口径;6.0cm  高さ;3.7cm  底径;2.8cm

      ソーサー…口径;10.6cm  高さ;2.0cm  底径;5.4cm