国と自治体の民主主義の違い

2010-01-29 13:22:55 | 議会活動
28日は午前中は雨でした。時々雪もまじる悪天候。午後からはお天気も持ち直したためブドウ園に出て作業をしました。夜は東御市九条の会の役員会でした。

今回から先日松本で聞いてきた、元我孫子市長、中央学院大学教授福島浩彦氏の講演録を掲載します。

「自治体の民主主義と国の民主主義とは性格が違う。国の場合、国民は選挙で国会を選び、国会が総理大臣を選び内閣を作る。つまり議院内閣制だ。国会が唯一の国民の代表として行動する。これに対し自治体は長(市区町村長・知事)と議会をそれぞれ別々に選び民意を二つ作る。そして長は主に執行を、議会は決定を担当し二つの民意が拮抗しながら自治体を運営していく。」

「もう一つ違うのは、国民は国会議員を選挙で選んだら憲法改正の国民投票以外は主権の行使を国会に任せている。国会議員をリコールをしたり国会を解散させることはできない。しかし自治体の場合は違う。市民は選んだ市長や議員をリコールすることも、議会を解散させることもできる。また国に対し法律の直接請求はできないが、自治体に対して条例の直接請求できる。常設型の住民投票条例を制定している自治体もある。」

「つまり市民は、国の場合は国会に主権を預け、国会という1つの民意を中心に政府を動かしていくが、自治体では執行を担当する長と決定を担当する議会に分けて主権を代行させ、かつ市民が直接、監視と参加を行っている。選挙で選んだ長と議会という2つの民意と、市民の直接参加、この3つの力が緊張関係を持ちながら自治体を運営し、結果として主権者市民の意思を反映させている。」

「しかし、実際には多くの自治体が国の制度と混同しているように見える。例えば市長が重要な施策を行う際、『市民に説明していない』と批判されると、往々にして『市民の代表である議会に説明した』という方が多い。確かに国ならば『国民の代表である国会に説明したから国民に説明したことになる』と言える。しかし自治体は議院内閣制ではない。市長は市民から直接選ばれており市民に直接説明する責任がある。」

「また、市長が徹底して市民参加を進めると、今度は議会が『市民の代表である議会軽視だ』と批判したりする。これも完全に国の制度と間違えている。国の場合、国会をさておいて国民とだけやれば、それは国会軽視になる。総理大臣は国会から選ばれ内閣は国会に責任を持つからだ。しかし市民から選ばれた市長は、市民から直接意見を聞くのは当然だ。議会は市長以上に議会は直接市民から意見を聞かなければならない。長も議会も徹底して市民参加を進めその力を対抗させ合うのが二元代表制だ。」

「国会の場合は与党と内閣が一体となって政府を運営する。しかし、自治体においては議会の多数党から長を出しているわけではないので与党、野党は存在しない。」

「市長は市民からさまざまな意見を聞きながら条例案・予算案をつくり議会に提出する。これに対し議会は全議員が是々非々の立場で、やはり市民の意見を聞きながら、議案が市民の利益にかなっているか、よりよい地域づくりにつながるか議論して決定する。自治体では市長体議会なのだ。だから市長と議会は市民に見えるオープンな場所で議論するべきであり、市長が議会の『与党』と称する人たちと事前に打ち合わせすることはない。」


国と自治体との違いを明確に語ってくれました。まさに目からウロコでした。福島さんは国の場合は間接民主主義だけれど、自治体の場合は直接民主主義だとまでおっしゃっていました。自治体に与党野党はなく、全議員が是是非の立場で議論すべきだという意見は納得できるものでした。

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