長野県は9月21日に県内市町村の2009年決算の財政指標を発表しました。その結果が22日付けの信濃毎日新聞で報道されました。東御市は実質公債費比率は14.7%(県下19市中15番目)、将来負担比率は111.5%(同12番目)となりました。
「実質公債費比率」「将来負担比率」といっても一般的にはなじみがありません。これはあの夕張市の財政破綻を契機に設けられたものです。夕張市はかつては石狩炭田の中心都市として栄え、最近では夕張メロンの産地としても知られています。しかし3年前の2007年に財政再建団体に指定され事実上財政破綻しています。
私たちが銀行から借金するときまず考えるのはどのくらい返済にまわせるか(返済額)ということです。返済額が多くなると暮らしが大変になります。次に考えるのはいくら借りるか(借入額)ということです。あまり借りすぎるとこれからの負担が大変になります。
自治体の場合もまったく同じです。年収に対する返済の割合のことを「実質公債費比率」と言い、年収に対する借り入れの割合のことを「将来負担比率」と言います。
「実質公債費比率」、すなわち年収に対する返済割合は東御市の場合14.7%です。平成18年には16.8%、19年は15.4%、20年は16.0%で推移してきました。この間借金の繰上げ返済を行なったので今年は1.3%下がっています。基準では25%以下でなくてはなりません(長野県王滝村は昨年は32.1%で財政再建団体になっています)。
「将来負担比率」、すなわち年収に対する借り入れ金の割合は東御市の場合111.5%です。平成19年には114.8%、20年には109.4%で推移してきました。基準は350%、年収の3倍半以内でなくてはなりません。ちなみに小諸市や佐久市では将来負担比率が記載されていませんが、これは借金があっても貯金の範囲内に納まっていることを意味しています。
東御市はいまのところ問題はありませんが、これから舞台が丘整備、保育園建設など大型公共工事が目白押しです。大きな借金もしなければなりません。反面平成26年からは合併後10年間認められていた特例措置がはずれ、地方交付税が削減されます。借金は増えるが収入は減るというダブルパンチに見舞われます。その時この数値がどうなるのかが課題です。
借金はしないにこしたことはありません。しかしそれで市民の安全や快適な暮らしが脅かされるとすれば本末転倒です。借金の内容を精査し、必要欠くべからざるものについては適切な借り入れを行うことが必要です。今後ともこの二つの指標について注目して行きたいと思います。