加山到のハマッ子雑貨飯店

おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい雰囲気が伝われば嬉しいなっと。08年11月6日開店!

一冊の本

2009-09-17 | 中国
昭和47(1972)年6月。我が家は父の転勤に伴い中国・北京に渡りました。情報交換や通信機能の発達している現在と違って、庶民レベルの“生活状況”や“社会環境”などの情報は皆無といっていいほど入ってこなかった、言わば「未知の国」。そんな国へ赴く前に父から手渡されたのがこの『となりの国・新しい中国』(高田富佐雄/著 偕成社)でした



昨日まで仮面ライダーだ、ウルトラマンだと言って遊びまくっていた私にとって、本に出てくる「革命」「解放軍」「社会主義」や“質素な生活環境”など記述は、いくら少年少女向けに書かれているからといっても、小学校3年生の私にはなかなか理解できませんでした



自分の国の首相が誰なのか知らないのに(当時は田中角栄氏に交代した直後)、本を読んで毛沢東を先に知り、通った小学校の教室にはその毛さんの肖像画が必ず飾られていました。



言わば教科書的に手渡された本書を読み、質素な生活環境や町並み、服装、文化などをとりあえず知ったわけですが、北京に渡るとその文面に書かれていた光景がそのまま目の前に広がっていました。仮面ライダーやウルトラマンはもちろん放送されていない。チャンネルは2つだけ。それも白黒テレビ。放送時間も夜7時から10時まで。子供心にもかなり困惑した日々だったに違いありませんが、僕は北京を受け入れ、北京も僕を受け入れてくれました。
本書を手渡されてから37年。その父もすでに他界していますが、この本は亡き父の面影と共にきれいに手元に保管しています
コメント (2)
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