夕べ話したオヤジたちは、皆、加害者に同情的だった。
25歳も歳下の女に入れ上げて破滅した50男。
もちろん悪いのは男で、殺された被害者はお気の毒だ。だがその気にさせた被害者にも少なからぬ責任があるのではないか。
高齢者の仲間入りをしたオヤジたちには、高級な車やバイクを売ってまでも若い女に貢いだ50男の純情は、愚かしく痛々しく、それでもアスファルトで砕けたガラスのように小さな光を照り返している。
汚れた純情。
太宰治は御伽草子の「カチカチ山」で、タヌキにこう叫ばせている。
「惚れたが、悪いか〜!」。
ウサギに騙され、泥舟に乗せられたタヌキ。
惚れた男はいつもバカで情けない。
でも、そんなバカが懐かしくもある。
それは、年老いた男たちが失ってしまったものだからだ。
もちろん、あそこまで愚かではない。