「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」48点★★
16世紀イタリアの天才画家
カラヴァッジョの生涯を描いた作品です。
画家の生涯モノって
映画的には、正直あまり当たりに合うことがない。
この映画も133分もあるのに
話は教科書的で
あまりおもしろくない。
しかし、それでも
知ってる絵画の謎解きがされるのって
けっこうおもしろいんですよ。
「こういう状況で描かれたのか~」とか
「こんな意味が隠されていたのか~」とか。
だから見てしまうんですねえ。
カラヴァッジョはものすごく激しやすい性格で
芸術家のくせにすぐに剣を抜く
超破滅型。
キレてはケンカの繰り返しで
絶えず死の影に囚われ
38歳で亡くなってしまったのですが
そう言われて改めて絵画を見ると
宗教画なのに
首切りの描写などが
異常なまでに残酷だったりすることに気づきます。
絵を描くときに
必ずモデルを使い、そのまんまのポーズをつけて
下絵もあまり描かなかったとか
あの独得の陰影のつけかたも
実際に屋根に穴を開けてその下に立たせたり
光をコントロールして
見たままに描いていたというのがすごくおもしろい。
またイメージ通りの女性がいれば
娼婦だろうが関係なく
聖母のモデルにしたりと
依頼主の教会などに決して日和ることなく
自分を貫こうとしたんだなあということが
わかります。
さらに絵画の光と影のコントラストを
そのまま転換した映像は一見の価値あり。
「ラストエンペラー」などで
アカデミー賞を3回受賞した
撮影監督のすご技です。
それだけに
映画としてはもっと
魅力的に演出して欲しかったんですが
こういう映画を学校で見せると
がぜん美術に興味が沸くと思います。
ただ133分、どうやって工面するかが
問題ですよねえ。
2コマぶっ続けでも足りない・・・
★2/13から銀座テアトルシネマで公開中。ほか全国順次公開。
「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」公式サイト