ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ソラニン

2010-03-13 18:48:27 | さ行
なんだろう
見終わってから、じわじわこみ上げてきましたよ・・・


「ソラニン」71点★★★


OLを2年で辞めた
主人公・芽衣子(宮あおい)

彼女は大学時代からバンドを続けている
恋人の種田(高良健吾)
「ちゃんと音楽やってみたら」とすすめる。

しかしその後、種田は事故で死んでしまう。

残された芽衣子
彼の志を継ぐべくギターを手に取り・・・という話。


話だけ聞くと、“いかにも”な感動話っぽいでしょう。
だから正直、食指がわかなかった。


しかし。
あんまりそういうところが
映画のポイントではなかったんです。

これはひたすら
学生時代~20代前半の
「モヤモヤ」した時間と空間を
再現しようと試みた映画だったんですよ。


見ていて
若いころぼんやり見ていたアパートの日の光や

二度と同じものを見ることができない
あの空気を
もう一度感じることができたんです。

それで
じわじわ何かがこみ上げてきたのかもしれない。


さらに
号泣シーンをあえてハズしてみたり
感動を煽るような音楽を流さなかったり


泣けそうな話をいかに「ちがう手で」みせるかという
作り手の挑戦と熱い試行錯誤も
伝わってきました。

舞台となる多摩川河川敷周辺の
のーんびり感もまた
心地よいですよ。


いま閉塞感のなかでもがいている若者にも

かつてその時代を過ごし
いまだ「何ものでもない」オトナたちにも
共鳴を与える映画だと思います。


それにしても
主人公をはじめ


いい味だしてる友人役も(サンボマスターの近藤洋一氏)も


原作者も


監督も

みんなメガネ男子ってのがえらく気になります・・・


★3/3から全国で公開。

「ソラニン」公式サイト
コメント (4)
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