石井裕也監督は、
女性主人公のほうが、楽しそうだな。
「ハラがコレなんで」59点★★★
妊娠9ヶ月の原光子(仲里依紗)は、
少々、せっぱ詰まっていた。
お腹の子の父親(アメリカ人)とは
とっくに別れており、
親にも頼れず、所持金もなく、
アパートを出て行くことになる。
しかし、光子は動じない。
「いい風が吹いたときに、ドーンと行けばいいから!」と
常に前向きな女なのだ。
そして彼女は
子ども時代を過ごした、貧乏長屋にたどり着く。
そこには喰えない大家のオバチャン(稲川実代子)や
幼なじみの陽一(中村蒼)らが
まだ暮らしていた。
さて、光子に
“いい風”は吹いてくるのか――?!
「みんな大変。でも、がんばるしかないよ!」と
眉間にしわ寄せ、風のように流れながら
ぶっとく生きる妊婦の騒動記。
ヒット作「川の底からこんにちは」に通じる
「こんな世の中、とにかく生きるしかない!」というメッセージが
実にくっきり表れています。
演じる仲里依紗も
振り切れてて、たくましい。
笑いどころもなくはないんですが、
ただ
どうも話に練りが足りない気がする。
キャラだけを立たせようとしても
全体の肉付けをしないと
難しいんですよね。
さらにその細い骨格を埋めるように
「デンデラ」のようなオババや、
光子の回想シーンが挟まるのもまどろっこしい。
「あぜ道のダンディ」より
生き生き描いてる感じはしましたが、
たとえ売れっ子でも
ちょっと製作ペースが速すぎるのでは?
ネタも才能も、もうちょっと熟成させたほうが
いいような気がします。
★11/5から渋谷シネクイントほか全国で公開。
「ハラがコレなんで」公式サイト