ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ハラがコレなんで

2011-11-04 23:03:38 | は行

石井裕也監督は、
女性主人公のほうが、楽しそうだな。

「ハラがコレなんで」59点★★★


妊娠9ヶ月の原光子(仲里依紗)は、
少々、せっぱ詰まっていた。

お腹の子の父親(アメリカ人)とは
とっくに別れており、

親にも頼れず、所持金もなく、
アパートを出て行くことになる。

しかし、光子は動じない。

「いい風が吹いたときに、ドーンと行けばいいから!」と
常に前向きな女なのだ。

そして彼女は
子ども時代を過ごした、貧乏長屋にたどり着く。

そこには喰えない大家のオバチャン(稲川実代子)や
幼なじみの陽一(中村蒼)らが
まだ暮らしていた。

さて、光子に
“いい風”は吹いてくるのか――?!


「みんな大変。でも、がんばるしかないよ!」と

眉間にしわ寄せ、風のように流れながら
ぶっとく生きる妊婦の騒動記。

ヒット作「川の底からこんにちは」に通じる
「こんな世の中、とにかく生きるしかない!」というメッセージが
実にくっきり表れています。

演じる仲里依紗も
振り切れてて、たくましい。


笑いどころもなくはないんですが、

ただ
どうも話に練りが足りない気がする。

キャラだけを立たせようとしても
全体の肉付けをしないと
難しいんですよね。

さらにその細い骨格を埋めるように
「デンデラ」のようなオババや、
光子の回想シーンが挟まるのもまどろっこしい。


「あぜ道のダンディ」より
生き生き描いてる感じはしましたが、

たとえ売れっ子でも
ちょっと製作ペースが速すぎるのでは?

ネタも才能も、もうちょっと熟成させたほうが
いいような気がします。


★11/5から渋谷シネクイントほか全国で公開。

「ハラがコレなんで」公式サイト
コメント (2)
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