ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

アントキノイノチ

2011-11-14 22:13:39 | あ行

「余命1ヶ月の花嫁」のスタッフが贈る感動作、とか
言わないほうがいいのに。


「アントキノイノチ」60点★★★☆


高校時代のある事件がきっかけで
心を閉ざしてしまった杏平(岡田将生)は

父(吹越満)の紹介で
遺品整理業の仕事を始める。

遺品整理業とは遺族に代わって、
亡くなった人の部屋や荷物を片付ける仕事だ。


杏平は淡々と作業をする先輩社員のゆき(榮倉奈々)に
仕事を教えてもらいながら、

様々な人々の
“生きた痕跡”と向き合うことになる。

だが、あるとき
杏平はゆきの秘密を知ることになり――?!


ああ、最後が惜しいなあ!
ベタながら、まあ悪くない流れだったんだけどなあ。


題材となっている遺品整理業は
とてもいい視点だと思うんですよね。

最近の「エンディングノート」ブームといい、
みんなタブーではなく、死について語ったり、
「人生の終い支度」を考えるように
なってきはしましたが

それはあくまでも自分のなかでの整理であって、

本当の「片付け」っていうのは
こういうことだよね、というのが見られるから。

きれい事じゃないよね、というのを知るのって
シビアだけど、大事だと思う。


そんな題材の妙と、榮倉奈々が光るので
この点数。


でもやっぱり
特殊な仕事場ゆえに
“傷を持った人々が集う”ってのは
あまりに安直だよなあ。

で、主人公自身がその仕事を通じて、
自分の過去と向き合う、というのも
通り一遍、なんだよなア。

なにより、やっぱりラストが!
さだまさしの原作だそうですが、
原作もこのラストなのかなあ。


「ヘブンズ ストーリー」の瀬々監督作風は
ほとんど感じられないけど、


手持ちブレあり、わざとオートで焦点を合わせたような
ラフな映像が、ちょっとした“尖り”かもしれない。

少々、映像酔いする場面もありましたが。


にしても。

岡田将生氏ってこういう
精神的に不安定というか
もろい感じの役が多いですよねえ。

しかも制作側が
あまりキャラを描き込まなくても
顔の美しさで語れる、と
よっかかっている気がする。


美形は美形なりに
大変そうですね。
ハイ、大きなお世話でした。

★11/19(土)から全国で公開。

「アントキノイノチ」公式サイト
コメント (6)
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