ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

恋の罪

2011-11-10 23:22:29 | か行

主演女優との結婚も話題になりました
園子温監督。トバしてますね。

「恋の罪」58点★★☆


90年代、渋谷・円山町。

ラブホテル街の一角にあるアパートで
女の変死体が発見された。

刑事・和子(水野美紀)は
捜査を進めるうちに、
二人の女性に行き着く。

人気作家を夫に持つ
清楚で献身的な妻(神楽坂恵)と、

エリート大学助教授(富樫真)。

なんの接点もないような二人が、
なぜ事件の捜査線上に浮上したのか――?

そして事件は思わぬ展開を見せてゆき――?!



「冷たい熱帯魚」のヒットのせいか、
はたまた
題材となった東電OL事件に新展開があった
タイミングだからか、

試写室は連日、立ち見なほどの超満員!


で、映画はというと、
まさに東電OL殺人事件に
インスパイアされた話ですね。

ただ
「冷たい熱帯魚」よりも
暴力描写は抑えめなので、
その点はご心配なく。


お堅そうで実は秘密を持つ女刑事と、
有名作家の“お飾り的”満たされない妻。

そして
彼女を目覚めと開放に誘う女が主人公で、


刑事役の水野美紀の体当たり芝居は確かに
「おっ」と見応えあります。
(初っぱなからエロいシーンで、
「え?これ誰だっけ・・・?」くらいのインパクトが。笑)


ただ、映画としての密度はあるんですが、
内容の充実度が「冷たい熱帯魚」ほどでない、というのが
正直なところ。


“満たされない主婦”といった
ありがちな日常の枠をはめながら、
芝居が日常に降りてないんですよね・・・。

エロも衝動も想定内で
想像を超えてないっていうか。


詩をあちこちで象徴的に使いながら、
「言葉」と「肉体」の同調を説く
その意図は悪くないと思うんですが、

わざとそう演出してるのだとは思いつつ、
大げさで演劇っぽい会話に
少々、辟易。


売春をする女(富樫真)に、
「弟子にしてください!」とすがる
主婦(神楽坂恵)とのやりとりなんて


かなりスパルタ指導で、
北島マヤと月影千草の如し、と笑っちゃいました。


ただ
震災後を舞台にした
「ヒミズ」よりは、いいとは思いました。


★11/12(土)からテアトル新宿ほかで公開。

「恋の罪」公式サイト
コメント (3)
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