あけましておめでとうございます。
今年も番長と映画を、よろしくお願いいたしまする。
で、2012年1発目はこちら。
「パーフェクト・センス」59点★★★☆
ユアン・マクレガー主演の、静かなる終末SF映画です。
イギリス、グラスゴー。
シェフのマイケル(ユアン・マクレガー)は
特定の恋人を持たない気ままな独身男。
その日も、一夜限りの恋人を
明け方に部屋から追い出したところだった。
その同じ朝、
感染症の専門家スーザン(エヴァ・グリーン)のもとに
ある事例が持ち込まれる。
中年男性が、突然
「生きる意味が分からない」と泣き崩れ、嗅覚を失ったというのだ。
しかも、同じ症例が24時間内に
イギリス国内だけでなく
ヨーロッパ中で発生しているという。
新たな感染症なのか――?
それともバイオ・テロ――?
調査を進めるスーザンは、
偶然、マイケルに出会い――。
すべての人々が「ある病」に感染していく世界の無情と哀しみを、
恋人たちの姿に映した作品です。
やはり感染症の恐怖を描いた
ソダーバーグの「コンテイジョン」も
比較的静かな演出でしたが、
こちらは科学的な説明やリアリズムをも廃し、
より静かに、詩情豊かな演出で、
終末感を切なく描いている。
人間の五感=センスがなくなっていくという
おっそろしい病で
シェフなんかにはまさに致命的。
演じるユアンも
たびたび絶望しそうになるんですが、
しかし、彼はあきらめず、捨て鉢にならず、
なんとか料理を楽しむ方法を考えだし、前へ進もうとする。
どんなに悲惨な状況下でも、
人間はそう簡単には折れない、折れられないんだ、というのが
この映画の言わんとするところと思います。
終わりゆく世界で
なんとか温めあおうとする恋人たちの姿も情感たっぷりで
作り手の狙い通りに仕上がってると思うし、
映像も美しく、
アプローチも好きなんですが、
逆に驚きや意外性がないのが、うーん残念。
パニック映画と違うのはわかるんですが、
やっぱりもうちょっと真に迫る恐怖は欲しかった、とか。
無い物ねだりするのも
申し訳ないんですけどね。
ただ、見終わって意外に
印象には残っているなあと。
特に12月から
グズグズと風邪が治らず、味覚も嗅覚もどんどんマヒしていってる番長。
この話、あながちSFとも言えない?なんて
ちょっとゾッとしますね。
★1/7(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開。
「パーフェクト・センス」公式サイト