ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ピアノマニア

2012-01-17 23:44:00 | は行

うひゃーおもしろい。目が釘付けでしたよ。

「ピアノマニア」78点★★★★

超一流のピアニストたちに絶大な信頼のある
ウィーンのピアノ調律師、シュテファン氏。

勤勉かつ謙虚な彼の
プロフェッショナルな仕事ぶりを追うドキュメンタリーです。

音楽オンチの番長、
そもそもハッとしたのが、

ピアニストというのは
自分の楽器を持って歩けないんですよね。
気がつけば「そりゃそうだ」なんですが(苦笑)

なので演奏会場で、
ピアノと初対面しなきゃいけない。

そのときピアニストたちが
「頭に思い描く音」に近づけるために、

またCDを録音するときにも
「出したい音」に近づけるために、

調律師とは
正しい音を出すだけじゃなく
あらゆることを調整する人なんだ、と知り
ただただ、感服いたしました。


シュテファン氏は
有名演奏家たちのムチャぶりにもひたすら応え、
ダメ出しされても
「落ち込んでなんかないよ、研究だ」と研鑽と、謙虚な姿勢を崩さない。

それに驚いたのが
「音」という感覚的なモノを表現する言葉が
実に多彩なんですよ!

「広がる」「軽く」「丸くない」「スマート」……etc。

それでお互い、通じるんだもんなあ!


そして演奏家とは
「ん、今の音に名前をつけておこう!」と言うほど
こだわりがあるわけで。

そんな演奏家とのCD録音作業のくだりは
かなり、手に汗かくスリルです。

“仕事”を極めることの素晴らしさを目の当たりにし、
その職人技と姿勢に、
最大級の賛辞を送りたくなる。

裏方万歳!


発売中の『週刊朝日』(1/27号)に掲載中の
おなじみ「ツウの一見」で
ジャズピアニストの岸ミツアキさんにお話を伺いまして
とっても興味深かったんですが、

一番おもしろかったのが

「ホント言うと、僕らにとっては
『この映画、何がおもしろいんだろ?』って。
だって、自分たちが普段やってることが
そのまんま映ってるだけだから」って!(笑)

ブラボー!(笑)

★1/21(土)からシネマート新宿で公開。ほか全国順次公開。

「ピアノマニア」公式サイト
コメント
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