ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

誰よりも狙われた男

2014-10-13 19:48:45 | た行

これ続きモノになりそうだったのに・・・(涙)


「誰よりも狙われた男」71点★★★★


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ドイツ、ハンブルグ。

9.11のテロ首謀者が潜んでいたとされるこの地では
今も秘密裏に厳戒態勢が敷かれている。

そんななか
テロ対策チームのリーダー、バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は
港から密入国したある男に目を付ける。

しかし、彼を泳がせ、さらなる大物を釣ろうとするバッハマンは
ドイツの諜報部や
出張ってきたCIAと対立することになり――。

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今年2月、46歳で亡くなった
フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作。

見ながら、心底惜しいと思った。

むちゃくちゃハードボイルドな映画で
フィリップ・シーモア・ホフマン、
いままでにないほど、静かにキャラ立ってるんですよ・・・。

刑事コロンボか、
はたまたフロスト警部みたく
シリーズになりそうなのに・・・惜しい。ほんっとうに惜しい。

普通の人を演じた彼は
「25年目の弦楽四重奏」(12年)がマイベストだけど
ハードボイルドではこれがいい。

まあ実際
ホフマン氏がもういないという事実が
主人公バッハマンの破滅的で、しかし任務に誠実なキャラに被って
思い入れを深めていることも、あるとは思います。


お話はスパイもので
「裏切りのサーカス」のジョン・ル・カレが原作。
あの映画はどうしても眠かったけど
この映画は、スキッと見られる。

主人公がしっかりしていることに加え
写真家アントン・コービン監督ならではの
画角の的確さ、明快さが大きいと思う。

決して無粋でないバランスで
誰と誰が敵対しているとか
誰が誰を尾行しているとか  

人と人の関係性や状況を視覚情報として、きちんと伝えてくれるから
説明なしでも、わかりやすいんですねえ。

ドンパチなしの心理戦なのもオトナ。

最期にふさわしいとは思うけど
ゆえに、より、惜しい・・・(泣)


★10/17(金)からTOHOシネマズシャンテほか全国で公開。

「誰よりも狙われた男」公式サイト
コメント
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