下半身があってこそ、人間がリアルに息をする。
「さよなら歌舞伎町」72点★★★★
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新宿の、ある朝。
ミュージシャン志望の沙耶(前田敦子)は
一緒に暮らす恋人の徹(染谷将太)に
「デビューできるかもしれない」と話す。
そんな徹が出勤したのは
歌舞伎町のラブホ。
彼は沙耶に内緒で、そこで店長をしていた。
同じ朝、
韓国人のヘナ(イ・ウンウ)と恋人(ロイ)は軽いケンカをし、
里美(南果歩)と男(松重豊)は
怯えるようにコソコソと暮らしている。
そんな歌舞伎町の人々の一日が、今日も始まる――。
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「ヴァイブレータ」(03年)の
廣木隆一監督×荒井晴彦脚本コンビによる
ラブホを舞台にした人間模様。
若いカップル、訳ありそうな中年の男女などなど
幾つかエピソードが同時に進み、
ネタの中身はマンガ『深夜食堂』ふうというか
それをさらに密に、分厚くした感じとも言えますが
爽やかな朝のカップルのじゃれあいから
ラブホのベッドの上まで
どこにも“生きてる”空気があり、
なかなか見応えありました。
前田敦子氏の出番はもっとあっていいと思うけど(苦笑)。
染谷将太氏が、
就職に失敗してラブホ勤務という
やるせない若者のモタつきと
うめきをよく表現してる。
“夜”っぽい題材に似合わず、
朝や昼間の明るい陽光に照らされたシーンが心に残り
ピンクさもあり、しかし青春映画の佇まいというのが
いいっすね。
★1/24(土)から新宿テアトルほか全国順次公開。
「さよなら歌舞伎町」公式サイト