「ずいーん……」と、静かに落ちますが
相当響きます。
「おみおくりの作法」73点★★★★
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ロンドンの民生係ジョン・メイ(エディ・マーサン)は
独りで亡くなった人の葬儀を執り行うのが仕事。
生前のその人を思い浮かべて弔辞を書いたり、
身内を懸命に調べたり、
真摯に仕事をする彼もまた44歳、独身だ。
そんなある日、
彼の向かいに住んでいた男が独りで亡くなる。
フクザツな思いで彼のことを
調べ始めたジョン・メイだったが――?!
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他人事じゃないし、
やりきれなくて陰鬱なんだけれど好きな話。
グレートーンの映像も
几帳面な主人公の必要最小限な暮らしぶりも
ミニマルで美しく、全体にスウェーデン映画のようでした。
冒頭、
さまざまな宗派の葬儀に一人ぼっちで参列する主人公をパッパと見せ、
それだけでやるせなさが伝わってくる。
なかでも強烈に印象的だったのが
飼い猫を残して、一人で亡くなった女性のエピソード。
彼女の部屋に最近送られてきたバースデーカードがあって
「実は身内がいるのか?!」となったら
実はそれが、彼女自分で書いて自分に出した
「猫からのカード」だったという。
もう痛くて直視できません(笑)
そんな人々の遺品を整理し、葬儀を出す
主人公もまた独り身で
リストラにあい、しかし最後の案件を前に一歩を踏み出すという。
オチには驚きもするんですが
まあ
死者も生者も結局こんなもの、という
突き放した感じはいい。
「孤独死」という言葉が煽る“かわいそう感”に
常日頃から違和感を持つワシですが
そう思ってんなら
いつお迎えがきてもいいように支度しとかなあかんな、と
改めて思わされました。
あと、ヤバイ手紙は始末しとこ(笑)。
★1/24(土)からシネスイッチ銀座ほかで公開。
「おみおくりの作法」公式サイト