ベン・ウィショー好きな人には
絶対に、強固に、おすすめ(笑)
「追憶と、踊りながら」72点★★★★
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ロンドンの介護ホームで暮らす
初老の中国人女性ジュン(チェン・ペイペイ)。
英語を話せない彼女の楽しみは、
優しい息子のカイ(アンドリュー・レオン)が
ちょくちょく面会に来てくれることだ。
だがジュンは、カイが一緒に暮らしている
友人リチャード(ベン・ウィショー)を気に入らない。
そんなある日、
リチャードが一人でジュンを訪ねてきて――。
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1975年、カンボジア・プノンペン生まれで
その後ロンドンに移住した
ホン・カウ監督の長編デビュー作。
ベン・ウィショーをして「ラブリー」と言わしめ
本人もインタビューのなかでさりげなくカミングアウトしているので
母親にカミングアウトできないまま不在となった青年とその母親、青年の彼氏の
手探りの邂逅というこの題材は
とても無理なく、自然に選ばれたものだと思う。
セピアがかったやわらかな映像と描写に
細部まで統一感があり、完成度が高い。
そして
ベン・ウィショーの、身をちぎられるような演技が
そりゃあもう切なくて切なくて、泣ける(泣)
カイ役のアンドリュー・レオンも
まあ端正なハンサムで(笑)
とても美しいカップルですな。
母親が中国語しか話せないので
リチャードが女性の通訳を雇うんだけど、
その通訳とリチャードのやりとりが明るくて
フッと笑える場面につながるのもよかったな。
回想シーンと現在の時間の境界を淡くしてあるのも
映画全体を覆うどこか夢のなかのような、
ほんのりした甘い優しさになってました。
ただ
この境界の淡さって、認知症の初期症状なんじゃないかとも思う。
まだそんなに高齢ではない母親をホームに入れた理由も
それで説明がつくかなと、想像しました。
★5/23(土)から新宿武蔵野館ほかで公開。
「追憶と、踊りながら」公式サイト