ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

パーティーで女の子に話しかけるには

2017-11-30 23:45:38 | は行

ジョン・キャメロン・ミッチェル監督は
天使のような方でした……


「パーティーで女の子に話しかけるには」70点★★★★


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1977年のロンドン郊外。

エン(アレックス・シャープ)は
パンクに熱狂している男の子。

しかし内気で
パーティーで女の子に話しかけることもできない。

ある夜、エンは友人たちと
不思議な音楽を追って、ある屋敷にたどり着く。

そこでは見たこともないコスチュームの男女が
謎のパーティーをしていた。

そこでエンは美少女ザン(エル・ファニング)に出会い
恋に落ちる。

しかし
ザンにはある秘密が――?!


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「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督作品です。

ワシ、
「ラビット・ホール」(10年)はセリフをいまも引用するくらい好き。
「ショートバス」(06年)もすごく好き。

痛みを知る人の言葉は
いま痛い痛いと思っている傷に、やさしく効くんだよね。


そんな彼が撮った新作。
これが、しばしあっけにとられるほど、ぶっ飛んでました(笑)


宣伝ビジュアルからイメージする
ボーイ・ミーツ・ガール予想はあっさり振り切られ

パンク好きの男の子が出会う謎の美少女ザンは
あっさり宇宙人だし(笑)

パンク×宇宙ファンタジー×意外に王道のボーイ・ミーツ・ガール?!という感じ。

音楽も映像も、パンクはもちろん
70年代のサイケデリックふうな要素もあり
なかなか摩訶不思議


でも、魔法のように愛らしいエル・ファニングと
ボブ・ディランみたいなちょい古い顔の主人公の恋には
ちゃんと、胸キュン感があるんですよねえ。

それに
奇想天外に見えて
この物語には、現実社会へのメタファーが盛り込まれている。


ザンの仲間の宇宙人たちは
地球人を“異質なもの”として怖がっていもいて
ザンに「地球人と付き合っちゃダメ」という。

さらに
宇宙人同士の中にもそれぞれコミュニティーがあり、
互いに相容れない文化を持っていたりする。


異質なものを怖がり、排除し、分断する――
これって、現代社会とまるっきり同じじゃないですか。

宇宙人ザンと地球人エンの恋の行く先は
我々への希望となる
メッセージなのかな、と思いました。


来週、12/4発売のAERAにて
ジョン・キャメさんにインタビューをさせていただいております。
いや~めっちゃキュート!というと失礼かもですが
天使のような微笑みに、ノックアウト!

しかし
やっぱりパンクスピリット旺盛で
トランプ政権にも痛烈な批判を浴びせていらっしゃいました。

ぜひぜひご一読くださいませ~!


★12/1(金)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。

「パーティーで女の子に話しかけるには」公式サイト
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