広い版「ルーム ROOM」という感じ。
いや、全然明るいんですけどね。
「フロリダ・プロジェクト」72点★★★★
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フロリダ、ディズニー・ワールドに隣接する
「マジック・キャッスル」に暮らす
6歳のムーニー(ブルックリン・キンバリー)。
いたずら好きでおてんばな彼女は
友達とつば吐きゲームをしたり、キャハハと笑い転げ
走り回って、毎日を楽しんでいる。
若くてきれいなママ(ブリア・ヴィネイト)は優しいし、
管理人のボビー(ウィレム・デフォー)も
怒りつつも、ムーニーを見守ってくれている。
だが、ムーニーが暮らしているのは安モーテル。
家を持てない人々が、ギリギリの生活をする場だった。
そして、ついに
幸せなムーニーの日々に変化が起こり――?!
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全編iPhoneによる撮影で
街に生息するトランスジェンダーを描いた「タンジェリン」(15年)で
注目されたショーン・ベイカー監督(イケメン!笑)の新作です。
パステルカラーの安モーテルで暮らす母と子のお話で
フロリダのディズニー・ワールドに隣接するモーテルの
実情がもとになっているそう。
実際、この「夢の国」の周辺には
自宅を持てない貧困層の家族が多く暮らしているんですね。
キャッチーな包み紙で、シビアな現実問題をくるみ、
楽しみながら、いろいろを考えさせる。
それが、監督のスタイルのようです。
パステルなモーテルや、近隣のショッピングモールが
世界の全てである母と子。
置かれた状況はかなりシビアなんですが
でも、そんななかでも6歳の少女ムーニーは、
まったくフツーに、楽しそうに日々を送っている。
その傍若無人っぷり、イタズラ好きな伸び伸びっぷりがサイコーで
(ちょっとね、この子、二階堂ふみ氏に似てる。笑)
どんな状況でも楽しみに変えることができる
子どもの感覚を
よくとらえていると思いました。
そして、そこには
どんな状況でも子どもにベストの世界を作ろうとする
母親の努力も見える。
そんなところが「ルーム」を想起させたんだと思います。
パステルでマジカルな色調のなかでも
母子の行く末は決して明るいわけじゃない。
彼らの前に、世界に開けてはいるけれど、
実は、どこか閉じている。
「環境が人を作る」、その様がなんとも複雑な感情を残すあたりも
うまいなあと思いました。
それに
おてんば少女ムーニーを上手にいなし、困窮する母子とも距離を取りつつ、
実はしっかり見守ってるウィレム・デフォーがいい!
おなじみAERAの新連載コーナー「いま観るシネマ」で
ショーン・ベイカー監督にインタビューさせていただきました!
「ルーム」を想起した…と言ったときの、監督の反応は?
ぜひ誌面をご覧くださいませ~!
★5/12(土)から全国で公開。
凄い皮肉!
たっぷりのスパイスが効いてるっす!