いや~、この話は当然
リアルタイムで知ってますからねー。
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」77点★★★★
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1970年、アメリカ・オレゴン州。
トーニャ・ハーディングは
白人の低所得層である母ラヴォナ(アリソン・ジャネイ)のもとに生まれた。
母に暴力を振るわれながら育ったトーニャだが
幼いころからスケートに興味を示し、4歳で才能を開花させる。
ラヴォナはそんな娘を「貧困脱出のカギ」とにらみ、
コーチをつけ、特訓をする。
そして1991年。
成長したトーニャ(マーゴット・ロビー)は
全米選手権でアメリカ人で初めてトリプルアクセルを成功させ、
一躍注目を浴びるのだが――?!
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とにかく主演の
マーゴット・ロビーが素晴らしい!
彼女の熱演で
がらっぱちで下品なイメージの人物に(失礼!)
新たな命が吹き込まれてる。
……ただ、この話のすべてが、真実かどうかは、そりゃわからないけどね。
1994年に起きた
ナンシー・ケリガン襲撃事件は当然、リアルタイムで知ってたけど
(ええ、けっこうフィギュアスケートに夢中な女子でしたw)
改めて見ると本当に格好の少女漫画ネタみたい。
そもそもが
あまりにスキャンダラスで、色物的に見られがちな話だけど、
そこをワザと安っちく、自虐的笑いにしている脚本の愉快さと
マーゴット・ロビーの熱演に引っ張られて
この話の、まったく別の側面も見えてくる。
つまり
当時、遠い異国の我々でもうっすら抱いていた
トーニャ・ハーディングという人への印象――
演技からも見える典型的な“アメリカ”っぽさというか、荒っぽさや大味さ、
上品や優美とはまるで逆の
言ってしまえば
うーん「お里が知れる」的な粗忽さ?(ごめん!)
それが
やはりお里=家庭環境にある、ということなのかなあと。
そして「そういう目で見られる」こと自体が
彼女が課された役割であり、差別だったんだなあと
つくづく、気の毒に感じてしまいました。
母親のモンスターっぷりと
(演じるアリソン・ジャネイの重低音な迫力!「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドといい勝負!)
その影響下での幼少からの体験が
“だめんず”を許してしまう、自己評価の低い女性へと彼女を作り上げてしまった、
そのを悲しさとあわれさ。
なんといっても
自国アメリカでもこんなにも嫌われ、冷遇されていたとは……。
その、気の毒さに胸の奥がツーンとしました。
ちなみに
トーニャの幼少時代を演じるのは
「gifted/ギフテッド」で大注目されたマッケナ・グレイスちゃんです。さすが、光るわー。
★5/4(金・祝)から全国で公開。
冒頭から交わされる会話がいちいち笑えて秀逸でした!
2人ともアカデミーノミニーになり、特に凄みがあったアリソン・ジャニーは助演女優賞を獲得。
ホント、会話とか笑えるんですよね。
いくらでも泣きも入れば
被害者にもなれる話なのに
あえて突き放して語る愉快さ、
それによって観客が感じられるだろう「真実」を
役者はよく理解して演じていたんだなあと思います。