泣けた。人の優しさに。
「風の電話」78点★★★★
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小学生のとき、3.11の津波で
家族全員を失ったハル(モトーラ世理奈)は
広島に住む叔母(渡辺真紀子)に引き取られ
高校生に成長していた。
そんなある日、
叔母が突然の病に倒れてしまう。
「なぜなの?もうこれ以上奪わないで!」
悲痛な思いに囚われたハルは、あてどなくさまよった末に
故郷・岩手県大槌町を目指し、ヒッチハイクをはじめる。
さまざまな人と出会い、助けられながら
ハルが辿り着いた先は――?!
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「ライオンは今夜死ぬ」(18年)などで知られる
諏訪敦彦監督が
東日本大震災を主題に据えた作品。
津波で家族を失った少女ハル(モトーラ世理奈)が
岩手県の故郷を目指し、
袖振り合うも多生の縁、な経験をしてくロードムービーで
なにより
登場する役者たちの人間性がそのまま現れたような自然さに
ずしーん、と心が動きました。
映画全体に
監督の信条である「即興芝居」の精神がしっかりと貫かれ、
それゆえに
手出ししすぎず、すべてを役者にゆだねたかのような自然さが
観ている人にも伝わってくるんですね。
ヒッチハイクで故郷を目指すハルは
道中、さまざまな人に出会う。
ほとんど口も聞かず、表情も動かさないハルが
制服姿でフラフラと歩いているのを見かねて
クルマに乗せてくれる人、食事をさせてくれる人――
観ていると、それをしている役者たち――
三浦友和氏、西島秀俊氏、山本未来氏――など全員が
本当に、ハルに手を差し伸べているように感じる。
素の真心(まごころ)が自然に感じられて、心に沁みるんです。
さらに、入館管理局に捕えられた父を待つ
クルド人一家のエピソードも自然に盛り込まれ、
いま、日本に起こっている問題が
リアルに映し出されていく。
絶望のなかに、光が戻るラストも見事でした。
「東日本大震災」は、描きつくされた感あるかもしれないけど
これを観ると
「違う。まだ、終わっていない」と、確かに感じて
そこが、すごいなあと感じました。
ワシはこっちのチラシが好き。
で、「週刊朝日」で主演のモトーラ世理奈さんに
インタビューさせていただいています。
すっごく可愛くて、おもしろいモトーラさんですが
この映画に出ることで
いまのトーキョーや日本に感じた「違和感」を話してくださって
ズゴン、ときた。
その感覚は、確かに映画にも映っていると思います。
「AERA dot.」に転載されていますので
ぜひ、映画と併せて、ご一読くださいませ~
★1/24(金)から全国で公開。
突然クルド人の人権問題が出てきたので、その後のあの俳優さんの長台詞の中にこの夏の国を挙げての愚挙に対する一言を期待していましたが.......。
まあだいたいいい人ばかり出てくるのも仕方ないところですかねぇ。
人も、縁も
やさしすぎた、ですかね?(笑)