個人的には
前作「潜水服は蝶の夢を見る」より上~
「ミラル」80点★★★★
画家でもあるジュリアン・シュナーベル監督の新作。
1948年~94年のパレスチナを舞台に
それぞれの方法で運命と戦おうとする
4人の女性を
一人一人を「一章」として描き、
かつそれらがつながっている、という
実話をもとにした物語です。
一人目はヒンドゥ(ヒアム・アッバス)。
1948年、エルサレムの路上で
彼女はユダヤ民兵に親を殺された孤児たちに出会い
私財を投じて孤児院を作ることにする。
二人目は
美しいナディア(ヤスミーン・アル=マスリー)。
辛い過去を背負う彼女は
些細なことで投獄されてしまう。
三人目はファーティマ(ルバ・ビラール)。
勇気ある行動で投獄された彼女は、
刑務所でナディアと出会う。
そして四人目はナディアの娘ミラル(フリーダ・ピント)。
ヒンドゥの孤児院で育ち、
利発な少女に成長した
ミラルのたどる運命とは……。
イスラエルとパレスチナの紛争が背景にありますが、
特に政治事情やら説明はナシ。
「よほどのマヌケでなきゃ
背景くらい読み取れるわよね」つう、毅然さがイカしてる。
さらに
光と色、レンズを駆使した
シュナーベルらしい美的センスと素晴らしい音楽が
シリアスなストーリーを
しっかり目で楽しませ、魅せてくれます。
まさに絵と音楽、ストーリーで
“映画を奏でている”状態。
特にラスト、
トム・ウェイツの歌にしびれました。
また女優陣が、
映画好きなら「うひゃ!」というメンツ。
「シリアの花嫁」「扉をたたく人」の
ヒアム・アッバスに、
ミラル役のフリーダ・ピントは
「スラムドッグ$ミリオネア」のラティカだし、
ナディア演じるヤスミンは
「キャラメル」に出演。
さらに「ジュリエットからの手紙」も記憶に新しい
ヴァネッサ・レッドグレイヴも出演してます。
この話はミラル自身であり、
現在作家兼ジャーナリストとして活躍している
ルーラ・ジブリールの自伝に基づいているそう。
またこの人が、実際えらい美人なんですが(笑)
「いのちの子ども」で学びましたが、
イスラエル・パレスチナ問題は
半世紀以上も続き、
本当に血みどろで、出口がない。
でも、そのなかには
こういう崇高な意志を持った人がいて、それを継ぐ人がいる。
これが希望でなく
なんであろうか、と。
いい映画です。
★8/6からユーロスペースで公開。ほか全国順次公開。
「ミラル」公式サイト
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