なんともフレッシュな才能に、出会えた喜びよ。
「若い女」74点★★★★
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フランス・パリ。
31歳のポーラ(レティシア・ドッシュ)は
10年付き合った恋人に、突然、部屋から放り出された。
途方に暮れたポーラは、衝動的に彼の愛猫を盗み、
友人の家に身を寄せる。
だが、ポーラの無神経ぶりに愛想を尽かした友人は
彼女を家から追い出す。
しかたなく安宿に泊まるが、そこでも猫の存在がバレて追い出される。
猫を連れて、パリを徘徊するポーラ。
彼女の明日は、いったいどっちだ――?!
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86年、フランス生まれのレオノール・セライユ監督作。
冒頭からギョッとするほど、破壊的キャラのヒロインが登場し、
しばらくはあぜんとしつつ
成り行きを見守るしかありませんww
ヒロイン=ポーラは、
自分の“人生の旬”を捧げた年上の恋人にフラレて
やけっぱちになっている。
しかも「彼の女」という地位に満足していた彼女には
自分自身の未来のビジョンも、行き場もない。
ゆえに、
途方に暮れ、猫を連れて、パリの街を徘徊することになる。
そんな様子を、カメラは追っていくんです。
正直ポーラって、感情移入の対象にはとてもならない人物。
エキセントリックで粗野で、自己チューで嘘つき。
しかし! ある場面から、猛烈に彼女に心をつかまれたんですよね。
それは、ポーラが友人宅からも宿からも追い出され、
にっちもさっちも行かなくなって、地下鉄の構内に佇むシーン。
助けを求めるような目をして、行き交う人々を、ただ見つめる。
誰かにすがりたいのに、「助けて」と声を出せない。
そんな彼女の孤独との闘いかたが映画ににじみでていて、グッとやられました。
全然、大丈夫じゃないのに「大丈夫」って言ってませんか?
「困ってる?」と聞かれても「ううん」と答えちゃってませんか?
そんな経験、誰にでもあるでしょ?
だからこそ、ポーラがだんだん愛すべき人に見えてくるんだと思う。
グレタ・ガーウィグがやりそうなキャラを
さらにアップデートした感じで演じた、レティシアがいい。
そして
人間はやっぱり一人では生きられない。
「誰か話す相手がいるか」がどれほど重要かを思い知らされました。
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