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これは、観てよかった!
「シシリアン・ゴースト・ストーリー」76点★★★★
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シチリアの小さな村。
ルナ(ユリア・イェドリコヴスカ)は密かに
同級生のジュゼッペ(ガエターノ・フェルナンデス)に恋をしている。
ある放課後、ルナはジュゼッペにラブレターを渡し、
ジュゼッペは乗馬の練習に彼女を誘う。
二人の気持ちは、つかの間、通じ合った。
が、その直後、ジュゼッペは突然姿を消してしまう。
そしてなぜか両親も、彼の家族も彼の失踪について口を閉ざす。
いったい、何が起こったのか――?
ルナはジュゼッペを探そうと決意するが――。
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1993年、シチリアで実際に起きた事件を基にした
美しく哀しいラブストーリー。
それはひどく残酷な事件なのだけれど
監督コンビはその事件を、愛と魂のストーリーに昇華し、
現実の「無念」を晴らすかのように
この世に、留めたのだと思う。
洞窟から滴る水滴が
少年の飲み水につながる印象的なオープニングから、
「グレート・ビューティ/追憶のローマ」(13年)の名カメラマン、ルカ・ビガッツィによる
(ワシ、これ映画はダメだったけど、カメラは素晴らしかった!笑)
映像は美しく、不思議に幻想的で
自然や動物たちなどを象徴的に描き、
「ああ、こういうことなのか」とすべて腑に落ちて行く。
悲惨な現実を
大きな自然や大地の力で洗い流すようでもあり。
少年少女の無垢な愛が
汚れた世に、ひとしずくの清らかなエッセンスをぽとりと落とす――
そんな感じがしました。
奇しくも劇中で一人の少年が神話の「パン」の名を口にするように
「パンズ・ラビリンス」に通じる鑑賞後感があったなあ。
★12/22(土)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。
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