25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

腰が軽いか重たいか

2019年02月01日 | 日記
「ちょっと、ちょっとこれ持っていって」と母の家の近所の方が「広報おわせ」をぼくに手渡した。すぐにぼくは裏の「人の動き」の欄を見る。先月と比べて、12月末現在ということで、世帯数が15減っている。人口は24人減って住民票のある人は17,924,人である。人口はどんどん減っていく。「河原町らあ、空き家ばっかやんな」と配達のおばさんが言う。

 世帯数が減るということは空き家が出て来るということだ。空き家になれば、とりあえずは家の中にあるものの処分が必要だ。それと掃除。廃棄処分はシルバーセンターの登録男性が受け持ち、掃除は登録女性が受け持つ。この仕事が多くて、シルバーセンターは忙しいらしい。世帯数15のうち全部が全部シルバーセンターというわけでもないだろうが、それにしても結構な数である。

 自分のことを考えてもわかる。処分すべきものとそうでない物は子供たちがするのだろうが、結局シルバーセンターに頼まなければならないことだろう。その量たるや、と考えてもぞっとする。母親の家だけでも今からぞっとしているので、この頃、細君と相談して、捨ててもよいものをこっそりと母親に黙って、捨てている。毎日ちょっとづつやれば、結構違うことだろう。

 ぼくの事務所に使っている部屋にも相当な物がある。これまでの仕事の物だ。本、雑誌、前のパソコン、書類ケースがいくつも。本棚がいくつもある。バリ島のマッサージクリームだのなんだかのと一杯ある。この解決には、まだ絶対に必要なものだけに印をつけて、あとは全部一斉に廃棄をお願いすることだ。1日で済むことだろう。どこかで重い腰を上げなければならない。

 神戸の芦屋に住む仕事上の付き合いがあった先輩に仕事のことで連絡をしたら、「すべて仕事から引退しました。ベネッセとも接点はありません。ぼくはもう古希ですよ。こちらにくるときがあればランチしましょう」ときた。「何を言っているのですか。今どきの古希っていうのは80のことですよ。腰が重くなったらいけませんよ。ぼくは58歳ですよ」と返しておいた。

 腰が重たいのは実はぼくもそうである。車で東京まで走るのが億劫になった。ホテルの予約をし、紀勢本線に乗り、新幹線に乗り換え、品川からまたどこかに向かうことを想像するだけで億劫になる。情けない話ではある。がよくよく考えてみると、強い動機さえあれば、腰はシャンと上がるはずだと思う。例えば、シアトルまで飛行機で飛び、美味しいダンジリン蟹でも食おう、と誘われたら、きっと腰は上がると思う。さすがにオリンピックのために上京する気にはなれない。