25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

兆候

2019年03月18日 | 社会・経済・政治

 朝のテレビ画面の左上には花粉情報と時計。主たる報道は「アポ電強盗」。オレオレ詐欺とは違い、強盗あるいは強盗殺人の話題である。電話を使って現金があるかどうか確かめてから、押し入る。静岡県の小山町の電話名簿が手に入ったのだろう。対処法を紹介するだけで社会的背景については語らない。

 これはたいへんなことだ。閉塞した日本が貧しくなっていく兆候のような事件だ。本当は東京オリンピックのために公共工事をやっている場合ではない。建物を建てるよりも、教育力を高め、悪さを考えなくてもよい仕事とそれに相応する賃金があり、起業したければ、支援制度があるような社会を作る必要がある。格差は差が小さいほうがよいだろう。

 アポ電強盗の犯人たちの生育歴をたどってみる必要がある。彼らはこっそりと犯罪という形でやっているが、もしも政府は、年金が支払えなくなり、仕事はAIにとって替えられ、労働者の存在が不要となる事態となれば、老人も若者も、元労働者も、保育園にいかせられない主婦も怒るだろう。暴力、押し込みも起こることだろう。今、パリで起きているではないか。

 「アポ電強盗」をする犯人の声を聞いてみたいものだ。なにか社会に不満があるのか、たんなるアホな悪人なのか。

 雇用状態はよい、と安倍首相は胸を張るが、少子化なのだから当然だろう。それに女性と老人をかり出している。それが完全雇用に近い状態だ。問題はみなそこそこ仕事に耐えられる仕事についているかという厄介で深い問題がある。

 日本社会は今どんな状態なのか、総点検してみる必要がある。平成も終わることだから、どこも試みるだろう。統計を操作していると、そもそもの基本がわからなくなるのだが。