エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

沈丁花

2014年03月28日 | ポエム
沈丁花に、白と赤があるのは既に知られている。
特段、贔屓目に云う訳ではないけれど、匂いの強さは赤に軍配が上がると思うのだ。

この時期、薄明の街を歩いていて「そこはかとなく」鼻を突くのはやはり赤色の沈丁花のような気がする。



沈丁花の季節、最初は何の臭いかと戸惑ったりする。
数日して、花が目に付きだすと「嗚呼、あの匂いは沈丁花だった」
「そうか…沈丁花」
などと変に合点したりするのである。







「その角の誘い誘わる沈丁花」







この匂いは、鼻孔を甚(いた)く刺激する。
まるで、女が男を誘うような・・・そんな甘美で猥雑な匂いである。

けれど、決して卑猥に堕してはいない匂いである。



沈丁花の花言葉は・・・。
「栄光」「不死」「不滅」「歓楽」「永遠」である。




文部省唱歌 朧月夜





名前の由来は香木の沈香のような良い匂いがあり、丁子(ちょうじ、クローブ)のような花をつける木、という意味でつけられた。
学名の「Daphne odora」の「Daphne」はギリシア神話の女神ダフネに因むし「odora」は芳香があることを意味する。


朧月夜こそ、この匂いは相応しい。
ギリシア語で月桂樹の意味を持つ、高貴な花なのである。



      荒 野人