アーバンライフの愉しみ

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モーツアルトの人間性に触れる~高橋英郎著「モーツアルトの手紙」

2015年04月10日 | 読書三昧
転居先から徒歩5分ほどのところに、市の芸術文化センターがある。
500席ほどのコンサートホールなのだが、幸いなことに図書館が併設されていて、小生ら「本の虫」夫婦にとっては大助かりである。

過日、この図書館を訪ねてみると、従前の町の図書室とは違い、やはり蔵書の幅が大分広いことがわかった。

そこで、音楽関係の書棚を覗いてみると、以前から読みたいと思っていたモーツアルトの書簡に関するものがあり、早速借りて来て読んだ。



神童と呼ばれた幼少期から彼の死にいたる激動の音楽生活を、彼と父親の手紙を通して見つめた精緻な伝記文学の大作(507頁)である。

また、書簡の中のおどけた表現から、彼の分裂症的な性格を云々する向きもあるが、彼の人類遺産的音楽が物語るように、それらを生み出す彼の人間性もまた、すぐれたものであったと著者はいう。真にその通りだと思う。

これは、映画「アマデウス」が描いた「天才が故に(そこそこの人間性でも)容易に生み出した音楽」という設定とは大きく異なるものだ。
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