あの北朝鮮からアメリカへの「クリスマスプレゼント」はどうなったのか。このままだと「お年玉」になるのだが。もちろん誰も欲してはいない。また、年末になると日本海は北西の風が吹き、大しけ(荒れ模様)となる。毎年このころ北朝鮮から日本に大量に届くものがある。「お歳暮」ではない、漂着船だ。
日本海で繰り返される北の理不尽な振る舞い
報道によると、今月27日に新潟県佐渡市の素浜海岸に打ち上げられた北朝鮮の木造船とみられる漂着船から7遺体が見つかったと第9管区海上保安本部が発表した。同本部によると、北の漂着船から遺体が発見されたのはことし今回が全国で初めてという(29日付・新潟日報Web版)。漂着船はことし1年で150件を超えている。それにしても、素浜海岸は佐渡島の西側、能登半島と向き合った位置関係にあり、能登の海岸に打ち上げられる可能性もあったと考えると他人事ではない。
北の難破船は構造的な問題でもある。漂着する船のほどんどはイカ網漁船とみられる。北朝鮮の慢性的な食糧不足から国策として漁業を奨励し、「冬季漁獲戦闘」と鼓舞し、大しけでも無理して船を出しているようだ。北朝鮮は沿岸付近の漁業権を中国企業に売却しており、北の漁師たちは外洋に出ざるを得ない状況に置かれているとされる。いくら食糧確保のためとはいえ、古い木造漁船で出漁を煽るとは、難破の悲劇をわざわざつくり出しているようなものだ。ちなみに、日本の沿岸に着いた漂着船から見つかった遺体は2018年が14人、17年は35人、16年は11人(同)。見つかる遺体はごく一部だろう。
問題はまだある。難破した木造漁船の漂着や漂流そのものが問題を引き起こす。転覆した木造船などはレーダーでも目視でも確認しにくいため、日本の漁船との衝突の可能性が出てくる。まさに「漂う危険物」だ。さらに、水難救助法では漂着船の解体処分や遺体の火葬をするのは自治体だ。2018年のまとめで、北朝鮮からとみられる木造船の漂着は201件で前年の2倍だった。そのうち、石川県での漂着船の処分は21件、経費は880万円に上った。最終的に国が全額負担、われわれの税金だ。
ことし10月7日、北の漁船と衝突事故もあった。能登半島沖350㌔の日本のEEZ(排他的経済水域)で水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が衝突した。事故の原因は、取締船が北の漁船に放水して退去するよう警告したところ、漁船が急旋回して取締船の左側から衝突してきた(※写真、10月18日・水産庁が公開した動画映像から)。単なる操縦ミスなのか威嚇による故意の事故なのか、調べの措置がないまま、北の乗組員は救助され僚船に引き取られた。後日、北朝鮮側は「(日本の)意図的な行為」で漁船を沈没させたとして賠償を要求している。
このような無謀で不合理、理不尽な光景がまた来年も日本海を舞台に繰り返されるのか。
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