自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★ 「令和元年」回顧=日韓亀裂

2019年12月28日 | ⇒ドキュメント回廊

   今の日本と韓国の関係性をたとえるなら、「信なくば立たず」という言葉に尽きる。もともと、孔子が、政治を執り行う上で大切なものとして「軍備」「食糧」「民衆の信頼」の三つを挙げ、中でも重要なのが信頼であると説いたことに由来する。相互に信頼があってこそ成り立つ、人と人、人と国、国と国の関係性だが、残念ながら現在の日韓ではこの関係性は成り立たない。

          「信なくば立たず」、亀裂状態が続く日韓関係

   その発端は2018年10月30日、朝鮮半島から内地に動員された元「徴用工」といわれる人たちが、日本企業を相手取って損害賠償を求めていた裁判で、韓国の最高裁は賠償を命じる判決を言い渡した。これに対して、日本政府は1965年の日韓請求権ならびに経済協力協定で、請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を定めているので、韓国の最高裁が日本企業に対する個人の請求権行使を可能としたことは、「国際法に照らしてありえない判断」(安倍総理)と強く批判している。「徴用工」は強制的に労働をさせられたいう意味合いでくくられているが、果たして実態はどうだったのか。出稼ぎで日本にやって来た人たちも多くいた。いまのままでは、戦前に日本で働いた朝鮮半島の労働者はすべて「徴用工」であり、受け入れ企業すべてが賠償請求の対象になる。

   2018年12月20日、能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に対して火器管制レーダーを照射した。火器管制レーダーは、ミサイルで対象を攻撃するために距離や高さ、移動速度を計測するためのもので、通常のレーダーとは全く違う。当時の岩屋防衛大臣が翌日21日の緊急記者会見で、このレーダー照射の一件を公表した。火器管制レーダーを照射したのは韓国海軍の駆逐艦「クァンゲト・デワン」。P1は海上自衛隊厚木基地所属。P1は最初の照射を受け、回避のため現場空域を一時離脱した。その後、状況を確認するため旋回して戻ったところ、2度目の照射を受けた。P1は韓国艦に照射の意図を問い合わせたが、応答はなかった。照射は数分間に及んだ。防衛省ホームページには、撮影した動画が掲載されていて、経緯が紹介されている。

   ことしに入ってさらに韓国側の「あおり」外交がエスカレートする。8月23日、韓国側からGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄(延長拒否)を決定したと発表した。その理由が、日本側の不誠実な態度が韓国の国家的自尊心を喪失させ、日韓の信頼関係が失われたとしていた。そして、GSOMIA破棄についてにはアメリカ側からの理解を得らているといると説明した。これは、日本側が8月2日に韓国を「ホワイト国」から除外する決定をしたことへの趣意返しだった。韓国側の輸出管理制度に不備があり、軍事転用される可能性があるフッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの3品目を個別許可とし、優遇措置(一般包括許可など)を停止するというものだった。 

   ところが、韓国側は11月22日、破棄を決定していたGSOMIA(軍事情報包括保護協定)について失効期限(23日午前0時)の直前に回避を決めた。日米韓の安保協力を重視するアメリカ側の強い圧力で韓国側が土壇場で折れたカタチだが、米韓関係にしこりが残った。その6日後の28日、北朝鮮はEEZに向けて弾道ミサイル2発を打ち上げた。

⇒28日(土)午後・金沢天気    はれ

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