金、ゴールドの価値は世界共通のものだ。そして、金属であり、伸びる特性がある。それを極限まで薄く伸ばしたのが「金箔」である。400年以上の伝統があるとされる縁付(えんづけ)金箔の製法がユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まった。文化財建造物の保存には欠かせない「伝統建築工匠の技」の一つ。金箔のほかに、屋根をふく技術の「ひわだぶき・こけらぶき」、そして「かやぶき」、文化財建造物を装飾する技術の「建造物漆塗」、壁の表面を土やしっくいで仕上げる「左官」や、「畳製作」など17の技術がまとめて登録された(文化庁公式ホームページ)。
縁付金箔の製造現場をこれまで何度か見学する機会があったが、その技と金の耐久性には驚く。柿渋などにつけ込んだ専用の和紙に金をはさんで打ち延ばし、1万分の1㍉の薄さにする。金沢の伝統的な技法だ。こうした職人技は金沢の誇りでもある。そして、建物だけでなく仏像などの国宝の修復にも使われる。文化財は金箔の技術なしでは維持することはできない。まさに、有形と無形の文化遺産は密接に結び付いていると、現場を見て思う。
金沢では金箔は体によいとされ、金箔を入れた日本酒、化粧品、うどんもある。かつて、金沢の子どもたちが頭にたんこぶをつくると、膨らんだ部分に金箔をはっていた。そして、知人からかつて聞いた話。金箔製造業者は潰れない(倒産しない)。なぜなら、金の価格が安いときに材料として仕入れ、高くなれば売って経営を安定させる。「良質な金を見極める目利きであり、金のトレーダーだよ」と知人は妙にほめていたことを覚えている。
今回の登録で国内の無形文化遺産は「和食」や「和紙」などに加えて22件。石川県内では、単独で登録された農耕儀礼「奥能登のあえのこと」を始め、七尾市「青柏祭の曳山」(「山・鉾・屋台行事」の一つ)、輪島市・能登町「能登のアマメハギ」(「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つ)に続いて4例目となる。
(※写真は金沢金箔伝統技術保存会ホームページより)
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