自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「ワード・ポリティクス」の女帝、2期目の難題

2020年07月06日 | ⇒ニュース走査

   選挙の争点は何だったのか。自身は都民ではないが、今回の東京都知事選をメディアを通して観察していて不思議を感じる。何しろ現職、小池百合子氏の得票率は59.7%である。小池氏の場合は2期目なので1期目で掲げた「セーフ・シティ」「ダイバー・シティ」「スマート・シティ」で掲げた27個の公約をどれだけ実行できたか、その評価が選挙の争点だろう。 

   「スマート・シティ」の公約にある「東京をアジアナンバーワン1の国際金融市場として復活。国際金融特区や税優遇を活用し、世界から企業や高度人材を呼び込む。英語による諸手続きが可能な環境を整備」は評価が高い。とくに、中国の国家安全法で揺れる香港の金融機関の移転先として国際的にも注目されている。先見の明があるのかもしれない。一方で、同じ「スマート・シティ」の公約にある「老朽廃棄物処理場の集約」は都議会で議論されたことがあるのだろうか。少なくともネットの検索ではその様子が出てこない。2016年7月の前回は得票率は44.4%だった。今回は15ポイントも増やしているので、総じて前回の公約は信任されたということだろう。

   得票率を15ポイント上げた、もう一つの要因が新型コロナウイルスの感染拡大にともなう数々の記者会見ではなかっただろうか。「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」、そして「東京アラート」などのカタカタ用語が会見で次々飛び出した。あえて報道陣の前でお披露目して、メディアが読者・視聴者向けに分かりやすく解説する。それが、都民だけでなく全国の注目を集めた。こうした言葉によって政治を動かすことを「ワード・ポリティクス」、テレビを意識した言葉の政治を「テレ・ポリティクス」と称したりするが、まさにメディアを巧みに利用する政治手腕ではある。

   1期目の当選では「ジャンヌ・ダルク」と自称したが、2期目で「女帝」を座を揺るぎないものにした。問題はこれからだろう。コロナ禍の休業補償に都の貯金とも言える財政調整基金9345億円のほとんどを使い、残りは807億円と言われる。都民の命と健康を守る新型コロナウイルスの感染症対策、築地市場の跡地問題、そして、オリンピック・パラリンピックの縮小開催か、パンデミックの影響でひょっとして返上か中止か、世界の耳目が集まる。これらの難題をどう乗り切るのか。(※写真は「小池百合子公式ホームページ」より)

⇒6日(月)午前・金沢の天気     あめ


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