好奇心旺盛なおばさんのワクワク日記

勉学優先のセン業主婦!
遠くに見える富士山を眺めつつ、ワクワクしながら学習などにいそしむ日々を書き綴っています

『宋監本爾雅注』の避諱字(二)

2013-02-23 22:10:55 | 学習
『宋監本爾雅注』の欠筆となっている避諱字を調べてみました。
以下の画像は、データから切り取ったもので、小さい文字は注文で小書きになっているもの。

(1) 宋代の避諱

(2) 宋代の避諱

(3) 宋代の避諱

(4) 宋代の避諱

(5) 真宗(趙恒)の避諱

(6) 仁宗(趙禎)の避諱

(7) 神宗(趙きょく(王+頁))の避諱。『廣韻』に「又音勗」とあることから、同音による避諱とわかる。

(8) 欽宗(趙桓)の避諱

(9) 欽宗(趙桓)の避諱

(10) 高宗(趙構、南宋)の避諱。

(11) 孝宗(趙しん(慎と同じ)、南宋)の避諱

(12) 元代の避諱?


監本と言えどもやはり間違いはあるようで、「徴」が闕筆になっていないところがあり、又 (12)の「享」も本文では闕筆になっていませんでした。この注の闕筆も疑問です。

前回の画像で確認できるように後に補修されたことは確実で、加えて巻末の2丁ほどがだぶって綴じられていました。
刻工名も確認したかったのですが、入っているところがあっても残念ながらデータ上からは確認できませんでした。

確認に手間どったのが、(7)の「勗」でした。
『礼部韻略』の「淳煕重修文書式」に載ってはいるものの、手元の『歴代避諱字彙典』で「勗」を「xu」(ピンイン)や「6012」(四角号碼)で引いても載っておらず、『廣韻』を見て同音であることをようやく確認できました。

「勗」と「冒+力」が同字だということに気付けなかったために遠回りをしてしまいました。 
『康煕字典』を引いてようやく気付いたのですが、「冒+力」に、
『篇海』「勗に作るは訛(言+爲)」
とあり、『篇海』での確認はできませんでしたが「勗」を誤りとした学者がいたということですね。
『漢辞海』は異体字としています。

IMEでは「冒+力」は機種依存文字となっていて使うと文字化けしてしまいます。
時の流れということでしょか。

今回このような試みをしてみて、やはり版本調査をする時は、実見しなければいけないと痛感しました。
それに、該当する文字自体が少ないので、巻数・丁数の少ないものを選んだこと自体が間違いだったように思いました。
情報を分析する時には集める情報が多ければ多いほど良いわけですから。

勉強に手抜きは禁物ということです! 
忘れずに次に生かすようにしましょう! 
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『宋監本爾雅注』の避諱字(一)

2013-02-23 16:15:17 | 学習
暇です! 
することが無いわけじゃないのですが、校正用のデータが数点届かず、編集作業も出来ず従って纏めも出来ません。 
6月終了の予定なので急がなくてもいいのですが、そのうちに他のものが入って来ると厄介なことになるかも・・・

で、忙中閑ありということで、『宋監本爾雅注』の避諱字を調べてみました。
先日の「古事記」の講座で、思いもかけずN先生の口から「書誌学の長澤」というお名前が出ました。 
私の中では、書誌学=長澤規矩也です!
此の時たまたま先生が黒板の左側から書きはじめられ、その時長澤先生のことを思いだされたようです。

講座が終わってから再度伺って見たところ、長澤先生の講義を聞かれたことがあり、その時長澤先生は板書をされる折、縦書きにもかかわらず黒板の左側から書かれたとのこと。
席を立って板書の様子を再現してくださりながら、着物を着ておられたからでしょうかねぇ~、どういう理由からなのかほんとのところは分りませんが、とのこと。

長澤先生の授業を受けておられた、ということではなかったようです。
長澤先生は1980年に無くなっておられますから、直接お会いになったことのある人からご存命中のことを伺う機会はほぼありません! 
もっと何か伺えるかとも期待したのですが残念! 

ちょうど講座が始まる前、図書館で『書誌学』の長澤先生の論文をコピーしているところへ、N先生が入ってこられたのです。
やっぱり何かご縁があるんですねぇ~ 

神田喜一郎氏の論文を探しに行ったのですが、それを掲載する巻は残念ながら無かったのですが、『書誌学』の総目録に興味ある論文を見つけ、それでコピーしていたのです。
いずれも長澤先生のもので「帝諱闕筆に基く宋刊本鑑定に関する注意」「宋刊本刻工名表初稿」「宋刊本廣韻刻年の推定ー宋刊本刻工名表応用の一例」「元刊本刻工名表初稿」。

と、ようやくここで表題とつながりました。
避諱字は、刊本の刊行年代を推定する参考になると言いながら、結構忘れられていたりしてあれっと思うことがあります。
監本ならばいい加減なことはないだろうと思い、『宋監本爾雅注』を調べて見ることにしたのです。

下の画像がその本文の冒頭部分です。
中国の某サイトで入手したデータですが、監本だけあってさすがに綺麗な出来栄えですね。



「毛晋」の蔵書印もはっきり分かります。
先日買った「書聖王羲之」の図録の「毛氏子晋」の印と少し相違がありますが、印が1つとは限らないので今は気にしないことに! 
以下は同じ刊本の最後の方です。上の部分との違いは歴然としていますが、良くあることだそうですので今は気にかけないことに。


長文になりましたので、避諱字については次回に。

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