オペラに「ノルマ」という曲がある。
主役を歌うソプラノ歌手にとって、難度の高いことでしられているそうな。
「ノルマ」のアリアをつとめたソプラノ歌手の話を、何度か耳にした。
一日に、3回全曲を通したという。
「ノルマ」の本番の朝に自宅で、一回。
リハーサルで一回。そして本番で一回。
最後まで、衰えを感じさせない三回演奏したとも、思えないほどだったと。
プロの歌手でも、それだけ練習をし、本番に臨んでいる。
「アマチュアだから、素人だから、練習時間が足りないから、この程度でいい」
という言いわけは、通用しないんだと、暗に言われている気がした。
時間をやりくりして、できうる限り、消化して、本番に備えることは、プロ・アマに限らず
課せられていることだと思う。
可能な限りの練習をして欲しいと、言われているなと、感じた。
以前、「美空ひばりさんは、お客様の前で歌う前に、必ず一通りおさらいしていました」
と、聞いたことがあった。
晩年は、舞台の袖に、ベッドを置いて、リハーサルをしていたが、さすがに、全曲をさらえなかった、と。
立っているのもやっとの状態で、赤ちゃんくらいしか肺機能がなかったそうな。
それでも、本来なら、全曲を、リハーサルしたかったはず。
プロの姿勢に、胸打たれる。
アマでも、舞台に乗ったら、音楽家。
コンサートは、発表会ではないと、自負している者として、残り少ない時間、できうる限りの
ことをしよう。