化け物とか、幽霊とか、は苦手だった。
暗い夜景のなかで、風にそよぐ、草に驚いたものだった。
本物の幽霊とか、怨霊に、まだであったことはない。
ドラマや、映画で、夏場になると、怪談物が増えてくる。
「どろどろどろ・・・・」という効果音が鳴り出すと、体が熱くなるのがわかった。
「ぞおっとする」ものとよく言われるが、ぞおっとしたことはなかった。
悪寒が走るのでなく、いつも、かあっとなった。
高校生頃に、一念発起して、怪談物のポスターを眺めては、「あれは偽物。実在しない」と
念じた。
それが功を奏したか、今では、死体や解剖の画面も平気になった。
おどろおどろしいメーキャップにも動じなくなった。
『天国からのささやき』『ボーンズ』なども平然と見られる。
いまだ見ることのない死後の世界。
そんなものは、ナイ気がするが、生まれ変わる人入るかもしれない。
また、生きている人間の精神に作用することは(本人の問題で、逝った人が直接、関与はしていないだろうと思う)事実のようで、興味深い。
大分前に、
一人の人が恨みを持って殺されるときに、「恨んでやる」と言ったところ、
「それなら、そこにある石にかみついて見せよ」と言われ、首をはねられて、飛んだ首が、石に噛みついたとか。
それを、見た家臣(?)が、恐れの言葉を言うと、主人は、
かんらからと笑って、「石にかみつくことを念じていたから、これで、もう、心配ない」というようなことを言ったという、話があったとか、なかったとか、何かで読んだような記憶がある。
すんなり、納得したものだった。
真相は?果たして。
怨霊と呪いの日本史
山口敏太郎
河出夢文庫