遅いことは猫でもやる

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アベノミクスについて

2013-04-07 08:13:06 | 雑感

安倍政権が誕生して、円安が進み株価も上がっている。ほんの一部であるが、大企業の給与、賞与を上げる企業もでてきた。
景気は底を打ったかに見え、まずは順調なスタートである。

一方、ガソリンや、小麦、ティッシュペーパーなど生活必需品は軒並み上昇し、ジワジワと生活を圧迫してきている。
冷静にみてみると、資産運用をしている人たちには恩恵が現れ、年金生活、中小企業の給与生活者にはいっそう厳しい状況になってきている。

確か安倍首相はアベノミクス発動の際「額に汗するる者、一生懸命働くものが報われる社会をつくる」と謳いあげていた。現実にはどうか。株や不動産などを所有している資産家が濡れ手に粟の状況ではないか。

経済実態がなんにも変わらないのに、株価、不動産は高騰している。これはバブルではないのか。アベノミクスはバブルの再来を推進しているようにみえる。

歴史を見てみれば、フォード・モーターの成長、ケインズ理論による世界恐慌からの復活、日本の奇跡の高度成長、いずれも中間層の所得拡大・需要喚起、により成し遂げられてきたのではないか。
20年間所得が下がり続けてきたサラリーマン層がデフレの原因ではないだろうか。「生活が第一」と言うスローガンが妙に重みをもって響く。

弱肉強食、競争第一の資本主義、と既得権擁護の官僚主義と正面から立ち向かわねば、アベノミクスは単なるミニバブルで終わってしまうのではないかと、年寄りは繰り言を呟く。皆さんはどう考えていますか?

名作 ごんぎつね

2013-04-03 12:31:14 | 



新美南吉作 黒井健絵

高校の国語教師をしていた義兄が孫の一人に選んでくれた絵本である。
この兄は真面目な人であると同時に、学問的な造詣も深く、文化センターなどで源氏物語の講義をすると、普通講座が進んでゆくに連れ生徒数が減少してゆくものだが、彼の講座については、しりあがりに受講者数が増えてゆくという、珍しい傾向がある。それだけ内容に深いものがあり、知的好奇心を誘う姿勢があるのだろう。今だに学校から依頼をされ、70歳を越した今も週に何コマか講座を受け持っている。

この本を受け取った孫は大喜びで、早速読み始めた。数十分でたちまち読んでしまった。そこで私も孫の横で読んでみた。新美南吉は半田市出身の童話作家で、教師でもあった。この代表作は名前は知っていたが、読んだのは初めてである。
童話というより短編小説である。星新一や芥川龍之介の小説にひけをとらない、示唆や暗示に富む物語となっている。

狐の出来心のいたずら、その深刻な影響、謝罪の受け取られ方、親孝行、誤解、などが抒情豊かに語られている。終わり方も突然と言って良い程で、それがかえって余韻をもたせる。
そして絵がまたいい。ほんわかしたタッチで、いい雰囲気を出している。さすがに義兄の目は確かだ。

こんなに良い物語が郷土出身の作家によって書かれていたことを知らなかったのは、何故か悔しい。まだ知らない方には是非一読をお薦めする。心が豊かになる短編である。