去年の今頃(11月)から腰痛が酷くなって、農夫であることを諦めると共に「俺は健康だ」というこれまでの自信が失われ、あれこれ健康不安を感じ始めた。その後しばらくはその不安感に押されていた。ただ、「酒に溺れてはならぬ、タバコに頼ってはならぬ」と思い、酒量もタバコの量もこれまでより減らした。それまで週1だった休肝日が今年5月から週2となり、6月から3日に1回となり、それがずっと守られている。タバコの量も減った。今年は概ね1日4~5本というのが長く続いている。
これまでよりも食べ物にも気を使い、薬草と言われているものを摂るようにし、畑を辞めた今、自作の自然栽培野菜は食えなくなったが、なるべく、化学製品を体内に入れないようにはしている。自然食、ということで野山の食物についても勉強している。
「野山の食物を勉強している」についてはまた、別の理由もある。今年(2018年)は、大きな台風があり、猛暑があり、大雨があり、地震もあった。今後、地球規模の大災害があり、食料が手に入りにくくなった時のためでもある。
ということで、野山の食い物その2は、野山で手に入る食い物の内、生食できる葉菜・根菜・・・と思ったが、生食できる葉菜・根菜はごく少ないのでさっと火を通せば食えるものも含める。そうすると今度は、数が多過ぎるので、ここでは私でも識別できる、目に付きやすいものを選んで紹介したい。
先ずは生食できるものから、
アキノノゲシ、ハルノノゲシは若い根や葉を生食できる。
ノビル 青ネギのように食する。
ダイジョ ヤマイモの仲間で塊根は生食できる。
タマシダ 根に貯水球があり、それを洗って噛むと甘い汁が出る。それが飲用。
ハマダイコン 若苗を根ごと塩漬けにして食する。
ハマボウフウ 若い葉はサラダで食せる。
オオバポンテンカ、リュウキュウトロロアオイ、コマツヨイグサの花はサラダで食せる。
次に茹でて食えるもの、ちなみに、天ぷらにして食えるものはもっとずっと多い。
オオタニワタリ、シマオオタニワタリは一年中食用となる。芽先が巻いている新芽を塩ゆでしドレッシングで。
ワラビ 若芽をアク抜きして食用。
ヒリュウシダ 若芽と柔らかい葉先が食用。
その他、オモダカ、ツユクサ、シマツユクサ、アキノワスレグサ、イヌホオズキ、ツルソバ、ベニバナボロギク、ホソバワダン、タンポポは葉を茹でて、
ナンゴククサスギカズラ、オカヒジキ、タイワンクズ、ソクズは若芽を茹でて、
ツルナ、スベリヒユは若い茎葉を茹でて、
リュウキュウヨモギ、アワユキセンダングサは新芽を茹でて、
シマアザミは若い根を茹でて、
キクイモは塊茎を煮物にして、
なお、タンポポはその根が薬となり、コーヒーの代用となり、酒にもなる。また、前回書き忘れたが、モンステラの果実は完熟すると生食でき美味とのこと。
かように野山に食い物は多くある。季節によって採取できないものもあるが、亜熱帯気候の沖縄であればまあまあの量が採れる。火を熾さなければならない、水を得なければならないというハードルもあるが、それが何とかなれば1人なら生きていける。
そうやって生きている間に大地を耕し、芋(サツマイモ)の葉を挿しておく。野山の食物で4ヶ月生き延びることができれば、芋は長雨や干ばつに強く、台風にも負けない。芋が順調に育てば、4ヶ月で芋はでき、その後も生きていけることになる、はず。
記:2018.11.7 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『野生植物食用図鑑』橋本郁三著、株式会社南方新社発行
『食べる野草と薬草』川原勝征著、株式会社南方新社発行
自作の薬草茶
ボルトジンユという名前を知らない前、去年(2017年)12月に私はその実物を手にしている。当時、既に腰痛が酷くなっていて畑を辞めることを決めていた頃だが、辞める前の後片付けで畑には毎日のように通っていた頃でもある。そんなある日、近所の先輩農夫Nさんが畑にやってきて「これ、薬草として貰ったものだけど何か判る?」と葉のついた茎を持ってきた。それは私も初めて見る茎葉で、何者か判らなかったので、
「さぁ、何でしょう。持ち帰って調べてみましょう」と応じ、その茎葉を持ち帰り、図鑑を調べ、ネットでも調べたが判らない。で、何者か解明する作業は諦める。
それから半年ほども経った今年6月、ブログ相互読者であるコスモスさんとメールのやりとりをするようになる。きっかけは「以前メールを送った」というのを知り、その以前のメールがサーバーに残っていて、それを読んで「あっ」と思ってから。
それはもう5年余も前、2013年5月の彼女からのメールに「高血圧に薬効がある」とボルトジンユを紹介されていた。さらに、今年6月メル友になって以降、彼女からハーブ薬草についてあれこれ教わり、その中でマンジェリコンも紹介して貰っていた。
しかしながら、ボルトジンユもマンジェリコンも私の持っている参考文献に無く、図書館でもすぐには見つからなかった。が、6月末、宜野湾市民図書館で『琉球薬草誌』という本を見つける。それにはボルトジンユもマンジェリコンも載っていた。それらはコスモスさんから教わって「そうではないか」と私がおぼろげに認識していたそれらと、細かい所に違いはあったが、本に載っている写真を見る限りではほぼ一致していた。
細かい違いは、「ここは沖縄だもの、テーゲー(大概)で生きている南の島だもの、名前が正確でなくても、それがそれを指していると判ればいいじゃないか」という気分で、つい先日、この2種をそれぞれその名前でこのブログで紹介した。
コスモスさんの説明から、先輩Nさんが「これ何?」と持ってきた茎葉がボルトジンユであろうと推定でき、Nさんにはそう伝え、ついでにNさんの畑に引き抜かれてあったボルトジンユなるものを数株頂く。「引き抜かれてあった」というのはNさんによると「あんまり臭いので全部引き抜いた」とのこと。引き抜いたのは2、3ヶ月前とのことだったが、引き抜かれ山積みされたボルトジンユはまだほとんどが生きていた。
「生命力がとても強い、なかなか枯れない」とNさん、「こんだけ生命力が強いから薬効も強いかもしれんなぁ、でも臭いからなぁ、私は飲めないよ」と続ける。
それから数日も経ない内に、その時頂いたボルトジンユの葉を生のまま煎じて飲んでみた。Nさんが言うほど私は臭いとは感じなかったが、良い匂いでは全然ない。
その後、7月半ば頃、時々買い物に行っているホームセンターの野菜売り場に野菜として売られているマンジェリコンを見つけ、早速購入して、生葉を煎じて飲んでみた。これは市販のグヮバ茶、ウッチン茶などと匂いの強さは同程度、柔らかい匂い。
味はどうかと言うと、美味くも不味くもない。毎日でも飲めると思うが、ボルトジンユは3、4度作って、マンジェリコンは7、8度作って、麦茶代わりに飲んでいたが、それだけで終了、ボルトジンユは友人Kから苗を貰いベランダ栽培もしていたが、9月にはそれも処分し、以降は飲んでいない。不味くは無いのに何故?かというと、
薬草茶は沖縄に伝統的なものがいくつもある。グヮバ茶、、ウッチン茶、クミスクチン茶、クワ茶、ビワ茶など。それらは伝統があり、長い歴史の中でその効能が概ね確定されているもの。何者かまだよく判っていないボルトジンユやマンジェリコン、わざわざ煎じてお茶にしてという手間をかけてまで飲まなくてもいいかという気分。
クミスクチンを鉢植えにしてベランダに置いて栽培していたが、24号25号の連続台風で葉をほとんど落としてしまった。先日、残り少ない葉を刈り集めて、生葉を煎じて、冷やして飲んでみた。これは香りも柔らかく、味も良い。これなら庭に植えて、葉を採取して煎じて・・・などといった手間かけてもいいかな、という感想を持つ。
文献によると、生葉よりは乾燥葉の方が良く、煎じるのも「水が半分になるまで」などと長い時間煮詰めるらしい。生葉より乾燥葉はエキス、薬効成分が詰まっている、長く煮詰めると薬効成分が多く出るといったことであろう。私がやっているように生葉を軽く煮詰める程度では薬効も少ないかもしれない。そして、その通り、市販の薬草茶を飲み続けても、自作の薬草茶を飲んでも腰痛は良くならない、血圧も下がらない。
しかし、まだ諦めてはいない。薬草はその効果が出るまでに時間がかかるらしいので、3ヶ月程度ではまだまだなのかもしれない。1年くらいは続けてみよう。
記:2018.10.28 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
市販の薬草茶
生涯の仕事と思っていた農夫を「こりゃぁいかん」と諦めるほどに腰痛が酷くなったのは去年の11月頃、それ以降、良くなったり悪くなったりの一進一退状態が約1年も経った今(10月)もなお続いている。体にはなるべくメスを入れたくないので病院へは行っていない。食事と運動でなんとか治そうと、無駄かもしれない努力をしている。
食事については、今年7月頃から薬草や薬草茶を摂取するようにしているが、じつは、薬草や薬草茶を摂取しているのは腰痛が良くなるようにという目的だけではない。腰痛になる半年ほど前から血圧が高くなり、以降ずっと高止まりのまま。さらに、腰痛が酷くなってからは頻尿も酷くなり、夜中に2~3回は小便で起きるようになってしまった。小便で起きるせいもあって睡眠も十分に取れなくなり、毎日寝不足気味にもなっていた。ということで、血圧、頻尿、睡眠不足のための薬草、薬草茶も摂ることにしていた。
「薬草を食べる」については、沖縄で昔から薬効があると定評のある野菜、ニガナ(ホソバワダン)、ハンダマ(スイゼンジナ)、ツルムラサキなどを八百屋で買って食べていたが、相次ぐ台風襲来で、それらの入荷が激減して入手難になる。ただ、薬草の勉強をしている内に、一般の野菜でも薬効のあるものが多くあることを知った。例えば、高血圧にはセロリ、トウモロコシ、ジャガイモ、ショウガ、ゴマなどが効くとあった。
頻尿にはニラ。不眠にはセロリ、タマネギ。腰痛にはニラ、ゴマ、ヨモギ、サトイモなどが効くとある。そういった野菜を普通に料理して食べることにする。
薬草茶については、ティーバッグや粉の製品がいつでもスーパーにあるので、それらを購入して飲んでいる。身近にあって自分で採取して作る(いつかそうしたいので)ことも考慮して、そういったことのできるグヮバ茶とウッチン茶のどれかを7月中頃からほぼ毎日飲んでいる。グヮバ茶は高血圧に効果があり、ウッチン(ウコン)茶は関節炎に効果がある、関節炎に効果があれば腰痛にも良かろうと思って摂取している。
高血圧にはグヮバ茶の他に、クミスクチン茶、ビワ茶が効くとあり、蕎麦は食事として摂っても、ソバ茶として飲んでも高血圧に効果があるらしい。ということで、この頃はソバ茶もたまに飲み、蕎麦を茹でた後の蕎麦湯も飲めるように十割蕎麦をよく食べている。クミスクチン茶とビワ茶については、これから試してみるつもり。
グヮバ茶とウッチン茶を飲むようになって3ヶ月は過ぎた今(10月22日)、その効果のほどはいかがかというと、頻尿は概ね良くなっている。たまに復活して、夜中に2~3回小便で起きることもあるが、1度も起きること無く5~6時間の連続睡眠が増えた。なので、睡眠も良好となっている。血圧は8月頃に一旦下がり出したが、9月過ぎてからはまたも高止まりしている。腰痛は上述の通り一進一退が続いている。
ということで、この3ヶ月で良くなったのは頻尿と睡眠。グヮバ茶もウッチン茶も高血圧と腰痛に関しては効果をあげていない。それでも、快食快便快眠であれば自然治癒力も強くなり、その内、他の不具合も良くなるのではないかと期待している。
記:2018.10.22 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
「たまには沖縄島も襲ってみるか」とばかりに急カーブをきって沖縄島に向かっている台風24号、今朝(さっき)の天気図を見ると、明後日(土曜日)の朝には沖縄島へ最接近し、沖縄島を暴風圏に巻き込む進路予想となっている。今日このあと、最新の天気予報を見て、畑(既に手放しているが)の台風対策手伝いへ行き、帰ったら住まいの台風対策をし、場合によっては沖縄県知事選、宜野湾市長選の期日前投票へも行く。やってくる24号が強烈で停電、断水になった場合のための用意もしておくつもり。
熊本で大きな地震があり、大阪で大きな地震があり、北海道でも大きな地震があり、超強力巨大台風があったりで、自然災害の恐ろしさを身近に感じる今日この頃、私の危機管理は大丈夫かと顧みる。衣食住のあれこれ、電気水道がなくても生きていけるかと。
前にも何かの記事で書いたが、
予め(1日~2日前でも)災害がやってくると知っていれば、電池のストックを増やしておく、持っている水筒に飲み水を入れ、風呂桶に水を溜め、水缶にもトイレ用水を溜めておく、火を使わない食い物(缶詰など)を買い足しておく、などといった用意もできるのだが、台風の場合はそういうこともできるが、地震は前触れ無く急にやってくる。
電気水道が無くても雨風凌げる場所があれば眠ることはできる。服があれば着ることは容易。食は、私1人なら現有の食料で少なくとも1週間は大丈夫だと思う。その後も、たとえ急な災害があっても畑をやっていた頃は食い物に不安は無かった。畑のどこかには常に芋(さつまいも)が、掘れば出てきた。しかし、畑を手放した今は不安。
畑を始めた頃、野山の食い物についても調べていた。調べていたのだが、「調べた」という言葉の使い方が当たっているのか少し不安になるほど、今改めて思い返してみると、かつて調べたことの多くを忘れている。覚えているものは・・・、
果実ではナンデーシー(シマグワの実)、バンジロウ、フトモモ、ヤマモモなど、
葉っぱでは、オオタニワタリ、ツルナ、ハマボウフウ、ヨモギなど。
今回、改めて調べてみると、野山の食えるものは多くあった。ではあるが、火を通さなければ食えないものは火を熾すことから始めなければならず、ライターなどがあればいいが、原始時代のように木材を擦り合わせて摩擦熱でということになると面倒だし、火を熾すことができなければ食物を見つけても腹の足しにはならないということになる。
なので、食い物を求めて野山を彷徨い歩いている時、生で食えるものはありがたい。ということで『野山の食い物』については、先ずは「その1」として、沖縄の野山で生食できるもの、特に果実を中心に調べて紹介してみようと思う。
アデク 結実期は10~12月。甘みがあり生食できる。紫褐色に熟す。
イヌマキ 暗紫紅色に熟した果托が甘く食用。種子は食えない。
オオイタビ 結実期は冬~春。雌株の果実は甘く生食できる。濃紫色に熟す。
カイエンナット(パキラ) 結実期は8~10月。種子を生か、焼いてナッツとして。
カキ 御存じのカキ、結実期は10月。赤く熟した果実は言うまでも無く美味しい。
キーモモ(モモ) 結実期は6~7月。甘みが少なく酸味が多いが生食できる。
グヮバ 収穫期は概ね8~9月。品種が多くあるが概ね芳香があり、生食できる。
シマグワ 結実期は4~5月。熟すると甘酸っぱく美味。黒紫色に熟す。
シャリンバイ 結実期は9~10月。甘みがあり生食できる。黒褐色に熟す。
テンニンカ 結実期は夏。甘みのある果実は生食できる。黒紫色に熟す。
テンノウメ 結実期は10~11月。甘みがあり生食できる。黒紫色に熟す。
ノボタン 結実期は冬。紫色に熟した果実は甘みがあり生食できる。
ハマベブドウ 結実期は秋。赤紫色に熟した果実は食用になる。
ヒカンザクラ 結実期は3~4月。濃赤色に熟した果実は生食できるが果実酒に向く。
フトモモ 結実期は6~7月。甘く香りがあるが、汁液が少ない。帯黄色に熟す。
ヤマモモ 結実期は6~7月。甘酸っぱく生食できる。赤色に熟す。
ノイチゴの類に、
ナワシロイチゴ 結実期は初夏。実は濃赤色で、酸味があり食べられる。
ホウロクイチゴ 結実期は4~6月。赤く熟した果実は美味しい。
リュウキュウバライチゴ 結実期は3~4月。赤紫色に熟した果実は美味。
野山にあるかどうか、少なくとも自生は無いだろうが、大きな公園へ行けばその果実が食べられる植物も、上記を含めいろいろある。前回も紹介したが、生食できる果実として末吉公園にはユーカリフトモモ、ココヤシ、ナツメヤシなどがあった。
野山にどんな食物があるか、生で食える物はどれか、火を通せば食える物はどれかなどが分かっていれば、将来(私の世代はもうこの世にいなくても)食料難になった時、今の子供たちが、あるいは、その子供達の子や孫が野山の食物で助かるかもしれない。
記:2018.9.27 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
盆正月の楽しみ
果物缶詰の字面では「何のこと?」となるかもしれないが、一般的にはフルーツ缶とか言っているようである。ミカンとかモモとかをシロップ漬けにした缶詰。沖縄ではパイナップルの缶詰が有名。パイナップルの缶詰工場もあったと記憶している。
果物缶詰は私が子供の頃からあって、たまに口にもしていたので馴染み深い。値段が高かったからか、普段は生の果物でいいんじゃないのという理由からかしらないが、「たまに口にしていた」の「たまに」は年に2回ほどの「たまに」であった。
年に2回とは盆と正月。盆(沖縄では旧盆)と正月に、何組かの親戚が我が家の仏壇にお供え物を持ってくる。そのお供え物の中にたいてい果物缶詰が含まれていた。ケーキ類の甘いものは苦手だった少年(私のこと)であったが、果物は好きであった。盆正月の仏壇に供えられている生の果物、バナナ、パイナップル、ナシ、オレンジ、リンゴなども好んで食べたが、果物缶詰はそれらよりも好んで食べた。何しろ、果物缶詰の果物は皮を剥くという手間が要らない。缶切で缶を開けるだけで食える。子供の頃から私は面倒臭がり屋だった。その性格はずっと続き、後期オジサンとなった今も続いている。
話が逸れた。私が面倒臭がり屋なんて関係無いことであった。
実家が無くなって当然仏壇も無くなり、トートーメー(位牌)をお寺に預けてからは親戚からの供え物も無くなった。それより前から、記憶は定かでないが、私がオジサンと呼ばれるような歳になった頃から供え物に果物缶詰は無かったと思う。あるいは、実家とは離れて暮らしている前期オジサンの私が、たくさんある供え物の中から果物缶詰をわざわざ探しだして、それを持ち帰るなんてことをしなかったということかもしれない。
オジサンとなった私は、果物缶詰を食べたいと思ったらすぐに買えるほどの経済的余裕はいつでもあった。いつでも食えるという余裕があるとなかなか食わないもので、オジサンとなってから果物缶詰を食べたのは数回、数えるほどしかないのではないか。
果物缶詰を食べたのはむしろ、後期オジサンとなって、リストラされて貧乏になってからの方が回数は多いかもしれない。私が子供の頃に比べ、果物缶詰の値段がずっと安くなって、モモ、パイナップルなど100円で手に入ることもある。100円なら生のそれより安いし、面倒臭がり屋にとっては手間の要らない果物なので便利なのである。
とは言っても、オジサンは果物缶詰がさほど好物というわけではないので、果物缶詰を口にするのは2~3年に1回くらいだと思う。このブログで果物缶詰を紹介しようと思い立って、その写真を撮るために購入したが、それは2014年8月のこと。
畑をやっている今は生の果物を食べる機会が増えた。私の畑ではバナナ、グヮバなどの果物が季節になると実を着けてくれる。何しろそれらは只である。缶詰は安くなったといっても100円はする。貧乏になった私は質素倹約に努めなければならないのだ。
果物缶詰を食わなくても私には生の果物がある。3年前に挿し木したパッションフルーツも今や十分に成長していて、今年からは多くの実を着けてくれるに違いない。あと何年かかるか分からないが、モモやビワの木も3年前に植えている。それらも楽しみ。
記:2017.2.23 ガジ丸 →沖縄の飲食目次