『ボンジュール☆ケベック!シネマウィークin沖縄』なる催し物が9月15、16、17日の予定で那覇で開かれた。沖縄を舞台にした映画『カラカラ』の完成イベントということで、『カラカラ』の監督クロード・ガニオン氏を招いて、概ね氏の過去の映画を上映する三日間、氏がカナダのケベック出身なので「ケベック」とタイトルにある。
埼玉の友人Kが沖縄へ遊びに来たのは7日、帰ったのは18日。Kが沖縄にいる11泊12日のうち、私が付き合ったのは旅の間の5泊6日と、14日と15日の夜飲んだとので昼間6日、夜8日だけ。Kは空港への送り迎えも断った。私が始めたばかりの300坪の畑仕事に忙しかろうと、気を使ってくれたのだ。優しい男である。
宮古諸島の旅6日を除く6日間の昼間、Kは何をしていたかというと、2日間は別の友人Yが付き合ってくれたが、残る4日間は一人で過ごした。優しい男は当初から、私の時間をあまり奪わないようにと沖縄にいる間の3日間を一人で過ごす予定を組んでいた。一人でも退屈しないようにと、彼は映画の3日間パスを購入していたのであった。
『ボンジュール☆ケベック!シネマウィークin沖縄』の初日と三日目は予定通り開催されたが、二日目は台風16号の襲来で次週に延期となる。次週にKは沖縄にいない。であるが、Kの購入した3日間パスは次週になっても有効である。
「パスを使ってください。・・・3つとも良い作品です」というKの書き置きと共にそのパスが残されていた。ということで、23日、映画を観に行った。
午前11時に1本目、午後2時に2本目、午後5時に3本目(ショートフィルム8~9本)があり、終了予定時刻は夜7時、「畑を放って、丸一日を映画に費やすほどの価値がある作品なのかどうか?」と疑問を持ちながら出かけた。
1本目については特に感想は無い、どんな内容だったかもあまり覚えていない。2本目は監督クロード・ガニオンの作品、これについては少し感想がある。大雑把にいえば、ふてくされた青年を人生経験豊かな叔父さんが立ち直らせるといった内容。
叔父さんは備前焼の名のある陶工という設定、ふてくされた青年はそこの弟子となる。青年は、焼き物の美に気付きかける。美を知るということは生きる喜びとなり、生きる力にもなる。それが映画の主要テーマかと思いきや、違った。この作品が主張する生きる喜びはもう一つあり、それはセックス。まるでフリーセックスのようにこの男とあの女、あの男とこの女がセックスする。そんなシーンがさほど重要か?と疑問。
確かに、セックスは生きる喜びであり、生きる力になり得るかもしれないが、それは欲望の充足という簡単な喜びだ。焼き物の美を知る過程の方が私には興味がある。そういった意味で、私にとってこの作品はつまらない作品という評価になった。
3本目はショートフィルム集であったが、内容はほとんど覚えていない。作品が何本あったかも忘れた。記憶に残っているのはただ一つ『少年と機関車』のみ。
機関車に挑む少年は、その心に深い悲しみと強い怒りが秘められていることが、別のシーンから想像できた。「頑張れ、負けるな!」と応援したくなる。ただ、そのラストシーンが私には理解できなかった。惹き込まれた作品だけに理解したかった。
記:2012.9.28 島乃ガジ丸