梅雨を忘れたかのように今週の空は晴れが続いている。月曜日は曇りがちであったが、火曜日は晴れた。太陽がガンガン照りつけた。非常に暑かった。水曜日も晴れた。太陽はさらにガンガン照りつけた。死ぬほど暑かった。昨日も晴れた。太陽はまるで殺人光線となって働く農夫を襲った。その暑さは死んでもなお、あまりの苦痛に「熱い!」と怒鳴って、生き返ってしまうのではないかと思われるほどであった。
暑さは昼間だけでは無い。夜も暑い。熱帯夜が続いている。強烈な太陽光線がコンクリートを熱し、輻射熱となって建物全体を熱くし、夜になっても部屋の中はもわーっとしている。扇風機を一晩中回しているが、それでも寝苦しい。
寝苦しい夜は夢を多く見る。濃い夢も多くなる。ここ数日それが続いているが、水曜日の夢はよく覚えている。濃い上に長編であった。
「じゃぁ、またいつか」と声を交わして友人達がタクシーに乗った。高校のクラス会があって、夢の始まりはそれが終わった時点から。タクシーの運転手は別グループの友人Mであった。彼が車をぶつけそうになって・・・という件もあるが、それは省略。
クラス会のあった場所は首里、私が前に住んでいたアパートのすぐ近く。私はそのアパートに住んでいるようで、皆を見送った後、そこへ帰ろうとしている。
アパートの方向へ向きを変えた時、建物の影にクラス会のメンバーの一人T子が立っているのが見えた。T子は真っ裸だった。
「どうしたんだ?その格好」という問いに彼女は何やら答えたが、その内容はよく覚えていない。取りあえずと、私は私の着ている上着を彼女に着せて、
「俺のアパートに行こう、ジャージか何か着られる物があるだろう」と誘った。ちょっと戸惑った顔をしている彼女に、
「期待していることも起きないし、不安に思っていることも起きねーよ」と私は笑って言った。すると、彼女もにっこり笑って、肯いた。
その夢は長編だ。その後、アパートに停めてある私の車に彼女を乗せて、部屋に入って彼女が着られそうな服を探し、ところが、部屋の半分は別の家族、祖父、祖母、父、母に子供2人という家族がいて、父、母の仕事は能楽師。アパートの1階には外人、ヨーロッパ系の人、南米系の人たちが住んでいて、などなどと続くが、それも省略。
「期待していることも起きないし、不安に思っていることも起きねーよ」と夢の中で私はT子に言っているが、T子に女性としての魅力が無いというわけでは無い。高校生の頃の彼女は可愛かったし、思わず抱きつきたくなるほどの色気もあった。
ただ、分別のあるオジサンとなった私は、彼女の魅力が唇でもおっぱいでもお尻でも無いことに気付いていた。彼女の魅力は母性の優しさであった。それは高校生の頃からT子に備わっていたと思う。夢の中では、アパートへ向かって歩く間、車に彼女を乗せている間に彼女と多く会話をしていて、その時、彼女の母性の魅力を確信している。
そういえば、私が「何で掴まえておかなかったんだ」と生涯で最も後悔している女性、M女はまさしく母性の魅力であった。包み込むような優しさ、男が安らげる魅力だ。
記:2013.5.31 島乃ガジ丸