ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

フジマメ

2019年09月04日 | 飲食:食べ物(材料)

 酒の肴にはなる

 今年(2019年)4月に薬草研究家のH爺様にフジマメを頂いた。頂いたフジマメは若い莢が1かたまり、熟した莢も1かたまりあった。若い莢は全て私の食物となったが、熟した莢の中にある熟した豆は、そのほんの一部、10粒ほどは庭に播いた。
 播いた10粒は数日のうちに全て芽を出した。Hさんから頂いたその日に若い莢は料理されて私の酒の肴になっていたが、数日のうちに熟した豆も煮豆にして食っていた。
 その煮豆、不味くは無かったのだが、フジマメを調べると、豆は毒を少し含んでおり大量摂取は危険であるということを知る。10粒の種が全て成長して、全てが実を着けるようになったら私1人ではとても消費できない。ということで、10粒の種から芽の出た8株は引き抜いて、2株だけ残した。若い莢もキヌサヤほど旨いとは思わなかったので、1年の収穫時期に、5~6回食卓に上ればいいか、との考えから。

 後日談、種を播いたのは4月、5月にはスクスク伸びてネットに絡みついた2株のフジマメであったが、日光不足という環境が悪いのか、未だに花も咲かない。
 
 フジマメ(藤豆):果菜・豆類
 マメ科の常緑蔓性一年草 原産は熱帯アフリカ 方言名:ウクマーミ
 若い莢をインゲンマメのように食用とし、熟した豆も食用となる。熟した豆は長さ12~13ミリ。黒色で白い筋が目立つ。毒性があり大量摂取は危険ともあった。
 大量摂取は危険だが適量であれば薬にもなる。漢方では消化不良や解毒に効果のある生薬にとして利用される。生葉を煎じて服用すれば食あたり・魚の中毒に効き、果実は普段食として食すれば腸病・滋養保健に効くとのこと。
 
 未熟な莢料理
 
 完熟莢

 記:2019.8.30 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


ダイズ

2019年08月07日 | 飲食:食べ物(材料)

 大事な豆

 私の日常、3日に1回は休肝日となっている。休肝日の夜は酒の1滴も飲まずに、ご飯や麺類を主食にし普通の食事をしている。普通なので夕食にワクワク、ウキウキすることはあまり無い。その代り晩酌する日はワクワク、ウキウキしている。
 「何を食おう、何を作ろう」でワクワクするし、
 「ワインにするか、日本酒にするか、ウィスキーにするか」でもワクワクする。

 酒の肴にはたいてい決まったものがあり、それはほぼ毎回登場する。晩酌の始まりはビールか発泡酒の類となるが、それを飲む前に少々腹に入れるものがある。すきっ腹にアルコールは体に悪いと若い頃先輩に教わって、それを守っているわけだが、最初に腹に入れるのは豆腐、豆腐は奴豆腐や島豆腐のこともあるが、たいていは厚揚げ。
 豆腐は腹を満たしてくれるので主食の代わりになる。だけでなく、酒の肴としても一級品。日本酒に合い、泡盛に合う、厚揚げならワインにもウィスキーにも合う。休肝日の日はゆし豆腐(おぼろ豆腐のようなもの)をおかずにすることもある。豆腐は私の食卓に欠かせないものとなっている。

 豆腐の原料である大豆はどうかというと、大豆の未熟果であるエダマメは大いに世話になっているが、ダイズを料理して食うなんてことは滅多にない。料理上手だった母もダイズそのものの料理は無かったと思う。でも、私は作ってみた。味は・・・フツー。
     
 ダイズ(大豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:トーフマーミ、ウウチザー
 現在は世界の多くで栽培され、五穀の一つであり、最も重要なマメ科の作物となっている。日本でも古くから栽培され、豆は蛋白質豊富で食用となり、味噌・醤油・豆腐・納豆などの原料になり、豆から採れる油は食用になり、工業用としても利用される。
 葉はマメ科に多い三出複葉、マメ科に多い蝶形の花を束状につけ、長さ5センチほどの莢果となる。品種が多くあり、各地で土地に合った品種が栽培されている。

 シマダイズ(島大豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:トーフマーミ、ウウチザー
 古い時代に全国に広がったダイズ、沖縄にも「下大豆」などの在来品種があったようだが、それらは小粒であることが特徴とのこと。島豆腐や味噌作りに利用されたとのこと。昔は盛んに栽培されたようだが、現在ではほとんど作られていないとのこと。

 記:2018.8.4 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


小麦粉

2019年07月10日 | 飲食:食べ物(材料)

 メリケン粉といえば

 メリケンコというのは日本語だろうか?と思って辞書を引く。日本語だった。ネットサイトのコトバンクによると、
 米国から輸入された精製された小麦粉のことで、「American」の「A」が落ちたもの。米国から小麦粉が輸入され始めた当初、日本在来のうどん粉と区別するため用いた。とのこと。
 これを読んで、「あー、そういえばうどん粉っても言っていたなぁ」と思い出す。
 うどん粉はしかし、祖母や母が家で使っていた記憶はない。うどんもソーメンも家で打つことは無かった。メリケン粉は天麩羅とかヒラヤーチー(平焼き:お好み焼きの薄いもの)、サーターアンダギー(砂糖油揚げ:ドーナッツのようなもの)に使っていた。母はメリケン粉でクッキーのようなものも作っていた。

 私が子供の頃、生まれてからずっと、沖縄は米軍施政下にあって、周りにはアメリカものがいっぱいあった。ファストフード店はA&Wというハンバーガー屋が物心ついた頃かあったし、駄菓子屋さんに行くと色鮮やかなアメリカ菓子があった。マヨネーズはエゴーだったし、ソースはA1ソースだったし、マーガリンはホリデーマーガリンだった。
 そして、小麦粉はメリケン粉と呼び、沖縄でメリケン粉と言えば迷わず、羽衣だった。沖縄製粉という会社の、羽衣(はごろも)という銘柄の小麦粉。昔から続く名前とパッケージのデザイン。当時の私は気にしなかったが、改めて見ると薄力粉であった。
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 コムギ(小麦):穀物
 イネ科の一年草 世界の多くに分布 方言名:ンナムギ
 主食原料として世界的に重要な穀物。日本でも味噌醤油等の原料にもなる重要な穀物。
 種子は、味噌や醤油などの原料になり、小麦粉にしてパンや麺類に加工し主食となるほか、菓子にもなる。茎は麦藁細工、家畜の飼料などに利用される。

 記:2019.7.7 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


モチキビ

2019年07月03日 | 飲食:食べ物(材料)

 黍団子のキビ

 過日、友人の女料理人Iさんの店を訪ねた時、「島の外ではほとんど入手できない渡名喜島のモチキビがここで手に入るよ」と、得意そうな顔をしてチラシを見せた。
     
 「モチキビって、マージン(沖縄語)のこと、波照間島が有名だと覚えているけど」
 「そう、マージン。渡名喜でも作っていて渡名喜島産は珍しいみたいよ」
 渡名喜島産が珍しいかどうかは少し疑問、モチキビそのものが、スーパーなどでほとんど見かけないので珍しいと思う。県内での生産量そのものが少ないのだと思われる。
 そんな珍しいモチキビを、その沖縄名であるマージンも私は知っている。何故?かというと、実はモチキビ、植物としては既に2013年に調べを付けて、このブログにアップしている。黍団子の黍はモチキビであるということもその時に知っている。
 モチキビの存在をいつ知ったのかというと、2011年9月、私は波照間島で波照間島産モチキビの製品を見ているし、2012年4月には粟国島でモチキビ畑を見ている、ちょうど穂が実っているところであった。ちなみに、波照間島で入手したモチキビ、酒の材料にしようと2013年に畑に播いたのだが、たったの1つも芽は出なかった。
     
     

 波照間より8年前の2003年の1月と3月に、私は会社の出張で渡名喜島へ行っている。2度合わせて10泊くらいしている。でも、その頃の私は仕事に集中していたので、渡名喜島の名産などにはさほど関心も無かったので、モチキビなんて写真はもちろんのこと、記憶にも残っていない。その当時から渡名喜島の名産だったのかも覚えていない。
 波照間に旅した頃は、既にこのブログを始めており植物、動物だけでなく、沖縄の食物にも興味を持つようになり、モチキビという食があるということも知った。翌年の粟国島の旅では「あっ、ここにもモチキビ」と気付き、モチキビかりんとうというモチキビの土産も買った。ところがどっこい、どんな味だったかちっとも覚えていない。情けない。
     
     
 
 モチキビ(糯黍):穀物
 イネ科の一年生作物 インド原産とされている 方言名:マージン
 棹長は100~170センチ、基部から2~3本に分かれて茎を出し、それぞれに穂をつける。穂は夏から秋にかけて茎の先にでき、花が咲き、実がなる。旬は4~6月。
果実は穀物として食用になる他、餅菓子の材になり、酒の原料になり、また、家畜の飼料にもなるとのこと。沖縄では渡名喜島、粟国島、波照間島などが主産地。
 →植物としてのモチキビ

 記:2019.6.24 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


キクラゲ

2019年05月01日 | 飲食:食べ物(材料)

 耳を食べる

 ミミガーという沖縄の食べ物がある。正体を言うと気味悪がられるが、美味しいので慣れていない倭人でも好む人が多いと聞いている。ミミガー、漢字で書くと「耳皮」、ウチナーンチュが「鳴き声以外は全て食う」という豚、その耳を指す。
 ミミグイという名の食べ物もある。これは「沖縄の」だけではなく、キクラゲという名で全国で食されている。キクラゲは耳と関係ないが、見た目が人間の耳に似ていることから中国語で木耳で、それが和名の漢字表記になっている。
 沖縄語のミミグイ、中国名「木耳」からきているか、あるいは、「見た目が人間の耳に似ている」のはウチナーンチュにもそう見えたと思われるので、ミミは耳で間違いなかろう。ただ、グイは不明、グイという単語が沖縄語に無い。ならば、クイの濁音化したものだろうと調べる。クイと発音する言葉には恋と杭があった。
 「これを食べると恋がしたくなる、惚れ薬の一種」という話は聞かないので、「耳の形をした枯れ木に刺さった杭のようなもの」ということなのかもしれない。

    
 キクラゲ(木耳):食用きのこ
 キクラゲ科のきのこ 世界の温帯林野に広く分布 方言名:ミミグイ
 キクラゲ類は多種あり、一般に食用として普及しているのはキクラゲ属の内アラギキクラゲという種。広葉樹などの枯れ木に発生する。乾燥すると黒くなる。
 中華料理にもよく使われるが琉球料理にもよく出てくる。沖縄は栽培に適している環境にあるらしく国内生産のほとんどを占めていると『沖縄大百科事典』にあった。ただし、同書は1983年の発行なので、現在でもそうなのかは不明。
 グルカン(コレステロール抑制)、ビタミンB2、Dなどを含み、子宮出血・痔出血・血尿・血便・心臓病に効き、コレステロール抑制、免疫力強化、整腸効果がある。
    
 野菜としてスーパーにあったキクラゲ

 記:2019.4.13 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行