一昨年の春、渡名喜島を訪れた。その前年に島を襲った台風16号は、行ったり来たり迷走し、島の近辺に長いこと居続けた。その爪跡が、島のあちこちに残されていた。
丘に登り原野を見渡すと、リュウキュウマツの高木(高さ10m前後)の枯れているのがやけに目立った。リュウキュウマツは防風・防潮にも使われるほど風にも潮にも強いといわれている樹木。台風にやられたのではないだろうと思った私は、
「マツクイムシにやられたのですか?」と島の人に訊いた。
「いえ、台風なんですよ」と答える。
「マツは風にも潮にも強いはずなんですが、ここのは自然林じゃないんですか?」
「ここのマツは全て植林されたものです。」
植林されたリュウキュウマツが、渡名喜島の環境に慣れて十分にその根を張る前に、台風16号の強烈な攻撃を受けたのだろう。「その攻撃は強すぎる。あと10年、いや8年でもいいから待ってくれ。その時にはきっと耐えられる」と、リュウキュウマツは叫んでいたかもしれない。
ふと、辺りを見ると、あちらこちらに高さ1m前後の、ナンクルミー(自然発生)のリュウキュウマツの幼木が立っていた。それらは移植された一世から生まれた二世たちだった。生まれも育ちも渡名喜島の子供たちだった。
「渡名喜っ子のリュウキュウマツたちは、きっと島の環境に適した強い大人になるであろう。台風なんかに負けやしない立派なリュウキュウマツに成長してくれるであろう。」そんな内容のことを言うと、隣に居た島の人も深く肯いて、リュウキュウマツの幼木を眺めていた。
リュウキュウマツ(琉球松):庭木・街路公園樹
マツ科の常緑高木 分布はトカラ列島から与那国島 方言名:マーチ
高さ20mほどにもなる大木で、街路樹、公園樹としてよく用いられている。大木にはなるが、庭木としても一級品。高さを抑えることによって民家の庭でも使える。良い姿となるためには庭師による毎年の手入れが必要だが、十分手入れされたものは美しい。代表的な主木候補。
本島北部、今帰仁村の仲原馬場跡の松並木は見事。リュウキュウマツは、大木であれば手入れされなくても美しい。クロマツ、アカマツ、ゴヨウマツなどを用いた姿の良いマツはあまたあるけれど、自然樹形の美しさはリュウキュウマツが一番とウチナーンチュは思っている。
近年、マツクイムシの被害が多く、ヤンバルの山には赤茶けたリュウキュウマツの姿が目立つ。
花
仕立物
記:2004.10.29 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
私は三線(サンシン、沖縄の三味線)を持っている。数年前まではよく弾いて、琉球民謡、その他(スマップの夜空の向こうなど)を唄っていたが、今はたまーに(年に2、3回くらい)しか弾いていない。このガジ丸HPを始めてからは触っていない。
10年前だったか、5年前だったか、まあ、だいたいその辺のこと。宮崎の友人から「三線を買って、送ってくれ」との電話があった。琉球民謡を練習するらしい。三線は、叔父に頼んだ。叔父の友人に三線作り職人がいた。
宮崎の友人に三線を送った後、私も欲しくなって、叔父に頼んで手に入れた。友人に送ったものよりもちょっと値段の高い、ちょっとランクが上のもの。工工四(琉球民謡の楽譜)も買い、練習する。琉球民謡は好きな方なので、そのCDは何枚もあり、歌も多く知っている。我流ではあるが、1年後には数曲弾けるようになった。
友人に送った三線と私の三線、どこがどう違うのかは判らないが値段は違う。三線の良いものだと何十万円もするらしいが、友人のものは(オーダーものの中では)最も安いもの、私のものはそれより2ランクぐらい上のもの。どちらも恐らく材料は一緒、三線の太鼓部分に貼る皮はヘビの皮では無く、プラスチックでできた合成皮。棹は、ウレタン塗装で黒光りはしているがきっとユシギ(イスノキ)、あるいは他の木材が使われている。
何十万円もする三線の棹には、クロキ(リュウキュウコクタン)の芯の部分が使われている。クロキは、幹肌が黒いのでクロキ(沖縄口ではクルチ)と呼ばれているのだが、その芯の部分も黒い。幹肌よりずっと黒い、真っ黒と言ってもいいくらい黒い。そして、堅い。その堅さは鉄のようなので、捻ったり曲がったりすることが無い。それは安定した音を出すためには絶対条件である。クロキの芯は棹の材料として最適ということになる。
クロキの芯はどのクロキにもあるが、どのクロキも三線の棹に使えるほどに太い芯をもっているわけでは、もちろん無い。きっと百年、二百年といった年月を生きてきて、十分に幹の太ったクロキでなければならない。また、肥料をたっぷりもらい、すくすくと育ったクロキよりも、環境の悪い場所でじわりじわり育ったクロキの芯の方が、繊維が密で、堅く、色もより黒いらしい。そんなクロキはもう沖縄本島では手に入らない。八重山にはまだあるらしいということを聞いた。それももう15年ほども前の話。
石垣島や西表島の原野にはクロキ(ヤエヤマコクタン)が自生している。植生調査でそれらのクロキを調べたら、ある程度幹の太いクロキの全てが、その幹に鋸跡が残っていたらしい。クロキ泥棒の仕業であろうとのことだった。幹に鋸を入れ、使えるほどの芯があるかどうかを調べた跡、とのこと。もはや、こんなところまで来て泥棒しなければならないほどクロキの芯は希少となっている、というわけなのだ。
クロキの芯には輸入材もあり、三線の棹にはユシギ(イスノキ)も使われる。最近は圧縮材も使われているらしい。三線の正統、沖縄産クロキの芯を使った三線は遠いものになりつつある。「何十万円もする三線の棹にはクロキの芯が使われている」と前述したが、「何百万円もする三線の棹」と書き直さなければならないのかもしれない。
4、50年ほども前からクロキは庭木として人気があって、よく使われた。今でもクロキは多くの家の庭木として、あるいは公園樹、街路樹として使われている。だから、たぶん、今から百年後には沖縄産クロキの芯が多く取れることであろう。
リュウキュウコクタン(琉球黒檀):主木
カキノキ科の常緑高木 原産分布は沖縄、台湾、中国南部等 方言名:クルチ
自然にしていても形の良い木であるが、細かい枝がよく出るので、刈込んで段作りにできる。沖縄の庭における主木候補の筆頭と言っても良い。住宅地を歩くと、民家の庭でどーんと構えたクロキ(方言名クルチの標準語読み)を探すのは容易い。主木としてだけでは無く、生垣としても使える。陽光地を好み、成長は遅い。
庭木として価値のあるクロキは、値段も高い。値段は高いが実がよく付き、種がたくさん採れる。その種から実生苗もまたできやすい。育てるのは楽。ただ、太るのに時間がかかるので、その分、十分太って庭木の役に立つようになったものは値段が高くなる。大きなクロキの周りには、ナンクルミー(自然発生)したクロキの苗がいくつもできる。3~4年で高さは3mほど(ヒョロヒョロしているが)になる。採種期は8月から10月。
前述のようにサンシンの棹の材料としても最高級品。別名ヤエヤマコクタンという。
花
仕立物
記:2005.2.6 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
今年はその惨状をニュースで観る機会が得られなかったが、ここ数年の沖縄の成人式は暴れる新成人が多くいて、ウチナーンチュとして私は情けない思いをしていた。毎年そんなこと繰り返していたら、「二十歳になっても大人になれない者の喩え」という意味で、琉球餓鬼という言葉が生まれ、そのうち広辞苑にも載ってしまうぞ!
ちなみに広辞苑によると、餓鬼は「悪業の報いとして餓鬼道に落ちた亡者」という意味と、「子供をいやしんでいう称」との意味がある。広辞苑をさらに読み進めていくと、餓鬼に苧殻(がきにおがら)なんて言葉があった。「鬼に金棒」の反対で、「頼りにも力にもならないことのたとえ」とのこと。「バカ成人に説教」みたいなもんだ。
さて、今回紹介する植物はリュウキュウガキ、琉球餓鬼では無く、琉球柿と書く。こっちは「頼りにも力にもならない」ことは無い。景観樹として大いに役立つ。
リュウキュウガキ、その存在する場所は知っているのだが、花の時期を逃し、実の成る時期も逃して、それらの写真が撮れていない。私は頼りにならないオジサンだ。
追記2011.12.16 石垣島で実の写真が撮れた。
リュウキュウガキ(琉球柿):主木・添景
カキノキ科の常緑高木 奄美以南の南西諸島、台湾、他に分布 方言名:クルボー
カキの名の由来は資料が無くて不明。柿本人麻呂なんて古の有名人もいるので、きっと由緒正しい由来があるのであろう。本種はそのカキノキと同科同属で、琉球列島に自生するのでリュウキュウとつく。沖縄では昔から馴染み深い木だったようで、方言名は地域によってクルボーの他、ウガンクルボー、ウーシブ、ガガなど多くある。
高さは10mほどになり、幹は直立し、自然に整った樹形となる。アルカリ性土壌を好み、日当たりの良い場所で良く生育するが、半日蔭にも耐える。耐潮風性があり、防潮風林にも使える。成長はやや遅く、萌芽力も弱いので強剪定は避ける。
花は目立たないが、開花期は6月から7月、果実は黄色から黒褐色に変わり、結実期は10月から11月。カキと名はついているが有毒で、食用とならない。
分布は上記の他、マレーシア、オーストラリア、ミクロネシアなど。
実
葉
記:島乃ガジ丸 2010.1.26 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
アパートの南側には大家さんの建物があり、その間にはセンネンボク、チョウセンアサガオ、ヤドリフカノキ、クロトン、トベラ、カイエンナット、リュウキュウコクタン、サルスベリなどの木が植わっている。南側の窓を開けると、そこは林のようである。
アパートの北側は、アパートの小さな畑と路地を挟んで隣家があり、その家にも塀沿いにいくつかの樹木がある。カキノキ、リュウキュウコクタン、ヤマモモ、マンゴー、アセローラなど。リュウキュウコクタンを除けば、果物の成るものばかりである。大家さんところではカイエンナットのみが食える果実であるが、それもあまりメジャーでは無い。大家さんは痩せている。北の隣家のご主人は太っている。体型の違いが樹木の好みの違いとなって現れているのだろうか。
ヤマモモの実の時期を覚えていなくて、週に2、3回は隣家のヤマモモの傍を歩いていたのにも関わらず、実の成っているのに気付かずにいた。5月も後半になって、週末の散歩に出た際、隣家の塀沿いにハエが多く飛んでいるのを見て、ヤマモモの実の時期であることを思い出した。5月の初めから沖縄は梅雨。雨の日が長く続いて、地面に落ちたヤマモモの実は雨に流されるし、また、雨に打たれてはハエも活動しにくかったに違いない。その日は梅雨の晴れ間。ハエの喜びはしゃぐ様が、私にヤマモモの実の時期であることを教えてくれた。アスファルトの上にはたくさんの実が落ちていた。実の時期が終わりに近いこともあって、隣家のヤマモモはずいぶん大きな木なのではあるが、見上げたどの枝の先にも実はほとんど付いていなかった。
隣家の人はヤマモモを収穫しない。植えてあるのに収穫しない。まあ、生食ではさほど美味しいものでは無いと私も思うが、ただ、果実酒にすると良い風味のものができる。十四、五年前に一度、知人の庭からヤマモモの実をたくさん頂いて作ったことがある。その時以来、果実酒はむろん、生のヤマモモを食うことさえ機会が無い。隣家のヤマモモは毎年、時期になるとその実を目にするが、他人のものを黙って食べるわけにもいかない。先日、旅先の名古屋で、ヤマモモの実がたわわに成っているのを見つけた。これもまた、黙って食べるわけにはいかなかった。
ヤマモモ(山桃):公園・庭園
ヤマモモ科の常緑高木 原産分布は関東南部、沖縄、台湾、他 方言名:ヤマムム。
大木になるが成長が遅いので、民家の庭に植えられているのもよく見かける。萌芽力が強いので刈込みができ、樹形を整えることができる。半陰になるような場所でも生育し、また、乾燥に強く、比較的潮風にも強いので、植栽場所の適用範囲は広い。
沖縄の山地に元々自生しており、馴染みの深い樹木の一つ。方言名のヤマムムは、ヤマモモを単に沖縄読みしたものでは無く、ウチナーンチュの実感から付いた名前と思える。他にヤンバルムムという方言名もある。山原のモモということ。
モモと名があるが、桃とは科が違う。桃はバラ科。果実が桃の味に似ているのかというと、昔の誰かがそう思ったかもしれないが、私の感覚では全然違う。あるいは、昔の桃は今の水蜜桃などとは異なって、甘酸っぱかったのかもしれない。ならば、似ていると言える。その果実、生食もできるが、ジャムやゼリーにも加工される。結実期は4~5月。
沖縄の実
名古屋の実
記:島乃ガジ丸 2005.6.12 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
祖母が生きていた頃、祖母の部屋は独特の匂いがした。臭いということは無いが、いい匂いってわけでも無い。部屋にある仏壇の線香の匂いでも無い。何だか判らない匂いなので、「オバーのカジャ(香りという意味のウチナーグチ)」ということにしておいた。
祖母が他界(97歳)して4、5年経った頃のことであった。その頃私は、木材や木製品に興味があっていろいろ調べていた。ある日、知り合いの家具の専門家に、無垢材(ガジ丸通信「修理というエコロジー」参照)の家具の手入れには椿油を用いると良いと教わった。椿油をネル(注1)に染み込ませて家具を磨く。見た目もきれいになるが、椿油は木材を傷めず、長持ちさせる効果もあるとのことだった。
その専門家は椿油の入った瓶を見せてくれた。使いかけの瓶は椿油が半分ほど残っていた。瓶を手にとって、蓋を開けた瞬間、その匂いが祖母の匂いであることに気付いた。
椿油は家具磨きの他、食用油としても用い、また、機械・大工道具などの錆止めや化粧品や薬品の原材料としても使われている。そして、これがおそらく最も知られたことであろうが、毛髪・頭皮の油分補給、整髪としての用途がある。いくつになっても女としてのオシャレをおろそかにしない祖母の部屋の匂いは、「オバーの髪の匂い」であったのだ。
椿油はツバキ科ツバキ属の種子から取れる。ツバキ属にはサザンカ、トウツバキなどといった樹木があり、それらからも油は取れる。が、中でも最も多く用いられているのはヤブツバキ。伊豆諸島、五島列島などが産地として有名。
先々週、樹木の写真を撮りに親戚の家へ行った。ヤブツバキは例年だと12月から花を見せてくれる。ところが、その親戚の庭にあるヤブツバキは、一輪も咲いていなくて、蕾もまだ堅そうであった。これも暖冬のせいなんだろう。
内地(倭の国)生まれの侘び助椿はちゃんと季節を守ってくれているのに、沖縄産のヤブツバキは遅れている。それはヤブツバキのせいでは無く、冬でも暖かい沖縄のせいに違いない。同じボンヤリ者として私は、ヤブツバキの気持ちがよく解る。
注1:ネル。フランネルの略。紡毛糸で粗く織ったやわらかい起毛織物。繊維が柔らかいので家具の表面を傷めない。糸くずが家具に付着することもない。
ヤブツバキ(藪椿):庭木
ツバキ科の常緑高木 原産分布は東北以南、沖縄、台湾等 方言名:チバチ、カタシ
放っておけば高さ10mまでになるが、成長が遅く、剪定が利くので庭木として適している。直射日光のよく当る場所でも生育するが、西日の当らない半陰になるような場所を好み、やや湿潤な環境におくと良い。時期になるとたくさんの花を咲かせてくれる。日当たりの悪い庭に用いる花の咲く高木として重宝する。
山の中の薄暗い辺りに野生のヤブツバキを見ることができる。ヤブツバキのヤブは藪。藪は「野生の」ということを意味すると文献にある。広辞苑では「藪は雑草・雑木などの密生している所」となっている。まあ、そんな椿。紅赤色の花、開花期は12月~3月。
花
実
記:2005.2.4 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行