ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ケチャップ

2011年03月31日 | 飲食:加工品・薬草・他

 ケチャップと言えば

 琉球王朝時代は唐(中国全般を指す)の影響が強かった沖縄だが、戦後は、長らくアメリカ施政下にあったことでアメリカの影響が強くある。唐の影響やアメリカの影響は食文化にも当然現れていて、唐の影響は琉球王朝伝統料理に、アメリカの影響は戦後の家庭の食卓やハンバーガー、フライドチキンなどのファーストフードに現れた。
 フライドチキンやA&W(マクドナルドのようなハンバーガー屋、沖縄では有名)のハンバーガーを食い、コーラ(後日言及する予定)を飲むのが子供たちのご馳走。ブルーシールアイスクリーム(沖縄で最も有名なアイスクリーム)があり、ピザがあり、タコスがあり、沖縄の子供たちの舌はアメリカ色に染まって行った。
  家庭の食卓にもアメリカの食文化はズカズカと入ってきた。母の料理はチャンプルーなどの沖縄料理が主であったが、進駐軍伝来の調味料が頻繁に使われた。サラダにマヨネーズ、とんかつにケチャップ、魚のバター焼きなんてのも食卓に出た。

 さて、ウチナーンチュ(本土復帰を知らない若い人を除く)にとって、マーガリンと言えばホリデーマーガリン、マヨネーズと言えばエゴーマヨネーズ、などということをこれまでにガジ丸HPに書いてきたが、ケチャップと言えばハンツというのがある。ペプシコーラのような形をしたガラス瓶に詰められた トマトケチャップ。私が子供の頃(今から四十年ほど前、復帰前)は、カゴメなど倭国産のケチャップは無かったのではないか。少なくとも我が家や親戚の家に現れたことは無く、知人友人の家でも見た記憶が無い。
 今もあるのかどうか知らないが、中学高校前の食堂にはケチャップ味の焼きそばがあった。我が家では、卵焼きやとんかつにケチャップをかけ、鶏肉や野菜のケチャップ煮なんてのも母は作ってくれた。フライドポテトにはもちろんケチャップであった。

 ハンツケチャップはカゴメやデルモンテに比べて酸味が強いように感じる。私はその方が好きである。好きではあるが、ガラスの瓶というのが使いづらい。中身が瓶の中にへばりついて最後まで使い切れないのだ。勿体ないと思う。で、大人になってからはほとんど買ったことが無い。母もいつかしらビニール容器のものに代えていた。
      
      
 記:ガジ丸 2009.3.30 →沖縄の飲食目次


ヤマイモ料理

2011年03月31日 | 飲食:食べ物(料理)

 山のジャガイモ

 精力をつけたいわけではないが、私はヤマイモを時々食べる。好きだからである。特にとろろ蕎麦は大好きだ。夏になると、食卓に上る回数が増える。
 ここでいうヤマイモは、スーパーで年中売られているナガイモ、または、時々見かけるヤマトイモのこと。それらを短冊、または、とろろにして食う。

 ナガイモやヤマトイモとは見た目がまるっきり異なるが、沖縄にもヤマイモという名の食い物があるということは、私も若い頃から知っている。
 ヤマイモスーブという行事があって、冬、年明け頃になるとその記事が新聞に載り、また、テレビのニュースでも放送される。スーブとは勝負のウチナーグチ(沖縄口)読み、ヤマイモの重さを競う勝負。勝負に出るヤマイモは100キログラムを超えるそうだ。
 ヤマイモスーブは本部町やうるま市などで行われているそうだが、残念ながら、私はその現場を見たことがない。ヤマイモスーブも見たことないが、沖縄のヤマイモの実物も、去年の12月まで見たことが無かった。テレビからの情報で、「大きい、ずんぐりしている。表面が黒っぽい(黒褐色)。」ということは知っている。

 去年の暮れ、姉がヤンバル(山原、沖縄島中北部の通称)の知り合いから貰ったというヤマイモを1つ、お裾分けしてもらった。それはテレビからの情報通り、「大きく、ずんぐりして、表面が黒っぽい。」ものであった。「大きく」は、長さは26センチと、ナガイモより小さいが、幅と厚みがあり、重さは2キロ半あった。
 『沖縄大百科辞典』に、「沖縄で一般にヤマイモと称されるものはダイジョ」とある。ダイジョもヤマノイモ科ヤマノイモ属とのこと。私が貰ったものはダイジョのようだ。ダイジョの項を見ると、「30キロを越すものもある」とあった。それでも表現が甘いのである。沖縄の地元紙である琉球新報に、堂々144キロと見出しの記事があった。

 私の貰った重さ2キロ半は、それらに比べるとごく小さい。しかし、それでも、一人者が消費するにはちょっと大き過ぎる。で、飲み会があったついでに、そこの飲み屋に三分の二を譲り、その代わりとして、ヤマイモの料理方法をいろいろ教わった。
  生でとろろの他、煮物、味噌汁などにして美味しいとのこと。お菓子にもなるとのことであったが、それは後日調べたところ、カルカンという名の菓子であった。
 
 カルカンにも興味があったが、すったり、こねたり、蒸したりと手間がかかりそうなので、それは後日ということにし、先ずは煮物に挑戦。
 味噌味で美味しいとのことだったので、カツオ出汁で煮て、酒と味醂と味噌で味付けする。これは普通に美味しかった。ヤマイモというよりジャガイモのような食感と風味であった。食い物として何の問題も無い。山暮らしの際、重宝しそうだ。
 
 
 

 記:ガジ丸 2009.3.21 →沖縄の飲食目次


クジムチ

2011年03月31日 | 飲食:果物・菓子

 庶民の菓子

 私の芋作り、先週やっと、アパートの畑の使っていない部分を耕して種芋を植えた。今週は、引っ越したKさんが使っていた部分を耕す予定。種芋から蔓が出てきたら、それを切り取って、耕した箇所に植えつける予定。4月中には何とか済ませたい。
 私の芋料理、失敗は成功の元というように、芋羊羹作りは2回目で成功。前回大失敗したクジムチ(葛餅)作りも2回目の挑戦で大成功となった。
      
 くずもち(葛餅)とは「葛粉または小麦粉・生麩粉などを熱湯でこね、型に入れて蒸した菓子。」(広辞苑)のこと。古くから甘藷(さつまいも)の栽培が盛んであった沖縄では、ンムクジ(いもくず)が用いられる。
      
  今回のクジムチ作りの際、前回の失敗の原因がはっきり判らず、再挑戦を成功させる自信が無かったので、行きつけの喫茶店のオバサンたちに作り方を聞いた。が、どのオバサンも作ったことがないと言い、作り方も知らないと言う。「ウチナーのオバサンのくせに知らないのかよー。」と、口には出さないが、思いつつ、その後、図書館へ行って、何冊かの料理の本(どの本も概ね内容は同じ)を読んで、作り方を覚えた。

 材料はンムクジ、水、砂糖に、塩と生姜汁を少々。
 「ゲーッ!」と驚いたのは、その砂糖の量。ンムクジの量を1とすると、砂糖はそれより少し大目の量。これではンムクジを食っているのか砂糖を食っているのか解らない。しかし、他の菓子類の頁を見ると、砂糖はいずれもたっぷり使っている。菓子とはこれほどの砂糖を使うのだ、糖尿病だ、と今さらながら菓子の恐ろしさに気付く。
 菓子は砂糖を大量に入れないと日持ちしない、と理解はしているが、それにしても多すぎる。日持ちはさせたいが、食えなけりゃあ意味が無い。よって、砂糖の量は半分程度にした。それでも、私の砂糖消費の3、4ヶ月分位にはなった。

  出来上がったクジムチ、そこはかとない甘さで、私には良い塩梅、美味しかった。前に紹介した市販のクジムチにはシークヮーサー味なんてのもあった。シークヮーサーやマンゴージュースを加えたり、ココアやバニラ風味のクジムチなんてのも良いかもしれない、などと、自作クジムチを食いながら一瞬思ったが、すぐに断念する。
 前回、たぶん掻き混ぜすぎたせいで白く濁ったのであろうと判断し、今回は軽く、優しく掻き混ぜた。お陰で普通の半透明のクジムチに仕上がったが、優しく掻き混ぜていると鍋にンムクジが貼り付く。料理が終わった後、鍋に貼り付いたンムクジを取り除くのが面倒であった。「これは、商売でなければできない面倒」ということで、断念。
      
      
      
      
      
      
      

 記:ガジ丸 2009.3.15 →沖縄の飲食目次


ンムクジ料理

2011年03月31日 | 飲食:食べ物(料理)

 芋の屑、では無く葛

 私の芋作り、これまでのところ、順調に、・・・進んでいない。2月中にはアパートの畑の使っていない部分を耕して、種芋を植える予定であったが、このところ週末になると天気が悪くて、畑が耕せない。で、延び延びとなっている。
  芋料理研究については、まあまあ順調に進んでいる。芋カナッペ、芋ガリガリは食い物として合格点、ンムニーも美味かったし、芋羊羹も2度目の挑戦でまあまあのものができた。芋羊羹については、手間がかかるというのが難点だが、砂糖を多目にし、密閉容器に入れておけば長期保存できそうなので、重宝しそうだ。
 以上は芋そのものの料理、それだけでは飽きるのでンムクジ料理も試してみる。いつかは、自作のンムクジを使って、クジムチ(葛餅)やンムクジソーメン(春雨)を作ってみたいが、それは将来のこととして、先日、1月に購入し、先週紹介した市販のンムクジを使って、ンムクジヒラヤーチー(薄いお好み焼き)とクジムチに挑戦した。

  ンムクジヒラヤーチー、作り方の資料が無いので自己流で作る。普通のヒラヤーチーを作るように水で溶き、塩、ニラを加え、普通のヒラヤーチーで加える玉子は、ンムクジの食感を考慮すると邪魔になると思ったので今回は加えない。これはまあ、美味いと言えるほどの物ではなかったが、普通に食える。食い物としては合格点。
 『沖縄大百科事典』にンムクジプットゥルーの作り方が大まかに書かれてあった。それによると、私のンムクジヒラヤーチーは、ンムクジプットゥルーに近いようだ。
 
 
  クジムチ、市販のクジムチは半透明である。しかし、私のクジムチは白く濁っている。激しく掻き混ぜたので空気が混ざってしまったせいかもしれない。しかも、砂糖の量が全然足りなかったみたいで、ちっとも甘くない。さらに、香り付けにと入れたシェリー酒の匂いが邪魔になって、風味も悪い。失敗作となってしまった。全部食ったけど。
 クジムチについては、後日再挑戦して、改めて紹介したい。
 
 
 ンムクジ料理は他に、ンムクジプットゥルー、ンムクジアンダーギーなどがある。
  ンムクジプットゥルーのプットゥルーは「プルプルしたもの」という意味。ンムクジが熱を加えるとプルプルになる性質なので、当たり前のようなネーミングだが、いくつかの琉球料理の本を見るとラードを大量に用いている。なので、プルプルして、トロトロもしているのだろう。ヒラヤーチーが塩味なのに対し、これは味噌味。ンムクジに出し汁、味噌、塩、ニラなどの具を混ぜて、ラードと共に炒め、練り上げて、餅状にする。
 ンムクジアンダーギーのアンダーギーは「油で揚げたもの」という意味。煮た芋をつぶして、水で溶いたンムクジと混ぜて、塩少々を加え、練り上げ、油で揚げる。
 ンムクジプットゥルーもンムクジアンダーギーも自分で作ったことは無いが、飲み屋や琉球料理店で食べたことは何度かある。特別美味しいとは思わないし、プットゥルーのラードの多さは気になるし、油で揚げる料理は面倒だし、で、この2種の料理については以降も自作する予定は無い。もっと手軽でヘルシーなンムクジ料理を創作したい。

 記:ガジ丸 2009.3.14 →沖縄の飲食目次


ンムクジ

2011年03月31日 | 飲食:食べ物(材料)

 芋の澱粉

 将来は、田舎に畑を借りて、芋を植え、育て、収穫し、それを食って生きるという芋生活を目指しているが、今年は、アパートの小さな畑にごく少量、7、8株ほどを植えて、芋生産を実際に体験してみることを計画している。芋の栽培、及び管理方法を覚え、1株からどれだけ収穫できるか、1坪からどれだけ収穫できるかを確認し、どれだけの量があれば男一人生きていけるかを調べ、将来どれだけの広さの畑が必要かを計算する。
  今年の計画はもう一つ。芋生活は毎日の食をほぼ芋に頼る。なので、芋に飽きないようにしなければならない。ということで今、芋料理をあれこれ試し、研究している。
 これまでに、普通の蒸かし芋の他、イモガリガリ(芋のポテトチップ)、ウムニー(きんとん)、芋羊羹などを作ってみたが、どれもまあそんなもんであろうという出来。それら以外に一つ、これはなかなかと思うものがある。薄くスライスして、オーブントースターで焼いて、冷蔵庫で乾燥させたもの。甘味は少ないが、その分、塩を振ったり、マヨネーズをかけたり、ハムやチーズを乗せてカナッペ風にした りと、いろいろな味が楽しめて飽きない。乾燥がきっちりできればたぶん、日持ちもするに違いない。
 
 
 これまで試している芋料理は、芋を芋のままあれこれ味付けしたものだが、芋を加工してできる食品も沖縄の伝統にある。ンムクジと言う。ンムクジは芋葛のウチナーグチ読みで、芋のデンプンのこと。葛粉のように白い粉。
 ンムクジから作られる食べ物は、ンムクジアンダーギーやンムクジプットゥルーなどが伝統料理としてあり、琉球料理店へ行くと食すことができる。 その他、ンムクジヒラヤーチー、クジムチなどがあり、このHPで既に紹介しているンムクジソーミンもある。
 ※ンムクジアンダギー;芋葛を蒸してこねたものを油で揚げたもの。
  ンムクジプットゥルー:芋葛に具材を混ぜ、味付けし、油で焼いたもの。
  ンムクジヒラヤーチー:芋葛を小麦粉代わりにした薄いお好み焼きのようなもの。
  クジムチ:葛餅のこと。
  ンムクジソーミン:春雨のこと。

  芋料理に飽きないためには自分でンムクジを作り、ンムクジ料理もいろいろ覚えなければならない。芋からンムクジを精製する方法は片栗粉と一緒。小学校の頃、理科の実験でやった覚えがある。擂って、水に浸して、漉す。『沖縄大百科事典』にンムクジシリーという道具が紹介されている。おろしがねの一種で、芋を擂るのに用いる。それはまあ、普通の大根おろし器で代用できよう。ンムクジ作り、そう難しくはないはずだ。
 難しくはないだろうが、ンムクジ作りは手間と時間がかかりそうだ。今はその余裕が無いので、しばらくはンムクジ料理、市販のンムクジを使って挑戦してみようと思う。ンムクジはどこのスーパーでも普通に売られている。
 ※片栗粉:カタクリ(ユリ科の多年草)の地下茎から製した澱粉。現在、市販の片栗粉の多くはカタクリではなく、ジャガイモの澱粉とのこと。
 
 

 記:ガジ丸 2009.2.23 →沖縄の飲食目次